ThinkPad X1 Tabletの付属キーボードを厳しい目でチェックしてみました。
最初に断っておくと、タブレットだからといって手加減はしません。これまでのThinkPadと同等扱いで評価をしています。
◆キーストロークは1.35mm
X1 Tabletのキーストローク(キーの深さ)は1.35mmです。他のThinkPadが最低でも1.8mmのキーストロークを確保している中でやはりこの数値は小さいです。まあ元々キーの浅いパソコンに慣れている人ならそんなに違和感はないと思いますが、ずっとThinkPadを使ってきたという人にはちょっと物足りないんじゃないかと思います。
そりゃあ、メーカーやPCメディアサイトはうまく言いますけどね・・・
この薄さで打鍵感も失われていない、良いキーボードだ
なんてね。
thinキーボードの厚さはたった5.2mmですから、キーの深さには限度があるのは理解できます。でもThinkPadをずっと使い続けてきたぼくからしたら、やはり手放しで褒めるということはできないんですよ。
ノートPCとして長時間の文章作成に耐えられるかどうか?という点を本気で考えたとき、やはりそれならX260やT460sの方がいいなってなります。他のThinkPadに比べると確実にワンランク下のキーボードと言わざるを得ません。
◆キーボードを浮かせて使うかどうか
X1 Tabletはキーボードをピタッと床につけて使うか、床から浮かせて使うかが選べます。そのときの打鍵感ですが、まず床にピタッと付けた場合は、底打ち感があります。
床に指が当たってるような反発力を感じてしまうのであまり打ち心地はよくありません。
一方でキーボードを傾けて床から浮かせた場合、底打ち感はかなり改善されますが、今度はキーボード自体はたわんでしまうのが気になります。
そのためやさしくタイプしないとキーボードがグラグラ振動してしまいます。
どちらも嫌ですが、個人的には床から浮かせて使う方がまだマシかなと思います。キーをやさしくタイプするようにすれば、このスタイルで段々と慣れていくかもしれません。
◆タッチパッドが小さい
X1 Tabletのタッチパッドは他のThinkPadよりも小さくなっています。試しにトラックポイント中央から筐体の下端までの距離を測ってみると約11.8cmでした。
例えばX1 YogaやX1 Carbon(2016)だとタッチパッドが広くとってあり、同様の距離を測ると約13.5cmあります。
一見、タッチパッドが広いのは良いことだと思うかもしれませんが、これは逆で、タッチパッドが広いことはぼく的には欠点です。
ぼくはタッチパッドを使わないですし、さらにこんなふうにキーボードに手をのせたときに
ちょうど手のひらにピッタリなサイズでグリップしやすいのです。
※トラックポイントから筐体の下端までの距離を測ったのはこれが理由
打鍵感で他より劣っていましたが、思わぬところでX1 Tabletの長所を見つけることができました。
◆トラックポイントの操作性
トラックポイントは見た目こそほぼ同じですが、通常のトラックポイントよりも薄型のトラックポイントになっています。
通常のトラックポイントと比べ操作性に違いがあるのか、気になったのでペイントのフリーハンドで「Thinkpad」とトラックポイントを使って書いてみました。
左が愛用しているThinkPad E460で書いた文字。右がX1 Tabletで書いた文字です。
店頭に置いてあった実機を立った状態で操作したので手首がかなり曲がっています。E460は自宅でその状況にできるだけ似せて、トラックポイントを操作しました。どちらも少し操作しづらい状況であったということに留意してください。またX1 Tabletの方は新品。自宅のE460は、使いこんでだいぶ慣れているというハンデがあります。
X1 Tabletのトラックポイントは少し固い感じがあり、傾けてカーブを描くときの粘りが足りません。そのせいで、カーブの滑らかさを描くことができませんでした。X1 Tabletで書いた「P」はコーナーフラッグのようになっていますね。
使い込んでいくうちに操作性が改善されるのか、それともこのままなのかは現段階ではわかりません。ただ少なくとも慣れるまで少し時間がかかる可能性があるということを覚えておいてください。
◆使い方をよく考えて購入しよう
X1 Tabletの価値はキーボードだけで決まるものではありませんから、ここでの評価は参考程度に聞いてください。ただぼくの意見を言わせてもらうなら、X1 Tabletはかなり限定されたシーンでその良さが活きるマシンという位置付けです。
特にぼくのような保守的なThinkPadユーザーにはおすすめはできません。
といってもキーボードは7列じゃないとダメとかいうレベルではありませんよ。6列のアイソレーションでキーストロークが1.8mmぐらいあってたわまないキーボードであれば十分満足する人間です。それでも一応、ThinkPadのキーボード(トラックポイントを含め)には一家言もってる、そんな人間から見たX1 Tabletのthinキーボードの評価ということです。
そろそろいろんなレビューが上がってくるころなので、使った人の意見とかを聞いたり、家電量販店に行ってチェックしてみたりして最終的な判断を下すのが良いと思います。
先日記事にした「ThinkPad X1 Tabletの欠点」ではキーボード以外でも気になる部分がありましたので、もし購入を考えている人はそちらも参考にしてください。
◆トラックポイントキーボードと言う奥の手
それでもX1 Tabletがいいという人は、別売りのトラックポイントキーボードを併用するという手もあります。つまりタブレット部分はそのままで、キーボードだけBluetooth接続のトラックポイントキーボードに移し替えて使うのです。
こんなふうに(笑)
一体となってるように見えますが、このキーボードにはタッチパッドがないことからもX1 Tabletのthinキーボードではないことがわかります。
まあこれをやっちゃうと、何のためのX1 Tabletかわかりませんが、これならキーストロークは2.1mmあるので満足できます。
X1 TabletをメインPCとして使いたい人は、こういうスタイルも試してみてもいいんじゃないかと思います。