いつも通行人のシルエットを主題としたストリート写真を撮っていますが、それには以下のような理由があるのです。
◆シルエットは印象的
シルエットはコントラストだ。
明るい背景と暗い被写体、明暗差によってシルエットが生まれる。
人間はそうしたコントラストにパッと目がいくように出来ている。
写真を見た人に、主題である人物シルエットにパッと目がいくように誘導できる。
街並み全体を切り取り、人物が小さくなったとしても、シルエットはちゃんと主題としての力を持っている。
◆プライバシーに配慮したシルエット
通行人をスナップするとその人の顔がはっきり写ってしまうこともある。
スナップなら通行人を入れたいな~と思う人は多いはずだが、プライバシーの問題からそれを躊躇する場合もあるだろう。
プライバシー権 vs. 表現の自由
という問題の折衷案としてシルエットは良い線いってるんじゃないかと思う。
シルエットなら何をしてもいいというわけではない。
ただシルエットは、上でも述べたように距離をとっても強さが残るので、通行人に不快な思いをさせることなく撮ることが可能だ。
◆光と影を意識するようになる
シルエットを撮るということは、光と影を意識するということで、とても良い練習になる。
写真の基本かつ重要なポイントがシルエットを通じて学べる。
試したことがない人はぜひ1回試してほしい。
ストリートで通行人のシルエットを撮るというプロセスを体験すれば、写真を撮る行為がいかにロジックの積み重ねであるかがわかるはずだ。
シルエットを基本に設計していけば、
何を撮るか?
どういう構図で撮るか?
という迷いが消える。
ストリートでは起こった出来事を受け身で撮るしかないように思うかもしれないが、
そうではない。
1つ1つの要素を計算し、予測し、コントロールすることができるようになるのだ。
最後はちょっとした運の要素も必要となるが、大部分をコントロールして撮れるようになると、写真が本当に楽しくなってくる。
◆一瞬のシルエット
シルエットというと海や空などをバックにした状況を思い浮かべる人は多い。
※2017年に撮影。この頃はまだ下手だった
しかしシルエットは、都会の街中でもたくさん存在する。
それはあまりに一瞬なので、普段我々は見過ごしているのだ。
そうした一瞬のシルエットを写真として切り取ると、とてもドラマチックなものとなる。
日常の中に美を発見するというストリート写真の醍醐味はまさにここにあると思う。