LenovoのYoga 770は2022年6月発売のノートPC
- 14インチの2-in-1
- 360度回転パネル、ペン付き
- 2.8K OLED(有機EL)
- CPUはAMD Ryzen 7 6800U
- 重量は1.42kg
という特徴をもっています。
8コア16スレッドのRyzen 7 6800Uを搭載しており、動画の書き出し速度がとても優秀です。動画編集用PCとしておすすめの一台です。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU:AMD Ryzen 7 6800U
・メモリ:16GB (4GBx4)
・ストレージ: SSD 1TB
・グラフィックス: AMD Radeon 680M
・ディスプレイ:14型 (2880×1800)、光沢、タッチ対応、OLED
・USB: USB-C x2 (USB4、USB3.2)、USB-A x1
・インターフェイス: HDMI、microSD、ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)、IR、プライバシーシャッター
・顔認証あり、指紋認証なし
・サイズ: 316.66×220.25×17.35mm
・重量: 1.42kg
・ペン: Lenovo デジタルペン
レビュー機はRyzen 7 6800Uにメモリ16GBという構成。8月8日時点の価格は15.5万円(税込、送料込)です。CPU性能、2.8Kの有機ELディスプレイでこの価格は破格と言えます。
メモリは32GBにアップグレード可能でその場合は17.7万(税込、送料込)となります。
またMS Office付きのモデルも用意されています。
※価格は変動することがあるので最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはストーンブルー。落ち着きのある青で、質感も良いです。指紋も目立ちません。
天板にYogaのロゴが入っています。
アルミ合金を使用しており、剛性感もあります。
全体のデザインはシャープというよりも丸みのあるデザイン。もっと薄くてシャープなデザインが好きという人もいるかもしれません。ただ排熱問題、USBポート、HDMI端子の問題などを考えるならこのくらい余裕のある設計の方が実用的なのかもしれません。
重さは実測で1.43kg
毎日持ち歩くにはちょっと重めです。
2-in-1タイプとしては平均的な重量ですが、クラムシェルとして見るならもうちょっと軽くても良かったかなと。バッテリー容量を少し削れば1.3kgぐらいになるのにと思ってしまいました。
ディスプレイは
・2.8K 2880×1800
・有機EL (OLED)
・縦横比16:10
・光沢、タッチ対応
・リフレッシュレート 90Hz
・輝度(明るさ) 400nit
・色域 DCI-P3 100% (sRGB133%相当)
という仕様。
有機ELらしく、コントラストが効いていて、色も鮮やかです。
光沢タイプなので映り込みがあります。上の画像では室内のカーテンが映り込んでいるのがわかります。
普通の液晶ディスプレイと比較してみます。
左が本機、右が2022年発売のDELL Inspiron 14 AMDです。
左(有機EL)の方が、色が鮮やかです。黒の締まりも良いです。写真よりも実物の方がさらに違いがわかります。画像編集などのクリエイティブな作業に使うにはとても良いディスプレイと言えます。
Webカメラの解像度はFHD(1080p)です。
2021年まではHD(720p)が多かったですが、2022年からFHDのカメラが多くなっていますね。
上の写真のように、HDよりも画質が良いです。
ただ背景の白い壁がやや白飛びしているのが気になりました。
カメラは顔認証機能付き、使用しないときのためにプライバシーシャッターも付いています。
良い: 有機ELディスプレイの美しさ
微妙: 「薄型、シャープ」というよりも、丸み、厚みを少し残したデザイン
タッチ対応、ペンも使える
ディスプレイはタッチパネルになっており、ペンも使えます。
付属のLenovoデジタルペンですが、書き心地は正直良くないです。
摩擦が強すぎて、きれいな線や文字が書けません。メモをとるだけという使い方でも厳しいかなと思いました。無料で付いてくるのは有り難いですが、ペンは別で買った方がいいでしょう。
ペンの書き心地が悪いです
ベンチマーク
CPUはAMD Ryzen 7 6800U。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3459
マルチスレッド: 21629
というスコアでした。
マルチスレッド性能もシングルスレッドも高く、ほぼ期待どおりのスコアです。
2021年のゲーミングPCやクリエイター向けPCに搭載されているRyzen 7 5800HやCore i7-11800Hを上回るスコアが出ていました。
電源から外した状態でもテストしてみると
シングルスレッド: 2441
マルチスレッド: 19356
でスコアは低下しました。
特にシングルスレッドで29%もスコアが下がっているのが気になります。
◆リアルなアプリの快適度
当サイトが重視するベンチマークテスト、PCMark10の結果を見てみましょう。
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
こちらは電源につないだ状態での結果です。
Essentials(一般的な利用) 9881 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)8955 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 7490 (目安3450)
2022年モデルのASUS Zenbook S 13 OLED (Ryzen 7 6800U搭載)と比較してみます。
Yoga 770 | Zenbook S 13 OLED | ||
CPU | Ryzen 7 6800U | Ryzen 7 6800U | スコア差 |
アプリ起動 | 12945 | 9281 | 39.5% |
ビデオ会議 | 8651 | 8162 | 6.0% |
Webブラウジング | 8617 | 8286 | 4.0% |
表計算 | 10511 | 10385 | 1.2% |
文章作成 | 7630 | 6690 | 14.1% |
画像編集 | 13466 | 11708 | 15.0% |
レンダリング | 7358 | 7372 | -0.2% |
動画編集 | 4242 | 3932 | 7.9% |
CPUは同じですが、本機の方がスコアは優秀です。
アプリ起動、文章作成、画像編集で大きな差が出ました。
また総合スコアは過去最高点でした。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
CPU | タイム (秒) |
Core i7-1260P | 5.6 |
