今回はLenovo Yoga Slim 7i Aura Editionのレビューです【貸出機材提供:Lenovo】
Yoga Slim 7i Aura Editionは2024年9月発売のノートPC。
- CPUはインテルCore Ultra 7 258V
- 軽くゲームも楽しめる性能の良いPC
- 15.3インチ 2.8K、光沢液晶
- 重量は1.51kg(実測値)
という特徴があります。
1週間ほど使ってみた感想を書いてみたので参考にしてみてください。
まずはスペックからおさらいしておきましょう。
レビュー機のスペック
・OS: Windows 11 Home 64bit
・CPU: Core Ultra 7 258V
・メモリ: 32GB オンボード
・SSD: 1TB
・ディスプレイ: 15.3インチ 2880x1800、光沢、タッチパネル
・USBポート: Thunderbolt 4 x1、USB-C x1、USB-A x2
・インターフェイス: SDカード、HDMI、ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)、IR、カメラオフボタン
・顔認証あり、指紋認証なし
・Wi-Fi 7対応
・重量: 1.53kg
Core Ultra 7 258Vにメモリ32GBのモデル。
10月30日時点の価格は25.3万円(税込、送料込)です。
ちょっと高めですが、Copilot+ PCに準拠した最新のチップセットを搭載。AI性能を示すNPU Performanceは47TOPSで、メモリは32GB、SSDは1TB、そして2.8Kのディスプレイ、とハイエンド機としての条件を満たしています。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
筐体カラーはルナグレー
地味なグレーでそこまで高級感はありません。
ただボディは金属製でしっかりとした作り。
指紋も目立たちません。
重さは実測で1.51kg
15.3インチとしてはまずまずの軽さです。
持ち歩き用として使えなくはないですが、手提げバッグに入れて持つとそれなりに重くなります。
ディスプレイは
・2880×1800
・縦横比16:10
・タッチパネル
・光沢、液晶
・リフレッシュレート 120Hz
・輝度(明るさ) 450nit
・色域 DCI-P3 100% (sRGBカバー率に換算すると133%)
です。
有機ELではなく普通の液晶ですが、発色はかなり良いです。
DELL Inspiron 14 5435と比較すると以下のとおり
明るさ、コントラストが断然良いです。
光沢タイプなので暗い画面を見るときに映り込みがあります。
あと15インチでは珍しいタッチパネルになっています。(ペンは非対応)
微妙: 高級感はあまりない
良い: ディスプレイの色が鮮やか
微妙: 光沢タイプなので映り込みはある
Webカメラ
Webカメラの解像度はFHD(1080p)。顔認証に対応しています。
写りも良好です。
プライバシーシャッターは電子式。ボディ側面にあるスイッチでオフにできます。
ベンチマーク
CPUはCore Ultra 7 258V
2024年後半からインテルの主力となっているCPUです。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 4153
マルチスレッド: 21548
という結果でした。
マルチスレッドのスコアは低いですが、シングルスレッドのスコアは高いです。
マルチスレッドの性能は、動画の書き出しや3DCGのレンダリングといった作業に効きます。現代のクリエイティブワークには必要な性能です。
一方、シングルスレッドの性能は1つ1つの細かい反応速度に効いてくるのでこちらも重要です。
実際のパフォーマンスにどのように寄与するかは以下のテスト結果を見てください。
◆PCMark 10
PCMark 10はリアルなアプリを使用したベンチマークで、一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。その結果は以下のとおりです。
ここで注目したのはデジタルコンテンツ制作のスコア
CPU | GPU | Digital Contents Creation | |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 9520 |
Yoga Slim 7i Aura Edition | Core Ultra 7 258V | Intel Arc 140V | 9378 |
IdeaPad Pro 5i Gen 9 | Core Ultra 7 155H | Intel Arc | 9132 |
Yoga 7 2-in-1 Gen9 | Ryzen 7 8840HS | Radeon 780M | 9036 |
Inspiron 13 5330 | Core Ultra 5 125H | Intel Arc | 7991 |
本機はCore Ultra 7 155H、Ryzen 7 8840HSを搭載した機種を上回るスコアでした。
ただRTX 4050を搭載したPC (2023年発売)よりは総合力は下だということもわかります。
◆画像処理 (Photoshop)
Photoshopのノイズ除去はフォトグラファーがよく使うPhotoshopの新機能です。この処理にかかる時間を計測しました。
機種 | CPU | グラフィックス | タイム (秒) |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 21 |
Yoga Slim 7i Aura Edition | Core Ultra 7 258V | Intel Arc 140V | 55 |
Yoga 7 2-in1 Gen9 | Ryzen 7 8840HS | Radeon 780M | 58 |
IdeaPad Pro 5i Gen9 | Core Ultra 7 155H | Intel Arc | 103 |
Inspiron 13 5330 | Core Ultra 5 125H | Intel Arc | 147 |
これも速いタイム
155Hを搭載したPCよりも2倍速いです。
この作業はまだNPUに対応しておらず、GPUで対応する形になっています。
本機の内蔵GPUはIntel Arc 140V。この性能が各段に上がっていることがわかります。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Yoga Slim 7i Aura Edition | Core Ultra 7 258V | 24 |
Legion 7i Gen9 | Core i7-14700HX | 32 |
IdeaPad Pro 5i Gen9 | Core Ultra 7 155H | 39 |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | 42 |
Yoga 7 2-in1 Gen9 | Ryzen 7 8840HS | 49 |
Inspiron 14 5445 | Ryzen 7 8840U | 63 |
