今回はYoga Pro 7i Gen 8のレビューです【貸出機材提供:Lenovo】
Lenovo Yoga Pro 7i Gen 8は2023年4月発売のノートPC
- CPUはCore i7-13700H
- グラボはRTX 3050、RTX4050を搭載可能
- 3K液晶がめちゃくちゃ綺麗
- 熱と音の問題をクリア
という特徴があります。
結論から言うと、とても良いです。
さすがは「プロ」と機種名に入っているだけあります。
Yogaシリーズには、Yoga 7i Gen 8など似た名前の機種がいくつかありますが、本機のYoga Pro 7iは特別な存在だなと思いました。
まずはスペックから見ていきましょう。
レビュー機のスペック
CPU: Core i7-13700H
メモリ: 16GB LPDDR5-5200MHz
SSD: 1TB
グラフィックス: GeForce RTX 4050 Laptop
ディスプレイ: 14.5インチ 3072x1920、IPS、120Hz
USBポート: Thunderbolt 4 x1、USB3.2 Gen2 x1、USB-A x1
インターフェイス: HDMI、ヘッドフォン
Webカメラ: FHD(1080p)、IR、電子式プライバシーシャッター
顔認証あり、指紋認証なし
サイズ: 325.5x226.49x15.6mm
重量: 1.49kg
レビュー機はCore i7-13700H + RTX 4050のアドバンスモデルです。
8月29日時点では22.3万円(税込、送料込)です。
1つグレードを落としてRTX 3050、SSD 512GBの構成にすると18.0万円(税込、送料込)と安くなります。
エントリー | スタンダード | アドバンス | |
CPU | Core i5-13500H | Core i7-13700H | Core i7-13700H |
SSD | 512GB | 512GB | 1TB |
ディスプレイ | 2560x1600 | 3072x1920 | 3072x1920 |
sRGBカバー率 | 100% | 133% | 133% |
GPU | Intel Iris Xe | RTX 3050 | RTX 4050 |
価格 | 13.0万 | 18.0万 | 22.3万 |
安さ重視ならRTX 3050のモデルでも良さそうです。グラボを搭載していない通常モデルも用意されていますが、せっかく「Pro」を選ぶならグラボ搭載のモデルが良いと思います。
最新価格はLenovoストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはストームグレーとタイダルティールの2種類。レビュー機はストームグレーです。
暗めのグレーで無難な色です。
天板はアルミ合金を使用。YOGAのロゴが入っています。
高級感はそれほどないですが、グラボ搭載機とは思えないくらいスマートな作りです。
重量は1.51kg(公称値が1.49kg)
ビジネスノートとしては重め。しかしゲーミングPC、クリエイターPCとしては軽い方です。
ACアダプターもちょっと大きめ。140Wになります。
PCの消費電力が大きいのでACアダプターもこのサイズになります。
ディスプレイは
・3K 3072×1920
・アスペクト比 16:10
・非光沢
・リフレッシュレート 120Hz
・輝度(明るさ) 450nit
・色域 DCI-P3 100% (sRGBカバー率に換算すると133%)
という仕様。
とても明るく、色もきれいです。非光沢なので映り込みが抑えられているのも良いです。
発色は7万で買える通常の液晶と比べるとその差がよくわかります。
このディスプレイは工場出荷時にキャリブレーション済み(ΔE < 1)なので色の精度も高いのが特徴です。まさにクリエイター向けのディスプレイと言えます。
リフレッシュレートは60Hzと120Hz、好きな方を設定できます。
また使用しているシーンに応じてDCI-P3かsRGBか、色空間も選択できます。
良い: ディスプレイが高精細で発色も良い
良い: 個人的には他のYogaシリーズの有機ELよりも好き
微妙: ACアダプターが少し大きい
Webカメラ
Webカメラのオフスイッチ(電子式)は側面に付いています。
カメラはFHD(1080p)で写りは平均的です。
上が本機のカメラ。下のカメラと比べるとコントラストや明るさが物足りない感じです。
微妙: Webカメラは普通
ベンチマーク
CPUはCore i7-13700H。第13世代インテルのHプロセッサーです。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3669
マルチスレッド: 26429
というスコアでした。
平均的なCore i7-13700Hと比べると少し性能は抑えてあります。
第12世代のCore i7-12700Hと同程度のスコアです。
◆PhotoshopでRAW現像、AIによるノイズ除去
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
