CPU性能についての記事です。2019年にも同様の記事を書きましたが、少しだけ考え方が変わったので補足しておきます。
以前はマルチスレッドの性能のみで判断してましたが、シングルスレッド性能も重要だねという内容になっています。
CPUの性能を示す数値をベンチマークスコア。その中でPassMarkのベンチマークスコアは有名です。
PassMarkのスコアは
- シングルスレッド
- マルチスレッド
の2種類があります。
みんながよく目にするのはマルチスレッドの方ですが、シングルスレッド性能も重要です。
アプリ起動やWebブラウジングといった基本的な作業ではシングル性能が効いてきます。マルチ性能も複数のアプリを同時に使用したりするときに必要です。
なので、シングルとマルチ両方のスコアを見て判断するのがベストです。片方だけでも良いのですが、正確に判断するなら両方を見ておいた方がいいです。
◆どのくらいのスコアがあればいいのか?
これまで100台以上のノートパソコンを見てきた筆者の経験から言うと
シングルスレッドスコア ⇒ 1500以上
マルチスレッドスコア ⇒ 2500以上
であれば、普段使いはOKです。
この基準をクリアしていれば、ネット、動画視聴、ワードエクセルといった軽い作業は快適にこなしてくれます。
これは感覚的なものなので、人によって感じ方の差はあります。すごくせっかちな人はもっと速く動いてくれないとダメと感じるかもしれません。上記の基準が100%正しいというわけではないのでその点はご了承ください。
搭載機種など | シングル | マルチ | 評価 | |
Core i3-1115G4 | DELL Inspiron 15 3501 | 2698 | 6278 | ◎ |
Core i5-8250U | 2018年のCore i5 | 1932 | 5938 | 〇 |
Ryzen 3 3250U | DELL Inspiron 15 3505 | 1846 | 3985 | 〇 |
Athlon Silver 3050U | HP 15s-eq | 1714 | 3067 | 〇 |
Core m3-10100Y | Surface Go 3 上位モデル (2021年) | 1813 | 3151 | 〇 |
Pentium Gold 6500Y | Surface Go 3 下位モデル (2021年) | 1812 | 2995 | 〇 |
Core i5-6200U | 2016年のCore i5 | 1588 | 3029 | 〇 |
Core m3-8100Y | Surface Go 2 上位モデル (2020年) | 1780 | 2986 | 〇 |
Core i3-7100U | 2017年のCore i3 | 1392 | 2721 | △ |
Celeron N5100 | Chuwi GemiBook Pro 14 | 1380 | 3165 | △ |
AMD 3020e | HP 14s-fq、富士通LIFEBOOK AHシリーズ | 1429 | 2495 | △ |
Celeron N4120 | NEC LAVIE Direct N11 | 1102 | 2493 | × |
Celeron N4100 | MousePro-P101A | 1009 | 2449 | × |
Celeron 6305 | 富士通 LIFEBOOK WA1/F3 | 1227 | 2204 | × |
Celeron N4020 | ASUS E410MA | 1175 | 1573 | × |
表の一番上、Core i3-1115G4はインテル第11世代のCore i3です (2021年のCore i3)。シングルもマルチも両方とも基準を余裕でクリアしています。
このCPUを搭載したPCなら5万~6万くらいで買えます。まずは相場としてこのCore i3を頭の中に入れておきましょう。
二番目で出てくるCore i5-8250Uはインテル第8世代のCore i5です(2018年のCore i5)。これも基準をクリアしているので普段使いまでなら快適に使用できるでしょう。
有名どころでは2021年のSurface Go 3。
Core m3-10100YやPentium Gold 6500YといったCPUも基準をクリアしています。
Celeron N5100はChuwi(ツーウェイ)という中華PCでよく見るCPUです。マルチは2500以上あるのでOKですが、シングルが1380でちょっと足りていません。ということで評価は△にしました。実際このCeleron N5100を搭載したパソコンを使用したことがありますが、ネットとyoutubeだけならけっこう快適です。でもWindowsのアップデートがあるときとか、初期設定直後とかはモッサリ感がありました。
Celeron 6305は富士通のローエンドモデルなどに搭載されています。
こちらはシングル、マルチともに基準をクリアできていないので評価は×です。実際に使っていてそんなに悪くないよと言う人もいるかもしれませんが、スマホのサクサク感に比べると反応が悪いことは確かです。
当サイトとしては少なくとも評価△以上を推奨します。5~6万出せるのであれば、素直に最新のCore i3以上、Ryzen 3以上を買っておきましょう。それが一番わかりやすいです。
意外かもしれませんが、日本のメーカーの5~6万のPCは評価×が多いです。
日本製だから性能も良いだろうと早合点しないように気を付けましょう。
PassMarkのスコアは以下のページで調べることができます。
マルチもシングルも載っています。
あと、前提条件として
・メモリ 8GB (4GBは厳しい)
・ストレージは HDDではなくてSSD
ということも覚えておきましょう。
安いPC選びで重要なのはいかに欠点をなくすかということです。
メモリ4GBやHDDは、CPU性能の足を引っ張る致命的な欠点となります。
今回の基準はWindows機の基準です。
ChromeBookだともっと性能が低くても大丈夫です。
◆画像編集や動画編集の目安は?
画像編集や動画編集の目安(基準)を一言で言うのは難しいです。
- 画像編集といってもjpgデータを軽くいじるような編集
- Adobe LightroomでRAW現像。パラメータをいじるような編集
- Adobe PhotoshopでRAW現像。20個以上のマスク処理をするような編集
というように段階があるからです。
軽いRAW現像なら、
シングル 2000以上
マルチ 10000以上
くらいあれば大丈夫でしょう。
クリエイター向けPCと言われる機種だと
シングル 3000以上
マルチ 20000以上
がぐらいあるのが普通です(2022年4月時点)。
基本的に画像編集はシングル重視。動画編集は書き出しにマルチが効くのでシングルとマルチ両方必要となります。
また前提として
・メモリは16GB
・ディスプレイの色域(色再現性)はsRGBカバー率100%
という条件もあります。
◆まとめ
- PassMarkスコア、よく見るのはマルチスレッド性能
- シングルスレッド性能も重要
- 普段使いの目安は、シングル1500、マルチ2500
普段使い用で困ったら最新モデルのCore i3以上、Ryzen 3以上を買っておけばOKです。