dynabook GZ/HVは2022年3月発売のノートPC。
- 13.3インチ、875gで持ち歩きOK
- CPUはインテル第12世代で高性能
- キーボードの配列がきれい
- USBポート4つで拡張性も優秀
という特徴をもっています。
辛口レビューが多い筆者ですが、このパソコンの完成度は高いです。素直に評価したいと思います。
まずはスペックから見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU:Core i7-1260P
・メモリ:16GB (2GB x8)DDR5
・ストレージ: SSD 1TB
・ディスプレイ:13.3型 (1920×1080) 、非光沢、 広視野角
・USB: USB-C x2、USB-A x2
・インターフェイス: microSDカード、有線LAN、HDMI、ヘッドフォン
・Wi-Fi: Wi-Fi 6対応
・顔認証あり、指紋認証あり
・サイズ: 306×210mm×17.9mm
・重量: 875g
CPUは12コア16スレッドのCore i7-1260Pを搭載。
メモリの16GBは8スロットに分かれており2GBx8という構成になっています。
注目のインテル第12世代。後でくわしく書きますが、非常に高い性能を発揮します。
Core i7、メモリ16GB、SSD1TBという構成で4月21日時点の価格は17.1万円(税込、送料込)です。オプションでMicrosoft Officeを付けることも可能です
※価格は変動することがあるので最新情報はdynabook公式のオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
筐体カラーはオニキスブルーとパールホワイトの2種類を用意。
レビュー機はオニキスブルーです。
深めの紺色で室内では黒に近く見えます。
ボディ素材にはマグネシウム合金を採用しています。
表面の光沢はないので高級感という意味では少し物足りない感じがしますが、指紋が目立ないデザインで悪くないかなと思います。
重さを実測すると838gでした。
公称値が875gでしたがそれよりも37g軽かったです。
800g台は感動的な軽さです。
片手で軽々と扱えますし、ソファで横になりながら操作することも楽にできます。
ディスプレイはSHARPのIGZOパネルで
・FHD (1920×1080)
・縦横比16:9
・非光沢
・広視野角(IPS相当)
という仕様。
映り込みは少なく見やすいディスプレイです。視野角も広いです。
最近は縦に長い16:10が主流。Webサイトの情報量が多く表示されるので作業効率がアップするので好まれています。本機は16:9のままだったのが少し残念です。
ただディスプレイの質は良いです。
・輝度(明るさ) 400nit
・色域 sRGBカバー率 98%
明るさと色域は平均以上です。画像編集などクリエイティブな作業にも使えるディスプレイです。
ディスプレイ上部にはWebカメラ。
物理シャッター付きなので使用しないときは隠しておくことが可能です。カメラは顔認証に対応しています。
良い: 838gで超軽量
良い: 明るいディスプレイ
微妙: 16:10ではなく16:9
AIノイズキャンセラー
dynabook GZ/HVにはAIノイズキャンセラー機能が搭載されています。
ZoomなどのWeb会議中にまわりの環境音などをAIが自動で判定して除去してくれる機能です。 https://www.youtube.com/embed/fQthHShhYPQ
dynabook公式のyoutube動画を参考にしてみてください。
筆者も実際にZoomで試してみました。
確かに遠くのノイズはきれいに除去してくれるようですが、近くの音だと音の周波数にもよって除去具合が変わってきます。全てのノイズが消えるというわけではありませんが、会話がクリアに聞こえるということは確かです。
AIノイズキャンセラーはZoomやTeams、Skype、LINE、Slackなどに対応しています。
ベンチマーク
CPUはCore i7-1260P。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3589
マルチスレッド: 15483
というスコアでした。
マルチスレッドは期待されたスコアよりも低いですが、シングルの方は期待以上に優秀です。
シングル | マルチ | |
Core i7-1260P | 3589 | 15483 |
Core i7-11800H | 3139 | 21447 |
Ryzen 7 5800H | 3082 | 21464 |
Ryzen 7 5800U | 3095 | 18852 |
Core i7-1165G7 | 2877 | 10603 |
シングルのスコアは、2021年のエース格だったCore i7-11800HやRyzen 7 5800Hを約15%上回ります。
電源から外した状態でもテストしてみましたが、スコアはほとんど変わらず優秀でした。
◆リアルなアプリの快適度
当サイトが重視するベンチマークテスト、PCMark10の結果を見てみましょう。
