今日は性能比較の話です。
- Lenovo IdeaPad Slim 550 14型 (AMD)
- DELL Inspiron 14 5415
どちらも2021年4月発売の14型ノート。
スペックは
CPU: Ryzen 5 5500U
メモリ: 8GB
SSD 256GB
と共通です。
6万円台で買えるRyzen 5000シリーズとして2機種とも人気です。
メモリ構成の違い
同じに見えるメモリですが、実はInspironの方がシングルチャネル(8GBx1)、IdeaPadはデュアルチャネル(4GBx2)になっています。
これがパフォーマンスにどのくらいの差を生むのか?
結論から言うと、差は予想よりも大きかったです。
よく見るベンチ、CinebenchやPassMarkのスコアではそこまで差は出ませんが、画像編集やゲームなどリアルなアプリを使った検証ではデュアルチャネル(IdeaPad)の圧勝でした。
以下でくわしく見ていきます。
CinebenchとPassMark
◆Cinebench R23
機種 | メモリ構成 | Cinebench R23 シングル | Cinebench R23 マルチ |
Inspiron 15 5415 | 8GB x1 | 1181 | 6388 |
IdeaPad Slim 550 | 4GB x2 | 1176 | 6950 |
Cinebenchではシングルスレッドとマルチスレッドのスコアを計測しました。
マルチでは約9%ほどIdeaPadが上回りましたが、シングルはほぼ同じスコアでした。
◆PassMark
機種 | メモリ構成 | PassMark |
Inspiron 15 5415 | 8GB x1 | 11258 |
IdeaPad Slim 550 | 4GB x2 | 13126 |
PassMarkのスコアも17%ほどIdeaPadが上でした。
CinebenchとPassMark、両方とも少しだけIdeaPadが優勢ですが、はっきり優位と言うまでには至らないかなという感じです。
PCMark 10
PCMark 10はリアルなアプリを使って、いろいろな作業の快適度を計測するベンチマークです。
スコアが高いほど、パフォーマンスが良いことを示しています。
Inspiron 15 5415 | IdeaPad Slim 550 | スコア差 | |
アプリ起動 | 9610 | 10256 | 6.72% |
ビデオ会議 | 7874 | 8206 | 4.22% |
Webブラウジング | 7400 | 7961 | 7.58% |
表計算 | 9143 | 9266 | 1.35% |
文章作成 | 5486 | 5916 | 7.84% |
画像編集 | 6316 | 8003 | 26.71% |
レンダリング | 3709 | 5023 | 35.43% |
動画編集 | 3362 | 3562 | 5.95% |
InspironとIdeaPad、両者を比較すると、全ての項目でIdeaPadのスコアが上という結果でした。
しかし、先ほどのCinebenchやPassMarkと同様、ほとんどの項目で差は小さいです。
差が大きかったのは画像編集とレンダリング。
27%~35%というスコア差でした。
スコア自体は、IdeaPadが期待どおり。Inspironの方が期待されてたスコアを下回ったという感じです。
アプリ起動や、Webブラウジング、文章作成などの基本的な作業ではスコア差はほとんどないので、普段使いならInspironでもIdeaPadでもどちらでも良いということもわかりました。
Adobe Photoshop (画像編集)
PCMark 10ではGIMPというマイナーなソフトで画像編集の快適度を測定しましたが、次はメジャーなPhotoshopでRAW現像にかかる時間を測定してみました。
6000×4000ピクセルのRAWデータ10枚をそのままJPEGで保存するのにかかる時間の比較です。
機種 | メモリ | タイム (秒) |
Inspiron 14 5415 | 8GBx1 | 32.1 |
IdeaPad Slim 550 | 4GBx2 | 15.7 |
結果はIdeaPadが圧勝でした。
Ryzen+シングルチャネルという構成とAdobeソフトとの相性は良くないようです。
FF XIV(軽量~中量級のゲーム)
最後はゲーム。ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ(2019年発売)でベンチマークを比較してみました。
条件は1920×1080 標準品質(ノートPC)です。
Inspironはスコア2028の普通。
IdeaPadはスコア4267の快適という結果でした。
ゲームに関してもメモリがシングルかデュアルかでかなり変わります。
メモリの増設
Inspiron 14 5415はメモリは8GBのシングルチャネルしか販売されていませんが、メモリスロットに空きがあるので購入後に自分でメモリを増設することが可能です。
しかし今はメモリも以前より値上がりしており、DDR4-3200の8GBを1枚増設するのでも5~6千円はかかります。
そうなると、InspironとIdeaPadの価格差は広がります。
機種 | メモリ構成 | 価格 |
Inspiron 15 5415 | 8GBx1 | 6.8万 |
IdeaPad Slim 550 | 4GBx2 | 6.4万 |
Inspiron 15 5415 | 8GBx2 (メモリ増設) | 7.3万 |
メモリを増設した場合のInspironは7.3万円(メモリ8GBを5千円と見積もって)です。
一方、IdeaPadはメモリ増設はできませんが、最初からデュアルチャネルになっているのでそのままで6.4万円(税込、送料込)。
コスパが良いのはIdeaPadの方です。
Inspironはメモリを増設して16GBにしたとしても、CPUは同じRyzen 5なのでIdeaPadの8GBとパフォーマンスは同等レベルだと推測できます。
まとめ
- メモリがシングルかデュアルかが重要。
- 画像編集やレンダリング、ゲームでIdeaPad(デュアルチャネル)が優位。
- それ以外の通常作業ならほとんど差はない。
Inspiron 14 5415とIdeaPad Slim 550のRyzen 5モデル、どちらを選ぶか?となったとき、
・軽めのゲームをやりたい
⇒ IdeaPad
・軽めのRAW現像をやりたい
⇒ IdeaPad
・ネット、動画鑑賞、オフィス
⇒ どっちでもOK
というのが結論です。
IdeaPadがベストか?と言われるとそれはまた別です。Adobeソフトとの相性ではRyzenよりもインテルの方が断然良いので、クリエイティブPCとして使いたいならインテル第11世代を推奨します。
Ryzen 5 5500U、メモリ8GBという構成なら、ビジネス利用までと割り切って使うのが良いでしょう。
ネット、動画鑑賞、オフィスまでであれば、どちらも十分すぎるほど快適です。
IdeaPadの方が6.4万円(税込、送料込)と安いですし、今なら納期も早いです。
⇒Lenovo公式 IdeaPad Slim 550 14型
Inspironは6.8万円(税込、送料込)。キーボードが改善されて使いやすいです。