麻雀マンガなんて久しく読んでいませんでしたが、なんかこの「鉄鳴きの麒麟児」が評判がいいので1巻~4巻まで買って読んでみました。
結論から言うと、70点くらい。おもしろいのはおもしろいのですが、ちょっと期待外れな部分もありました。
良い点は以下の4つです。
1.オカルト要素を排除した真面目な麻雀マンガ
2.ライバル雀士のキャラが際立っている
3.主人公はネット麻雀(天鳳)出身という設定
4.渋川難波プロの麻雀戦術が勉強になる
◆主人公の設定について
嫁は病気で入院中。小さい娘の養育費や奥さんの手術代を稼ぐために新宿歌舞伎町のフリー雀荘で最強を目指す主人公。
という設定がやや古臭いと思いました。
そんな取って付けたような設定よりも、ただ純粋に麻雀が好きで何も背負うものがなくて、どこにでもいるようなお兄ちゃんがネット麻雀からリアル麻雀へ挑戦する・・という設定の方が素直に共感できます。
麻雀はとても理論的でいわゆる「デジタル」なのに、主人公を取り巻く環境は昭和か!っていうくらい古臭い設定です。
勝負の途中で、主人公がもし自分が負けてしまったときに家族が自分を慰めてくれることを妄想してしまうシーンがあります。また劣勢にときに家族を思い浮かべ、力をくれと念じる場面もあります。
普通だったらそういった思いは美化されがちですが、このマンガではそうではありません。すぐに我に返った主人公は、一瞬でも甘い考えを持った自分を恥じます。これは好感が持てる場面でした。
しかしこう描くならば、そもそも主人公にかわいい娘がいる設定っているの?って思ってしまいます。
◆盛り上がり重視。現実離れした闘牌シーン
リアル志向でありながらも、やはりマンガとして盛り上がりを考えないといけないために、現実離れした闘牌シーンが多い気がします。
先制リーチに無筋をバンバン切って追いかけリーチ。
相手の待ちを1点で読み切ってリーチ。
と、ここまではいいとしても、それでも先制リーチが勝つみたいな場面があってしかるべきです。でも都合の良いことに、ほとんどが追いかけた方が勝つというパターンです。
まるで一種の「流れ」を筆者が認めているかのようです。
また流局が極端に少ない(見た記憶がない)というのもおかしいですよね。そして勝負所では、全員にちゃんと手が入り、3人か4人が同時にテンパイします。
まあそんな感じで、リアルとかけ離れた部分はありますが、そこさえ許容できれば、かなり読み応えがある麻雀マンガだと思います。
少なくとも渋川プロのコラムはお金を払って読む価値があります。