ノートPCで過去最高タイムでした。
書き出しはマルチスレッド性能に依存するのが一般的。本機はそのマルチスレッド性能があまり高くないのでこの作業は苦戦すると思ってただけに予想外でした。
これは
・内蔵GPUの性能アップ
・Davinci側の進化
の2つの理由があり、後者の方が大きいです。
書き出し時に内蔵GPUのアシストが得られるようになったので、その恩恵を受けた結果です。
別のマイナーなアプリで同様のテストをおこなうと、GPUのアシストがなく、CPUだけで処理することになるかもしれません。その場合はDavinci Resolveほどの良い結果は出ないでしょう。
◆ゲーム性能
中量級ゲームのFF 14 黄金のレガシー(2024年発売)の結果は以下のとおり。
機種 | CPU | グラフィックス | fps |
Yoga Slim 7i Aura Edition | Core Ultra 7 258V | Intel Arc 140V | 61fps |
IdeaPad Pro 5i Gen9 | Core Ultra 7 155H | Intel Arc | 58fps |
Yoga 7 2-in-1 Gen9 | Ryzen 7 8840HS | Radeon 780M | 40fps |
ThinkPad X13 Gen 5 | Core Ultra 5 125U | Intel Iris Xe | 30fps |
IdeaPad Slim 3 Gen8 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 24fps |
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは9310、「快適」という結果で平均フレームレートは61fpsでした。グラボ非搭載のPCでは過去最高の結果です。
ストリートファイター6のベンチもとってみました。
低設定にすれば、平均フレームレートは57~60fpsと「快適にプレイできます」とまずまずの結果です。
3DMark FireStrikeのベンチマークは以下のとおり
スコア9331は、あのGTX1650 Laptopより少し上です。
FHDなら中量級のゲームまで楽しめるでしょう。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○画像編集
○動画編集
△ゲーム
という快適度になります。
良い: 実践的なテストでは、前世代を上回る性能
良い: Davinci Resolveの動画書き出しでは過去最速タイム
良い: GTX 1650 Laptopを上回るゲーム性能
微妙: 最適化が進んでいないマイナーなアプリへの対応は未知数
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。
EnterキーとBackspaceキーが横をくっついてしまってるのは残念ですが、海外メーカーの配列は大体こんな感じなのでもう慣れてしまってる人も多いでしょう。
ストロークは深め。感触はややゴム感があります。
以前のYogaは軽めでパチパチという打鍵感でしたが、本機はちょっと重めになりました。個人的には軽めの方が好きです。とは言え、重めでもそんなに気にならないので使っていくうちに慣れるでしょう。
あと、バックライトが付いているので、暗い場所で作業する人にもやさしい設計です。
タッチパッドは広め。13.4cm x 8.0cmで操作性も良好です。
キーボード面にあることが多い電源ボタン、本機はボディの側面に配置されています。
正面からは位置が見えないのでボタンを押すときにちょっと不便に感じます。
微妙: キーの形状
微妙: 電源ボタンはキーボード面にあった方がいい
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが2つとUSB-Aが1つ。
USB-Cは両方ともThunderbolt 4です
・転送速度 40Gbps
・PD対応(モバイルバッテリーから充電OK)
・映像出力可能
Thunderbolt 4が両側面に配置されているのが良い点です。
ただし1つは電源ポートを兼ねているので、常時空いているUBS-Cは1つのみとなります。
あとはHDMI、ヘッドフォンジャックが付いています。
デジカメ用のSDカードスロットがないのは残念です。クリエイター向けのPCとしては、ぜひ付けてほしかったスロットです。
良い: Thunderbolt 4が2つ、両サイドに配置されている
微妙: 常時空いているUSB-Cは1つ
悪い: SDカードスロットなし
バッテリー、駆動音、熱
バッテリー容量は70Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX (450nit)
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約10.0時間。
Yoga Slim 7i Aura Ediion | 10.0時間 |
Inspiron 13 5330 (2024) | 9.5時間 |
ThinkPad X13 Gen 5 | 8.0時間 |
IdeaPad Pro 5i Gen9 | 7.0時間 |
Pavilion Aero 13-be | 6.0時間 |
非常に優秀なバッテリーライフです。
ファン音(駆動音)も静かです。
負荷時のファン音は35デシベルでした。
薄型ノートの平均は35~40デシベル
ゲーミングPCの平均は50デシベル
本機は静かな方で、発熱も低く安定しています。
最近のノートPCは性能がいいけど、うるさいというものが多かったので、本機のように静かで性能も良いというのはうれしいです。
良い: 長時間バッテリー
良い: 静かで発熱も少ない
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
悪い点
・SDカードスロットなし
・見た目の高級感がない
良い点
・画像編集、動画編集などが快適
・軽めのゲームも楽しめる(GTX 1650より上)
・色鮮やかな2.8K液晶
・長時間バッテリー
・音が静か
新CPUのCore Ultra 7 258Vの良さが発揮されたPCだと思います。
静かで発熱が少なく、バッテリーライフが長い。それでいてパフォーマンスもしっかり出ています。PassMarkやCinebenchのスコアしか見ない人にはこのCPUの良さは語れないでしょう。
ゲームや動画書き出し、Photoshopもノイズ除去など様々なシーンで内蔵グラフィックスの性能が役立っています。
性能は100点満点かと言われると、そこはやはり不満もあります。2023年の安いゲーミングノートの方が性能では上です。
ただ、軽さ、静音性、バッテリーライフなども含めて評価するなら、本機のバランスは素晴らしいと思います。
15.3インチという画面サイズも良いです。各メーカーは最近14インチに力を入れすぎていて、逆に15~16インチが手薄になっています。
本機はその中では貴重な存在です。15.3インチでも1.51kgと持ち運びも可能な重さです。
動画編集やゲームをノートPCの画面でやりたい人に、おすすめのPCです。