Ryzen 7 6800U | 7.1 |
Core i7-11800H | 8.6 |
Core i7-1165G7 | 8.7 |
Ryzen 7 5800U | 12.4 |
Ryzen 7 5800H | 12.7 |
タイムは7.1秒。インテルのCore i7-1260Pが1つ飛び抜けたタイムになっていますが、その下にRyzen 7 6800U。Core i7-11800Hや1165G7よりも速く2位に位置しています。
以前のRyzenはAdobeとの相性が悪かったのですが、6800Uになってかなり改善されていることがわかります。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。。
機種 | CPU | タイム(秒) |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 59.8 |
DAIV 5P | Core i7-11800H | 65.9 |
Zenbook S 13 OLED | Ryzen 7 6800U | 67.5 |
IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H | 79.4 |
Pavilion Aero 13 | Ryzen 7 5800U | 92.6 |
dynabook GZ/HV | Core i7-1260P | 108.7 |
タイムは59.8秒とこれまでで最速でした。
動画書き出しではマルチスレッド性能が効くのでCore i7-1260Pよりも速いタイムが出ています。また同じRyzen 7 6800U搭載機のASUS Zenbookよりも速いです。
◆軽めのゲーム
最後にファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)でベンチマークをとってみました。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは8420、「快適」という結果で平均フレームレートは70fpsでした。
DAIV 5P | Core i7-11800H | RTX 3050 | 18971 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | Radeon 680M | 8420 |
ZenBook S 13 OLED | Ryzen 7 6800U | Radeon 680M | 7511 |
Surface Laptop Go 2 | Core i5-1135G7 | Intel Iris Xe | 7470 |
IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H | AMD Radeon | 5176 |
Ryzen 7 6800UとセットとなるGPUはRadeon 680Mです。インテルの内蔵グラフィックスよりは上で、軽めのゲームならある程度プレイできることがわかります。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
〇画像編集(RAW現像)
〇動画編集
△ゲーム
という目安になります。
良い: Ryzen 7 6800UになってPhotoshopとの相性が改善された
良い: 動画書き出しはとても速い
良い: 設定を落とせば軽めのゲームも楽しめる
微妙: バッテリー駆動時にパフォーマンスが低下する
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.2mmです。
ストロークは浅めですが、クリック感があるので打鍵感はまずまずです。
キーはLenovoお馴染みの配列と形状です。
EnterやBackspaceが横をくっついており、見た目は良くありません。
ただ慣れるとそこまで違和感はないです。タッチパッドの操作性も問題なしです。
キーボードにはバックライト付きなので暗い場所で使うときもタイプしやすいです。
微妙: キーボードは普通です。
インターフェイス
USBポートは全部で3つ。
USB-Cが2つあり、
・USB4 (転送速度40Gbps)
・USB3.2 Gen 2 (転送速度 20Gbps)
となっています。
どちらもPD対応(タイプC充電可能)で、映像出力にも対応しています。
USB-Cの1つは電源ポートとして使用するので、常時使用可能なポートはUSB-CとUSB-Aの2つのみとなります。
あとはHDMIとmicroSD、ヘッドフォンジャックです。
できればフルサイズのSDカードスロットが良かったです。
良い: 高速なUSB4ポートあり
悪い: フルサイズのSDカードスロットなし
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は71Whと平均より大きい容量です。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約9時間でした。
Pavilion Aero 13 | 5.5時間 |
Surface Pro 8 | 6.5時間 |
dynabook GZ/HV | 7.5時間 |
Yoga 770 | 9.0時間 |
Inspiron 14 5425 | 9.5時間 |
ZenBook S 13 OLED | 12.0時間 |
バッテリーライフはまずまず優秀です。軽めの作業なら終日もつでしょう。
その他、熱と音に関しても大きな問題はありませんでした。
負荷をかけたときのファン音はそれなりにしますが、うるさくて困るというレベルではありません。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
バッテリー | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・付属のペンの書き心地が良くない
・フルサイズのSDカードスロットなし
長所
・画像編集、動画編集もOKな性能
・有機ELの美しさ
弱点が少なく、とても優秀です。
ペンは明らかな短所ですが、元々オマケみたいなものなので期待せずにおきましょう。このPCを普通のクラムシェルノートとして使うならそこまでマイナスではないと思います。
性能とディスプレイは文句のない仕上がりです。
Ryzen 7 6800Uの性能をフルに発揮できているので、動画の書き出しはかなり速いです。簡単な動画編集用PCとしておすすめできます。もちろんRAW現像も問題なく快適です。
基本はクリエイター向けですが、ビジネス用として使っても何も問題ないですし、軽くゲームをやりたい人にも良いと思います。
欲を言えば、SDカードスロットが付いていてほしかったです。常時使えるUSBポートは2つなので、SDカードリーダーを買うにしてもポートの数は少し不安です。
価格は魅力。
Ryzen 7、メモリ16GB、SSD 1TBで15万円台。メモリ32GBでも17万円台です。
有機ELディスプレイでこの価格は破格の安さです。