LenovoのIdeaPad Gaming 370(16型 AMD)は2022年6月発売のゲーミングPC
- 16型2.6kg
- CPUはAMD Ryzen 6000シリーズ
- クリエイター向けのディスプレイ
という特徴をもっています。
実際に使ってみた感想は
良い
・sRGBカバー率 100%、リフレッシュレート165Hz
・画像編集、動画編集にも使える
・コスパがとても良い
悪い
・生体認証なし
・SDカードスロットなし
・ボディは樹脂製。高級感はない
・SSDが512GB。ゲーム用としては少ない
となります。
マイナスがいくつかありますが、性能と安さは大きな魅力です。
以下でくわしく見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit ・CPU:AMD Ryzen 7 6800H ・メモリ:16GB (8GBx2) ・ストレージ: SSD 512GB ・グラフィックス: GeForce RTX 3050 Ti ・ディスプレイ:16型 (1920×1200)、非光沢、100%sRGB、165Hz ・USB: USB-C x1、USB-A x2 ・インターフェイス: HDMI、有線LAN、ヘッドフォン ・Webカメラ: FHD(1080p)、プライバシーシャッター ・顔認証なし、指紋認証なし ・サイズ: 359.6x277.8x20.9~25.9mm ・重量: 2.6kg
レビュー機はRyzen 7 6800HにRTX 3050 Tiという構成。
ゲーミングノートの中では「中の中」「中の下」といったポジションになります。重量級のゲームをやるなら上位のRTX 3060が推奨されますが、中量級までならRTX 3050 Tiでも十分かなと思いました。
10月14日時点での価格は13.5万(税込、送料込)とかなり安いです。
このコスパの良さが最大の魅力です。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはオニキスグレー。暗めのグレーです。
ボディの素材は樹脂(再生プラスチック)であまり高級感はありません。
また指紋も少し目立ちます。
コストを抑えたデザインになっていますが、安っぽくて困るというほどではありません。
15万~20万くらいする機種と比較すると見劣りしますが、このスペックで13万円台ということを考えるなら、悪くないレベルです。
背面が少し出っ張っているのがゲーミングノートっぽいですね。
これがあまり好きじゃないという人もいるかもしれません。
このデザインは効率的に熱を逃がすのに役立っています。高い性能を出せるのはこのデザインのお陰ということを知っておけば、許容できると思います。
重量は2.6kgあるので持ち運びは厳しいです。基本は据え置きと考えておきましょう。
後、ACアダプターも大きいです。
手の大きさと比べてもらえるとわかりますが、通常の2倍くらいのサイズです。
ディスプレイは
・FHD 1920×1200
・アスペクト比 16:10
・非光沢
・リフレッシュレート 165Hz
・輝度(明るさ) 400nit
・色域 sRGBカバー率 100%
という仕様。
画面は170度くらい開きます。
視野角が広く色味も自然です。有機ELディスプレイに比べると色味があっさりしているかなという印象です。
sRGBカバー率100%。色域が広いので、本格的な画像編集にも使えるディスプレイです。
良い: ディスプレイはクリエイター向けの水準をクリア
悪い: 樹脂製なので高級感はない
ベンチマーク
CPUはRyzen 7 6800H。2022年Ryzenのエースを搭載しています。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3449
マルチスレッド: 25188
というスコアでした。
マルチスレッド性能もシングルスレッドも高いです。
インテルのCore i7-12700Hには及ばないものの、Ryzen 7 6800Hの平均よりも少し上のスコアが出ています。
◆リアルなアプリの快適度
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを余裕で上回りました。
Essentials(一般的な利用) 9384 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)9044 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 8272 (目安3450)
2021年のmouse DAIV 5Pとスコアを比較してみます。
IdeaPad Gaming 370 | DAIV 5P (2021) | ||
CPU | Ryzen 7 6800H | Core i7-11800H | スコア差 |
アプリ起動 | 11375 | 11404 | -0.3% |
ビデオ会議 | 7869 | 7691 | 2.3% |
Webブラウジング | 9233 | 9303 | -0.8% |
表計算 | 10452 | 10288 | 1.6% |
文章作成 | 7826 | 7022 | 11.4% |
画像編集 | 10843 | 9137 | 18.7% |
レンダリング | 10244 | 8757 | 17.0% |
動画編集 | 5097 | 4944 | 3.1% |
DAIV 5PはCore i7-11800H搭載のゲーミングノート。軽い作業ではほとんど差は出ませんが、作業が重くなるにつれて本機が上回ってきます。画像編集やレンダリングでは17~18%程度のスコア差になりました。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム (秒) |
Legion 570i | Core i7-12700H | 4.6 |
Yoga 770i | Core i7-1260P | 5.8 |
IdeaPad Gaming 370 | Ryzen 7 6800H | 7.0 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 7.1 |
DAIV 5P | Core i7-11800H | 8.6 |
IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H | 12.7 |
第12世代インテルよりは遅いですが、第11世代よりは速いです。Ryzenの中では最速タイムでした。
以前までPhotoshopの現像を苦手としていたRyzenですが、それが改善されています。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。。
