NECのLAVIE Direct N13は2023年1月発売のノートパソコン。
- 13.3インチ 16:9ディスプレイ
- 超軽量984gで持ち運びOK
- 打ちやすいキーボード
- CPU性能は低め
という特徴があります。
2週間ほど使ってみた感想を正直に言うと「期待外れ」。
軽さとキーボードは良いのですが、止まらないファン音と低めの性能が気になりました。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU: Core i5-1235U
・メモリ: 8GB (4GBx2)
・SSD: 512GB
・ディスプレイ: 13.3インチ 1920x1080、非光沢、IPS
・USBポート: USB-C x1、USB-A x2
・インターフェイス: HDMI、SDカード、ヘッドフォン
・Webカメラ: HD(720p)、プライバシーシャッター
・顔認証あり、指紋認証オプション
・バッテリー: 標準バッテリー
・重量: 984g
レビュー機はCPUがCore i5、メモリは8GBのモデルです。
カタログモデルではPC-N1355FA、直販モデルではPC-GN13464AWという型番がついています。
8月15日時点での価格は15.0万円(税込、送料込)
そこにNECの割引クーポンを適用して13.5万円(税込、送料込)で購入できます。
※価格の最新情報はNECのオンラインストアで確認してください。
バッテリーは選択肢があります。標準にするか、大容量にするかです。標準だと全体の重さが984g。大容量だとバッテリーライフが1.5倍に延びますが、重さは1.04kgになります。
メモリはオンボードのため増設はできません。16GBにしたい場合は、最初からメモリ16GBの構成を買いましょう。
デザイン、ディスプレイ
カラーはメタリックライトブルーとネイビーブルー、パールブラックの3種類。
レビュー機はメタリックライトブルー。さわやかな印象を与える青です。
中央にロゴマークが入っているシンプルなデザインです。
表面に少し光沢があり、高級感があります。指紋も目立ちません。
材質は非公開。サポートに聞いてみましたが、教えてもらえませんでした。
実際にさわった感じではアルミ合金なのか、樹脂なのかわかりません。天板は少し柔らかい感じがしますが、キーボード面の剛性はしっかりしています。少なくとも弱いボディでないことは確かです。
排気口はヒンジ部分に隠れているタイプです。
重量は実測で983g、ほぼカタログ値どおりです。
片手で軽々と扱える軽さでとても良いです。
ディスプレイは
・FHD (1920×1080)
・縦横比16:9
・非光沢
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 400nit
・色域 sRGBカバー率 98%
という仕様。
明るく、色も鮮やかです。色域はsRGBカバー率98%と広め。
7~8万で買えるPCだと明るさや色がイマイチのものが多いので、それと比較すると本機の良さがわかります。
写真右が本機です。
一方、本機は縦横比が16:9なので、上下の幅が狭く、Webページを開いたときの情報量が少ないのがネックです。
最近は16:10のものが主流。16:9でも気にしない人もいるかもしれませんが、筆者は16:10の広さに慣れた人なので本機のディスプレイは狭く感じました。
良い: 984gの軽さ。ボディの剛性もまずまず
良い: 液晶は明るく、色が鮮やか
悪い: 縦横比16:9
Webカメラ
Webカメラはプライバシーシャッター付き。
使わないときは隠せるので、意図せずに自分が映ってしまうという心配がありません。
解像度はHD(720p)。写りは平均レベルです。
2023年の主流はFHD(1080p)です。実際に比べてみると、FHDの方が写りが良いです。
微妙: 解像度はHD(720)で平均的な写り
ベンチマーク
CPUはCore i5-1235U。インテルの第12世代です。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3533
マルチスレッド: 16199
というスコアでした。
期待される結果よりも高いスコアでまずまず優秀です。
ただ現行のインテル第13世代と比較すると、やや見劣りします。
◆PCMark 10
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Essentials(一般的な利用) 8014 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)6583 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 4783 (目安3450)
同じCore i5-1235U搭載のLenovo ThinkBook 13xと比較してみます。
LAVIE Direct N13 | ThinkBook 13x Gen 2 | ||
CPU | Core i5-1235U | Core i5-1235U | スコア差 |
アプリ起動 | 7518 | 9601 | -21.7% |
ビデオ会議 | 8060 | 7626 | 5.7% |
Webブラウジング | 8495 | 9221 | -7.9% |
表計算 | 6413 | 6679 | -4.0% |
文章作成 | 6759 | 6416 | 5.3% |
画像編集 | 7962 | 8460 | -5.9% |
レンダリング | 2922 | 3487 | -16.2% |
動画編集 | 4704 | 4860 | -3.2% |
スコア全体の傾向は、ThinkBookが優位です。
特にアプリ起動で20%以上のスコア差をつけられています。
実際に本機を使っていても、アプリの立ち上げが遅いなと感じることがありました。ストレスを感じるほど遅くはないですが、いつもよりも数秒待たされる感じです。
アプリ起動、Webブラウジング、文章作成の3つの項目を「普段使いの快適度」と見なすと、以下のようになります。
機種 | CPU | 普段使いの快適度 * |
Inspiron 14 5435 (2023) | Ryzen 5 7530U | 9250 |
Inspiron14 5425 (2022) | Ryzen 5 5625U | 8516 |