Legion 570i | Core i7-12700H | 4.6 |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | 5.1 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 6.0 |
LOQ 16IRH8 | Core i5-13420H | 6.8 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 7.1 |
Victus 16 (AMD) | Ryzen 7 6800H | 7.4 |
Core i7-12700H搭載のゲーミングノートよりは下でしたが、かなり優秀なタイムです。Ryzen搭載のゲーミングノートよりは速いです。
同じくPhotoshopで最近導入された新機能、「AIによるノイズ除去」にかかる時間を計測してみました。この作業はGPU性能が試されます。
機種 | CPU | グラフィックス | タイム (秒) |
Legion Pro 5i Gen 8 | Core i7-13700HX | RTX 4070 | 14 |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 21 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 24 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 101 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 224 |
こちらも優秀です。RTX 3050Ti搭載のゲーミングノートより速いタイムでした。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Legion 570i | Core i7-12700H | 40 |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | 42 |
Victus 16 (AMD) | Ryzen 7 6800H | 47 |
LOQ 16IRH8 | Core i5-13420H | 53 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 60 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 79 |
ご覧のとおり上位のタイム。動画編集も非常に快適です。
◆ゲーム
ゲーム性能に関していくつかテストしてみます。
まずは定番のベンチマーク、ファイナルファンタジー14 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは19006で「非常に快適」。平均フレームレートは137fpsでした。
CPU | グラフィックス | スコア | |
Legion 570i | Core i7-12700H | RTX 3050 Ti | 20956 |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 19006 |
LOQ 16IRH8 | Core i5-13420H | RTX 3050 | 18709 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 16379 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | Radeon 680M | 8420 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 5243 |
中軽量級のゲームは問題ありません。
RTX 4050を性能はフルに発揮できているとは言えないかもしれませんが、1.5kgのノートPCが、2.5kgオーバーのゲーミングPCと張り合えるなら十分でしょう。
2023年に出たばかりのストリートファイター6でも検証してみました。
FHD、通常設定でスコアは100/100。フレームレートは60fpsで快適にプレイできます。
最後は3DMark Time Spy。
RTX 4050の最大グラフィックスパワーは60Wと低めに設定されています。
そのため一般的なRTX 4050搭載機と比べるとスコアは落ちます。
しかしRTX 3050よりは明らかに上、RTX 3050Tiと同等あるいはそれ以上の性能です。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
〇画像編集
〇動画編集
〇ゲーム
となります。
ゲームに関しては重量級をプレイするには少し厳しいかなと思いますが、中量級までなら1080pで快適なので「〇」としています。
◆バッテリー駆動時の性能
電源から外した状態、つまりバッテリー駆動時のパフォーマンスも調べてみました。
先ほどのファイナルファンタジー14だとスコアは70%くらいまで低下しますが、それでもRTX 3050のちょっと下くらいの性能は確保されています。
RAW現像や動画書き出しについても同様に調べてみたのが下の表になります。
