藤井四段の勢いが止まりません。今回は佐藤康光九段を破りました。
「炎の7番勝負」は非公式戦ながらAbemaTVで放送されて注目度も高いので、対戦棋士もその分気合いを入れてくるはず。
しかも前回は深浦九段、今回は佐藤康光九段と連続してA級棋士ですからね。
短い持ち時間は、藤井四段に有利な土俵だと言えますが、それにしても中学生棋士が、A級棋士に2連勝するのはすごいことだと思います。これで次戦の羽生さんの対局が益々楽しみになってきました。
さてでは、今回の佐藤九段との対局で、印象に残った手をみていきましょう。
まず1つめが序盤の駒組で藤井四段が指した67金直
ぼくなら平凡に88玉から銀冠に組んでしまうところですが、さすがにこういう所はプロとアマチュアの差が大きいです。
この67金直の意味は、玉は78のままで、飛車を89に回して8筋を攻めようとってことです。
実戦はこの構想がかなりうまくハマりました。95歩と9筋の位をとってるのも大きいです。(というか、95歩と突いたときにすでに89飛の構想があったということでしょう)
局面は中終盤。藤井四段の8筋からの攻めが続きます。
佐藤九段が83金と受けた局面。
ここで95桂が好手でした。(印象に残った手2つめ)
以下、同銀、85飛、84銀、93銀、同金、同香成、同玉と進みます。
ここは藤井四段得意の終盤戦。見事な寄せを披露してくれました。
99香、94歩、72角。
指されてみると簡単な手順ですが、こういうのも背後に膨大な読みがあるからこそなんですよね~
図から実戦は83歩でしたが、以下94香、同玉、95金がピッタリの手で、そのまま即詰めに。
仮に83銀と受けても、94香、同銀、92金という手があって、寄っています。
こうして見ると、藤井四段の圧勝のように思えますが、ネット上で見かける「手合い違い」なんて評は、将棋の級位者くらいが単に煽っているだけです。
そもそもこの将棋は8筋の攻防が全ての将棋。力のぶつかり合いで少しでも差がつくと、そのまま大差となって終局を迎えることも珍しくありません。
今回の対局もそうなっただけの話です。
そうは言っても藤井四段は強いです。
終盤の寄せは緩みがなく、切れ味は最高。これほどの切れ味は谷川さん、村山さん、羽生さんクラスだと思います。
着地がピタッと決まる体操演技のような感じで、見ていて爽快感がありますね。