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Essentials(一般的な利用) 9904 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)6817 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 5724 (目安3450)
900g台の超軽量ノートで人気のHP Pavilion Aero 13-beと比較してみました。
HP Pavilion Aero 13-be | dynabook GZ/HV | ||
Ryzen 7 5800U | Core i7-1260P | スコア差 | |
アプリ起動 | 9201 | 12200 | 24.6% |
ビデオ会議 | 8165 | 8381 | 2.6% |
Webブラウジング | 8338 | 9503 | 12.3% |
表計算 | 10992 | 6876 | -59.9% |
文章作成 | 6908 | 6760 | -2.2% |
画像編集 | 7154 | 9712 | 26.3% |
レンダリング | 4494 | 3418 | -31.5% |
動画編集 | 3432 | 5652 | 39.3% |
PavilionはRyzen 7 5800Uを搭載しており、マルチスレッドが効く作業でのスコアが良いです。一方、dynabookはシングルスレッドが効く作業で強さを発揮しています。
アプリ起動やWebブラウジングといった普段使いではdynabookの方が優位ですし、画像編集や動画編集でも26~39%のスコア差をつけています。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました。
その結果が下の表になります。
CPU | メモリ | タイム(秒) |
Core i7-1260P | 2GBx8 | 5.6 |
Core i7-11800H | 8GBx2 | 8.6 |
Core i7-1165G7 | 8GBx2 | 8.7 |
Ryzen 7 5800H | 8GBx2 | 12.7 |
Ryzen 7 5800U | 8GBx2 | 12.8 |
5.6秒という予想以上に速いタイムで驚きました。
これまでどんなにハイスペックなPCでも8秒かかっていたタイムが一気に5秒台へ。何度か測定し直してみましたが、間違いありませんでした。
第12世代インテルの強さがはっきり出た結果です。
RAW現像以外に「空の選択」や「放射ぼかし」などの作業時間を計測してみました。
空の選択 (秒) | 放射ぼかし(秒) | |
Core i7-11800H | 2.7 | 1.8 |
Ryzen 7 5800H | 3.1 | 1.6 |
Core i7-1165G7 | 3.6 | 2.7 |
Ryzen 7 5800U | 3.6 | 1.9 |
Core i7-1260P | 9.8 ? | 2.0 |
「空を選択」はAdobeのAIを利用した機能ですが、最近この機能がアップデートされたせいか本機との相性は悪かったです。今後Adobeの方で修正されると思います。「放射ぼかし」に関しては、Core i7-11800HやRyzen 7 5800Hと大きな差はありませんでした。
Photoshopは作業によって強さが発揮できるところと、そうでないところがあります。
RAW現像速度の飛躍的な短縮には驚きました。
◆Davinci Resolveで動画編集
180秒のFHD動画(30fps)の書き出しにかかった時間を計測してみました。
CPU | GPU | タイム(秒) |
Core i7-11800H | RTX 3050 | 65.9 |
Ryzen 7 5800H | AMD Radeon | 79.4 |
Ryzen 7 5800U | AMD Radeon | 92.6 |
Ryzen 7 5700U | AMD Radeon | 99.3 |
本機 (Core i7-1260P) | Intel Iris Xe | 108.7 |
書き出し(レンダリング)はマルチスレッド性能がモノを言います。本機はマルチスレッドがそんなに高くないのでタイムはRyzenよりも遅かったです。動画編集自体は快適ですが、書き出しに時間がかかるのはネックです。
◆軽めのゲーム
最後にファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)でベンチマークをとってみました。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは6443、「やや快適」という結果でした。
DAIV 5P | Core i7-11800H | RTX 3050 | 18971 |
ThinkPad X13 Gen 2 | Core i7-1165G7 | Intel Iris Xe | 6688 |
dynabook GZ/HV | Core i7-1260P | Intel Iris Xe | 6443 |
IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H | AMD Radeon | 5176 |
ENVY x360 13 | Ryzen 7 5800U | AMD Radeon | 4643 |
