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日本シリーズと流れ論

今日から野球の日本シリーズが始まります。
今年は日ハムと広島の対戦。ペナントレースを制したチーム同士の対決となりました。

日本シリーズは、短期決戦ということもあってか、やたらとテレビで「流れ論」を話す解説者を見かけます。

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ここで「流れ」が単にオカルト的な要素のものとして語られるのか、それとも選手の心理状態がプレイに影響を及ぼすことを考えた上で語られるのか、という違いはあります。

そして流れについての議論になると必ず、「流れがあるか?ないか?」という方向に行きがちです。

しかし、流れがあるかどうか?といった話よりも重要なのは、流れが予測性を持つかどうかという点だとぼくは思います。

オカルトか心理的な要因かは別として、流れを持ち出す解説者は、ほぼ全員が、「流れ=予測性を持つ」という立場です。

そうした流れ論は、結果を見てからいろいろ都合良く説明を変えることができるため、とても万能です。(言い換えるとズルいです)

流れがAチームへ行ったのにもかかわらず、Bチームが得点するとそれは「流れが変わった」ということを意味しており、流れが予測性を持つことと矛盾しないという主張なのです。

しかし、近年はそうした酷い解説も少しずつ少なくなってきてるように思います。

その転機となったのが2013年の日本シリーズだったのではないかとぼくは想像しています。

2013年の日本シリーズは楽天と巨人と対決でした。第4戦まで2勝2敗の五分。第5戦を2-1とリードしていた楽天ですが土壇場の9回に巨人が同点に追いつきます。「流れは完全に巨人」しかし、延長戦となった試合を制したのは楽天でした。これで対戦成績3勝2敗で王手。楽天にとってはとても大きい勝利でした。なぜなら次戦はマー君が先発するからです。そう。「流れは完全に楽天」なのです。

第6戦は満を持してエースの田中将大が先発しました。しかし田中はこの試合4失点で負け投手に。巨人はマー君を打ち崩し3勝3敗で逆王手。またしても流れは巨人へと大きく変わりました。

そして最終第7戦。この試合は楽天の先発美馬が好投。そしてみんなの記憶に残っているマー君の9回の抑え登場。楽天が勝利しトータル4勝3敗で日本一に輝いたのです。

こうして振り返るとよくわかります。
流れに予測性はないということが。

流れは今ある事実を指し示すだけで、将来起こり得る出来事を予想するものではありません。

試合中、選手の心理的状態に大きく影響を及ぼすような場面があることも否定はできません。しかし我々はそうした心理的な苦境を選手個々の技術とメンタルコントロールで克服する姿を見たいのです。

我々は、日本一を決めるこの舞台で、前のエラーを心理的に引きずって次の打者にホームランを打たれるようなピッチャーを見たいわけではありません。むしろエラーを引きずらない一流のプレイを見たいのです。

プロとはそういうものだと思ってますから、プロ野球の解説で流れを持ち出すのはそれが心理的な要因を考慮したものであっても不適切だと思うのです。

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