機種 | CPU | タイム(秒) |
Legion 570i | Core i7-12700H | 40 |
IdeaPad Gaming 370 | Ryzen 7 6800H | 46 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 60 |
DAIV 5P | Core i7-11800H | 66 |
Inspiron 16 5625 | Ryzen 7 5825U | 81 |
Yoga 770i | Core i7-1260P | 90 |
46秒と王者Core i7-12700Hに迫る速いタイムでした。
動画書き出しは強いです。4k動画の編集にも対応できるレベルです。
◆ゲーム
最後にゲーム性能に関していくつかテストしてみます。
まずは定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは17429、「非常に快適」という結果でした。平均128fpsほど出ていました。
機種 | CPU | グラフィックス | スコア |
Legion 570i | Core i7-12700H | RTX 3050 Ti | 20956 |
DAIV 5P | Core i7-11800H | RTX 3050 | 18971 |
IdeaPad Gaming 370i | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 17429 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | Radeon 680M | 8420 |
Yoga 770i | Core i7-1260P | Intel Iris Xe | 6532 |
中軽量級のゲームは問題ありません。
次は3DMark Time Spy。
本機のRTX 3050 Tiの最大グラフィックスパワーは85Wに設定されています。
グラボとしての性能は「中の下」クラス。軽量級~中量級までのゲームなら快適にプレイできますが、重量級のゲームになってくると画質を落とす必要があります。
ゲーム性能を上げるなら、上位のRTX 3060がおすすめです。その場合はインテルモデルのIdeaPad Gaming 370iが候補になります。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞 ○オフィス系ソフトで事務作業 〇画像編集(RAW現像) 〇動画編集 △ゲーム
という快適度になります。
Cyberpunk 2077のような重量級のゲームをプレイしたい人やFPS系ゲームで強者になりたい人にはやや不足ですが、それ以外のほとんど人が満足できる性能になっています。
良い: 画像編集、動画編集が快適
微妙: ゲームガチ勢には不足。息抜き程度に楽しむ用
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.4mmです。
ストロークは平均的、打鍵感もクセがなく良好です。ボディに厚みがあるので、キーを打ったときに安定感があります。
キー配列はLenovoお馴染みの配列と形状です。
EnterやBackspaceが横をくっついており、見た目は良くありません。ただ慣れるとそこまで違和感はないです。タッチパッドの操作性も問題なしです。
キーボードにはバックライト付きなので暗い場所で使うときもタイプしやすいです。
微妙: キーボードは普通です。
インターフェイス
ポート類は側面と背面に分かれて設置されています。
USBポートは全部で3つ。
・USB3.2 Type-C が1つ
・USB3.2 Type-A が2つ
となっています。
USB-CはPD対応(タイプC充電可能)で映像出力にも対応しています。高速のThunderbolt 4でないのが残念な点です。
あとはHDMIと有線LAN、ヘッドフォンジャックです。ゲーム用ということで有線LAN(RJ-45)があります。
1つ残念なのは、フルサイズのSDカードスロットがないこと。このままだとデジカメのデータを直接取り込めないので、1000円くらいのカードリーダーを買っておくことをおすすめします。
悪い: フルサイズのSDカードスロットなし
排気音、熱など
本機は、熱と音に関して大きな問題はありませんでした。
負荷をかけたときのファン音はサーという音がそれなりにします。ただうるさくて困るというレベルではありません。熱も許容範囲内でした。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆☆ |
短所
・指紋認証なし、顔認証なし
・フルサイズのSDカードスロットなし
・SSD 512GB。将来的に容量が足らなくなるかも
長所
・画像編集、動画編集、ゲーム、全てOK
・クリエイター向けのディスプレイ
・コスパ最強
いろいろコストを削っている部分があるので、それをどれくらい許容できるかで評価も変わってくると思います。
生体認証がないのはログイン時に手間ですし、SDカードスロットがないのもクリエイター向けPCとしては大きなマイナスです。あとSSD容量512GBは一般的なPCでは十分ですが、ゲーム用なら1TBは欲しかったかなと思います。
いくつか短所はありますが、性能と安さだけ見れば本機は非常に優秀です。
Ryzen 7 6800H
メモリ 16GB
RTX 3050 Ti
という構成で13.5万円(税込、送料込)
この性能のPCでは最安値(10月24日時点の価格.com調べ)です。
Ryzen 7 6800Hは、2022年の主要なCPUではTOP3に入るくらいの性能があります。
ゲーミングノートとして買うのも良いですが、動画クリエイターにもおすすめしたい一台です。
Youtuberを始めたいんだけど、動画編集できる安いパソコンはどれがいい?ってなったときに真っ先に候補に上がるのがIdeaPad Gaming 370だと思います。
逆にゲームメインで使いたいという人には、兄弟機の370iの方が良いかもしれません。
370 | 370i | |
CPU | Ryzen 7 6800H | Core i5-12500H |
PassMarkスコア | 25188 | 21914 |
グラフィックス | RTX 3050 Ti | RTX 3060 |
価格 | 13.5万 | 14.0万 |
370iは上位のグラボRTX 3060を搭載でき価格は14.0万円(税込、送料込)
この価格差なら370iの方がコスパは良いです。
⇒ Lenovoストア IdeaPad Gaming 370i
動画編集用として考えるなら、CPU重視。グラボはRTX 3050 Tiで十分なので安い370が良いと思います。