レアルがPK戦の末、アトレティコを下し11度目の優勝を飾りました。
ぼくの素人予想はアトレティコ優位と見てました。バルサ、バイエルンを下しての勝ち上がりですし、対レアルでも今季リーガで1勝1分。
「こりゃ~普通にアトレティコの方が強いでしょ」という予想だったのです。
アトレティコの強みはなんといっても堅固な守備。リーガで38戦して失点はわずか18。信じられない数字です。コケ、ガビといった中盤の運動量も素晴らしいと聞きます。それにすでに名将と呼ばれつつある監督シメオネの采配。
その強さはニュースとして目にすることはあっても、実際にじっくりと見たことはなかったので、このCL決勝の舞台でそれを見れることが非常に楽しみでした。ただ同時にゴールが生まれにくい試合になるだろうなという不安もありました。
試合が始まって意外にもレアルがあっさり先制します。
前半14分セットプレーからでした。ベイルが頭ですらしたボールがゴール前の混戦へ。セルヒオラモスが飛び込み、キーパーと交錯するような形でしたがボールはコロコロとゴールに吸い込まれていきました。
レアル1-0アトレティコ
得点シーンの前にもセットプレーからチャンスを迎えていたレアル。あれ、アトレティコちょっと緊張してるのかな~?と思っていた時間帯でした。ちなみにリプレイでよく見ていないんですが、あれ本当にセルヒオラモスさわってます?w
得点の後はしばらく退屈な時間帯でした。レアルが引き気味のせいです。ボールを奪っても攻撃は前3枚(ロナウド、ベンゼマ、ベイル)に任せっきり。アトレティコのカウンターを警戒してか、ほとんど重心を前へかけることはしませんでした。
追いつかないといけないアトレティコも、あまり効果的な攻め手がなくこのまま前半終了。
そして後半。さっそくシメオネがフォーメーションを変えてきました。4-4-2でスタートしたのですが、それを4-1-4-1に。F.トーレスをワントップに。左サイドハーフにカラスコを。トップにいたグリ-ズマンを右サイドハーフに下げて、中央にコケ、サウールと配置。
これが的中し、アトレティコのペースになりました。レアルの動きが鈍ったせいもありますが、中盤でのポゼッションが増え、攻撃の幅が広がったのです。
後半開始早々3分。グリ-ズマンからエリア内のF.トーレスへのグラウンダーのパス。これをDFのペペの出した足がPKをとられます。しかしこの同点のチャンスにキッカー、グリーズマンが決めれず。
ただ、あれはPKじゃないと思ったので、外してくれてむしろ良かったと思いました。せっかくのCL決勝が「PKじゃない、いやPKだ」論争で終わるのはできれば避けてほしかったので。
PKを外したアトレティコですが、依然としてペースは握ったまま。そんな中、後半32分にレアルがチャンスを逸し、その直後の33分待ちに待った同点ゴールが生まれます。
右サイドを崩して、ファンフランがダイレクトで折り返したボールが逆サイドへ。スライディングしながら決めたのはベルギー代表カラスコ。
レアル1-1アトレティコ
これで流れは完全にアトレティコ。特にゴールを決めたカラスコの動きが目立っていました。レアルは交代カードを全部切ってしまい、さらに前線のベイル、ロナウドは足を痛そうにしていて明らかに疲弊していました。
しかしアトレティコの選手たちも次第に足が止まってきて、試合は消耗戦の様相を呈してきます。
この時間帯でアトレティコは効果的な交代カードを切れなかったのが痛かったです。また4-1-4-1にしてせっかく流れが良かったのに、この時間帯でなぜか4-4-2に戻しています。これはシメオネ監督の采配に疑問符がつくところ。
レアルは、前線の動きが失われたものの、マルセロや途中交代のイスコが中盤からドリブルしてスルスルとゴール前に顔を出し始め、チャンスメイク。こぼれ球を満身創痍のロナウドやベイルが狙うという展開で流れを引き戻します。
しかし後半ロスタイムにセルヒオラモスが相手の決定機をファウルで潰しイエローをもらいます。ジダン監督はひやりとしたことでしょう。あれはレッドが出ていてもおかしくないプレーでした。
アトレティコ側からしてみると、
(1)4-4-2への戻し。
(2)有効な交代選手の不在。
(3)セルヒオラモスのファウルに対する審判の判断
同点に追いついてからのこの3つがあと一歩で優勝を逃したポイントだったと言えるでしょう。
延長戦では再度4-1-4-1に戻していたようですが、すでに疲労度が大きく、なかなかボールをおさめることができませんでした。さらに延長後半に出てきた交代選手はまったく目立つことなく試合終了のホイッスルを聞くことになりました。
PK戦はご承知のとおり、4人目ファンフランが外し、レアルが5-3で制しました。
結果的に勝負とは関係ありませんが、PKの1本目のキッカーに試合でPKを外したグリーズマンが出てきたのは驚きました。きっちり決めたグリーズマンもすごいですが、それを指名したシメオネもすごいです。
もしPK戦でアトレティコが勝ったとしたなら、この1本目グリーズマンが勝負のターニングポイントになった可能性もあるなあと、まあ所詮たらればですが、そんな感想も持ちました。
話を後半の30分からの15分間に戻します。
アトレティコはこの勝負所でもう一段ギアを入れることができませんでした。これが敗因だと思います。レアルはもうフラフラでした。それでも前線の迫力はアトレティコを最後まで上回っていました。それが王者を知る者たちの意地なのでしょうか。
試合の終盤、ふとロナウドやベイルの白いユニフォームが泥だらけになっているのに気づきました。