RAW現像 | 動画書き出し | ゲーム | |
電源接続時 | 100 | 100 | 100 |
バッテリー駆動時 | 86 | 95 | 70 |
電源接続時のパフォーマンスを100とした場合、それぞれ86、95というスコアでした。
RAW現像や動画書き出しでは性能低下はあまりなく、良い結果と言えます。これなら外に持ち出して、動画編集をすることもできるはずです。
良い: 画像編集、動画編集からゲームまで全てOK
良い: PhotoshopのAI最新機能が快適に使える
良い: バッテリー駆動時でもクリエイティブワークが可能
微妙: CPU、GPUの性能をフルに発揮できているわけではない
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.3mmです。
Lenovoお馴染みの配列でEnterキーとBackspaceキーが横とくっついている点はマイナスです。
ただ打鍵感は悪くないので慣れれば問題なく使えると思います。
タッチパッドは134x80mmと広く、操作性も良好です。
微妙: 横とくっついているキーがある
良い: キーの打鍵感、タッチパッドの操作性は良い
インターフェイス
USB-Cは2つあり
・Thunderbolt 4
・USB3.2 Gen 2
の2種類が用意されています。
あとはUSB-A、HDMI、ヘッドフォンジャックです。14.5インチノートとしては一般的な種類と数です。
1つ残念なのはSDカードスロットがないところ。クリエイター向けにぜひ付けてほしかったです。
あと電源ボタンも側面についています。しかし出っ張りがないので、見ずに電源を押すのが難しいです。電源ボタンはキーボード面に付けてほしかったです。
悪い: SDカードスロットなし
微妙: 電源ボタンが押しづらい
排気音、熱、バッテリーライフ
14.5インチノートでグラボ付きとなれば気になるのは熱と音です。
負荷をかけたときのファン音はサーという音がけっこうします。例えるなら雨が降ってるような音です。
参考程度ですがアプリで測定した音量は47.5デシベルでした。
通常のノートPCよりは少し大きいですが、ゲーミングノートだと50デシベル以上はするのでそれと比べると小さいです。
そして作業が終わるとすぐにファンも落ち着き、音が静かになります。ネットや動画視聴くらいであれば音はほとんど聞こえないレベルですし、負荷時でもそこまで音が大きくならないのはとても良いです。
熱はそれなりに熱くなりますが、熱くて困るほどではありません。
キーボード面の左上あたりは熱くなるので、ひさの上でゲームや動画編集などはしない方がいいでしょう。
バッテリー容量は73Whと平均より大きい容量です。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・リフレッシュレート 120Hz
・youtube動画を流しっ放し
結果は約5.2時間でした。
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
Yoga 770 | 8.0時間 |
IdeaPad Slim 5i OLED | 6.0時間 |
Yoga Pro 7i Gen8 | 5.2時間 |
ThinkPad X13 Gen 4 | 5.1時間 |
本機は消費電力が大きいのでバッテリーはもちません。少しでも長持ちさせるなら、明るさを80%程度に、リフレッシュレートも60Hzにすることをおすすめします。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・SDカードスロットなし
・バッテリーライフが短い
長所
・ディスプレイの質が非常に高い
・クリエイティブワークは快適
・バッテリー駆動時の性能も十分
・ファン制御が素晴らしい
質の高いディスプレイ、パワフルな性能、14.5インチのコンパクトさ。クリエイターにおすすめしたいノートPCです。
CPUのCore i7-13700HとRTX 4050は少し性能を抑えてありますが、ゲーミングノートのCore i7-12700H並み、RTX 3050Ti並みのスコアが出ています。RAW現像や動画書き出しのタイムも優秀でした。
最大の懸念だったファン音の問題も見事にクリア。負荷時には少し大きくなりますが、すぐにファン回転が収まり静かになるので作業に集中できます。
ゲーム用として買うのもいいですが、ゲームには3K液晶が無駄に良すぎるのでちょっともったいないところ。やはりベストはクリエイター向けだと思います。
それだけにSDカードスロットがないのは残念です。USB-AポートにSDカードリーダーをつけて運用することになるでしょう。
全体としては高く評価します。
普段辛口の筆者がこれだけ褒めるのでもうお分かりの方もいるでしょう。2023年、当サイトでレビューした中ではTOP3に入るくらいの出来です。
レビュー機の構成だと価格は22.3万(税込、送料込)と高めですが、その価値は十分あると思います。予算オーバーなら1つランクを落として、RTX 3050のモデルでもいいでしょう。これなら18.0万で買えます。
今後もう少し安くなる可能性もあるのでぜひ最新価格をチェックしておいてください。