XPS 13 9315 (2022) | Core i5-1230U | 8475 |
ThinkBook 13x (2023) | Core i5-1235U | 8282 |
Surface Laptop Go 2 (2022) | Core i5-1135G7 | 8201 |
IdeaPad Slim 550 (2021) | Ryzen 5 5500U | 7846 |
LAVIE Direct N13 (2023) | Core i5-1235U | 7558 |
本機のスコアはに下位になってしまいます。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 6.0 |
XPS 13 9315 | Core i5-1230U | 7.3 |
ThinkBook 13x | Core i5-1235U | 7.7 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 7.9 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9.0 |
LAVIE N13 | Core i5-1235U | 10.9 |
こちらも少し遅めです。
インテル第12世代のUプロセッサーだと大体7秒台で終わるのに、本機は10秒以上かかっています。
レビュー機はメモリが8GBというこで、メモリがネックになっている可能性もあります。
スペック的にこれ以上負荷の高い作業は難しいので動画編集やゲームについての検証は省略します。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
×画像編集
×動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
悪い: アプリ起動がたまに遅いことがある
悪い: メモリ8GBでは画像編集以上は厳しい
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。
結論から言うと、キーボードは非常に良く出来ています。
ストロークが深く、クリック感もあり、好みの打鍵感です。Enterキーも大きくて打ちやすいです。
あと、キーが端ギリギリまで配置されています。そのため19mmという十分な間隔でキーが並んでいます。歪な形状のキーもなく、キーの大きさも揃っています。
13.3型でここまでレベルの高いキーボードは初めてかもしれません。
1つ気になったのは、タッチパッドの位置。
普通タッチパッドはホームポジションを基準に配置されるので自然と左にずれます。
本機は、ホームポジション基準ではなく、キーボード面の中央にタッチパッドを配置しています。
なので指を置いたときにタッチパッド位置がずれます。今まで使い慣れた位置と違うので少し戸惑うかもしれません。
良い: ストローク深め。打鍵感も良い
良い: キー形状、配列がきれい
微妙: タッチパッドの位置がホームポジション基準ではない
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが1つとUSB-Aが2つです。
USB-CはThunderboltではなく、USB3.2 Gen 2です。
・転送速度 10Gbps
・PD対応(モバイルバッテリーから充電OK)
・映像出力可能
という仕様です。
あとはHDMI、フルサイズのSDカードスロット、ヘッドフォンジャックです。
デジカメ用のSDカードスロットがあるのはうれしい点です。
良い: SDカードスロット
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は33Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約3.5時間とかなり短い駆動時間でした。
LAVIE Direct N13 | 3.5時間 |
ThinkPad X13 Gen 4 | 5.1時間 |
Inspiron 13 5330 | 6.4時間 |
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
ENVY x360 13-bf | 10.0時間 |
バッテリー容量を標準から大容量にすれば1.5倍に延びますが、それでも短めであることは否めません。
熱や音についてもやや問題あり。
負荷時のファン音は41デシベルで許容範囲内でしたが、アイドル時でもファンが動いておりなかなか止まることがなかったです。
そのときの音量は36デシベル。
うるさくはないですが、ファンが回り続けているので気になります。使わないときは休止モードにしておくことをおすすめします。
悪い: バッテリーライフが短い
悪い: アイドル時もファンが回り続ける
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆ |
コスパ | ☆☆☆ |
悪い点
・16:9ディスプレイ
・CPU性能をフルに発揮できていない
・バッテリーライフが短い
・ファン制御に問題
良い点
・液晶は明るく、色域も広め
・984gとかなり軽い
・打ちやすいキーボード
・SDカードスロットあり
軽くて、キーボードが打ちやすいPCですが、バッテリーライフが短いのと、ファン制御の問題が気になります。
ファンが回り続ける問題については、今後BIOSアップデートなどで解消される可能性はありますが、バッテリーライフの短さなど大きめの欠点が目立ちます。
ただ984gの圧倒的な軽さと、良質なキーボードの組み合わせは本機にしかない特長なので、その長所をどのくらい重視するかで評価が変わると思います。
Core i5-1235U、メモリ8GBという構成だと、ビジネス利用までが限度。
価格は13.5万(税込、送料込)と安くないですが、NECのサポートを加味して考えるなら、ナシとは言えないレベルです。
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CPU: Ryzen 5 7535U
メモリ: 16GB
SSD: 512GB
ディスプレイ: 13.3インチ 1920x1200、IPS
重量: 957g
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