ゲームは軽量ノートとしては健闘している方だと思いますが、下位のグラボ、RTX 3050を搭載した機種よりもまだまだ下です。ゲームはちょっと厳しいと考えておいた方がいいですね。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
◎画像編集(RAW現像)
△動画編集
×ゲーム
という目安になります。
良い: PhotoshopのRAW現像時間が圧倒的
良い: 普段使い、ビジネス利用も文句なしの性能
良い: バッテリー駆動時にパフォーマンス低下がない
悪い: マルチスレッド性能が伸びないので動画書き出しは苦手
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。
キー配列はオーソドックスです。海外大手のDELLやLenovoだと、右のEnterキー周りに窮屈感があることが多いのですが、dynabookの場合その心配はありません。
打鍵感はまずまず良いです。筆者は普段から文章を書くことが多いのでキーボードにはこだわりが強い方ですが、800g台の軽さでこのキーボードなら十分アリかなと思います。
1つだけ気になる点としてバックライトが付いていません。
暗い場所でタイプすることはほとんどないのであまり気になりませんが、最近のノートPCではバックライト付きが多いので本機もそうだと勘違いしないように注意してください。
良い: キー配列良し、打鍵感良し
微妙: バックライトなし
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが2つとUSB-Aが2つです。USBポートが全部が4つ付いており、周辺機器との接続に困りません。
USB-CはThunderbolt 4なので
・高速転送
・タイプC充電
・映像出力
と万能です。
他にはmicroSDカードスロットと有線LANポート、HDMIが付いています。
軽量ながら有線LANポート(RJ-45)が付いているのが大きな特長で、海外メーカーにはない仕様です。有線の方が回線速度も速く安定的です。筆者も自宅にWi-Fiがありますが、メインPCは有線でネットに接続しているのでこれはうれしい仕様です。
良い: USBポートが4つ
良い: 有線LANポート
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は53Whと平均より大きい容量です。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約7.5時間でした。
Pavilion Aero 13 | 5.5時間 |
Surface Pro 8 | 6.5時間 |
ThinkPad X1 Carbon | 7.0時間 |
dynabook GZ/HV | 7.5時間 |
ZenBook 14 Ultralight | 8.0時間 |
バッテリーライフは優秀です。テストした条件は厳しめなので、普通にネットするだけとかであれば12時間くらいはもちそうです。
音や熱に関しても許容範囲内。問題ありませんでした。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・CPUのマルチスレッド性能が期待ほどではない
・在庫が不安定
長所
・とても軽い(800g台)
・普段使い、ビジネス利用に文句なしの性能
・PhotoshopでのRAW現像が爆速
・きれいなキー配列
・インターフェイスが充実
・バッテリーライフも優秀
1kgを切る超軽量ノートとしては現状最高クラスの性能と言っていいと思います (2022年4月時点)。
CPUのマルチスレッド性能が抑えめに設定されていたのは残念ですが、最大の長所であるシングルスレッド性能はいかんなく発揮できており、アプリ起動やWebブラウジングの快適性がアップしています。
PhotoshopでのRAW現像時間が飛躍的に短縮されたことも驚きです。画像編集までなら、これまでのデスクトップPCやゲーミングPCと同等あるいはそれ以上の快適さが得られると思います。
その他、キーボード、インターフェイス、バッテリーライフなども優秀でした。
価格は15万円台から。
性能と軽さ、それに使い勝手の良さを考慮すれば、納得プライスではないかと思います。
弱点らしい弱点はないですが、あえて言うならディスプレイが16:9だったことと、マルチスレッド性能が低めだったことでしょうか。どうしてもディスプレイ16:10がいいという人には14型の新機種dynabook RZ/HVをおすすめします。
dynabook GZ/HV | dynabook RZ/HV | |
CPU | Core i7-1260P | Core i7-1260P |
ディスプレイ | 13.3インチ 16:9 | 14インチ 16:10 |
重量 | 875g | 1.05kg |
価格 | 17.1万 | 23.6万 |
表ではSSD1TBでの価格で比較しています。
どちらも魅力的ですが、価格と軽さで言うならGZ/HVですね。
価格は会員価格です。dynabookは無料会員になるだけで大幅割引となりますので会員になってから購入しましょう。
16:10ディスプレイならこちらもチェックしてみましょう
【追記】
dynabook GZ/HVの在庫、ちょっと不安定なのが残念です。
dynabookさん、もっと増産してもいいのでは?