東芝dynabook DZ83/Jは、ぼくがこの冬一番驚いたパソコンです
キーボードが分離するタイプの2-in-1ノートで、タブレット本体は799gという軽さ・・・とここまでなら、そんなに驚きはしません。
「ふ~ん、Surface Proみたいなやつをdynabookも出したのね?」で終わるでしょう。
ところが、このdynabookにはキーボードが2枚付いてきます
2枚です
1枚は薄型タイプ
もう1枚はLANポートなどを備えたインターフェイス重視のキーボードドックです
その手があったか!ww
ぼくはこのDZ83/Jを見たとき、ハッとしました。
そして東芝(2019年1月からdynabook株式会社に社名変更)がここまでチャレンジングなパソコンを作ってきたことがうれしかったです。
◆キーボードが2枚
キーボードが2枚も必要か?と思う人もいるかもしれませんが、この手の2-in-1ノートの最大のネックがキーボードとインターフェイスなんですよね。
・キーボードが打ちづらい
・USBポートが足らない
・有線でネットに繋げたいけどそれには別売りの拡張コネクターが必要
こうした問題の解決するための1つの解、それがdynabook DZ83/Jだと思います
注意すべきはDZ83/J全てのモデルにキーボードが2枚付いてくるわけではなく、
薄型軽量重視モデル→ 薄型キーボード1枚
インターフェイス重視モデル→ キーボード2枚
となっている点です
そこまでキーボードとインターフェイスにはこだわらないって人がいれば、薄型軽量重視モデルを選択しましょう。
ちなみに薄型キーボードの重さは380g
インターフェイス重視のキーボードドックは430g
差はわずか50gなので、持ってみてもそこまで大きな差を感じることはありません。
◆レビュー機のスペック
・CPU:Core i7-8550U
・メモリ:16GB
・ストレージ: SSD 1TB PCIe
・ディスプレイ:13.3型 FHD(1920×1080)タッチ対応
・USBポート:USB typeC x1
・インターフェイス:ヘッドフォンジャック
・重さ:タブレット本体は779g
・ペン付属
・MS Officeはオプションで付けられます
レビュー機はインターフェイス重視モデルなので、薄型キーボードとキーボードドックの2枚が付いています。
キーボードドックにはHDMI、有線LANポート、RGB端子(D-sub)の他、USB3.0が2つ付いています
本機はCore i7、メモリ16GB、SSD 1TBという最強スペックとなっており、価格は22.4万(2018年12月現在の会員価格)となっています
もっと安いやつがいいという人向けに、Core i5、i3のモデルも用意されています。
例えば、
・Core i5-8250U
・メモリ 8GB
・SSD 256GB
・インターフェイス重視
であれば14.9万です。
これでも十分な性能ですから、どのモデルを買ったらいいかわからないという人は、上記の構成がおすすめです。オフィスを付けると16.7万です
◆見た目、デザイン
dynabook DZ83/Jの筐体カラーはオニキスブルー
ほとんど黒と言っていいかと思います、明るい光が当たると少し青みも感じられる色でです
高級感があるデザインで、筐体表面の指紋も目立ちにくくなっています
液晶ディスプレイは非光沢タイプで写り込みもありません。明るさや視野角も良好です。
キーボードの外し方は以下の手順で行います
1.筐体側面にあるキーボードロックを解除させる
2.キーボード上部のロックを解除
タブレットはキックスタンド式で自立します。
779gと軽く、片手で軽々。
ソファでゴロゴロしながら動画を見るのに最適です。
気になったのは、筐体側面の電源ボタン
このボタンが小さくてとても押しづらいです。
またちゃんと押せたかどうかもわかりにくいです。
あともう1つ気になったのは、キーボードドック(インターフェイス重視タイプ)を着けた状態の全体の重心バランスです。
上の画像のように横から見てディスプレイの角度が90度に近い状態なら、重心バランスはとれています
しかし次の画像のように120度くらいまでディスプレイを傾けると、ディスプレイ(=タブレット)の重さに耐えられなくなり、右へ倒れてしまうのです。
頭が重くて胴体で支えられないような状態です。
それはいけないと、キックスタンドを立ててみます
キックスタンドのお陰で倒れることはなくなりましたが、今度はお尻が少し浮きます。
画像上の左端の部分が、少し浮いて安定感がなくなるのです
実際使ってみて、大きな支障はないのですが、デザイン面での改善点は残っているなと感じました。
お尻が浮く現象はキーボードドック(インターフェイス重視)をつけているときに起こります。
キーボードドックから薄型キーボードに変えると安定します。
◆インターフェイス(拡張性)
USBポートは、タブレット本体にUSB-Cが1つ。
そしてキーボードドックにUSB-Cが1つ、USB3.0が2つあります。
USBポートは全部で4つ、USB-Cの1つは電源ポートとして使用します。
他にHDMIとRGB端子(D-sub)、それに有線LANポートが付いています
標準的なモバイルノートと比べてインターフェイスは充実していますが、デジカメ用のSDカードを挿すスロットがないのがマイナス点です。
せっかくキーボードドックでインターフェイスに力を入れてるわけですから、SDカードスロットも配置してほしかったです。
なお、軽量キーボードの方には、何もついていません。
◆SSD、処理速度
内蔵されているSSDはSamsungのPM981、型番はMZVLB1T0HALRでした。
ベンチマークをとると以下のとおり
シーケンシャルリードは3300MB/s超えです。
4Kリード、ライトも素晴らしい速度です。
電源をオンしてからデスクトップが表示されるまでにかかった時間は約11.6秒でした。
こちらは平均的な速さです。
PCIe接続のSSDなら10秒を切ってくることもありますし、ベンチマークのスコアが良かっただけに少し期待外れかなという印象です。
さらなるテストとして、画像編集の処理速度も行いました。
いくつかの画像を合成して1つの画像を構成する処理で、CPUパワーなど総合的なスペックが効いてくるはずです。
以下は条件の違う複数のPCでのテスト結果です。
1.Core i5-6200U、メモリ8GB、SSD256GB(SATA)
処理にかかった時間:約61秒
2.Core i5-8250U、メモリ8GB、SSD256GB(PCIe)
処理にかかった時間:約35秒
3. Core i7-8550U、メモリ16GB、SSD512GB(PCIe)
処理にかかった時間:約33秒
4. Core i7-8550U、メモリ16GB、SSD1TB(PCIe)
処理にかかった時間:約39秒
最後4番目の結果が本機の結果です。
基本的にある一定以上のスペックがあれば、差が出にくいはずなのですが、本機のタイムは少し遅いです。
スペック的には3番目のPCと変わらないのですが、20%ほど遅れをとっています。
起動の速さや、画像編集テストのタイムなどを見ると、カタログスペックほどの実力を発揮できていないという印象を受けます。
その原因が何なのかはわかりません。もしかしたら、熱処理の関係上、CPUパワーを最大限発揮できていないのかもしれないです
◆キーボード、タッチパッド
キーピッチは19mm、キートラベル(深さ)は1.5mmです。
打ち心地はキーボードドックの方が若干良いですが、薄型キーボードも悪くないです。
Surface Proのキーボードは、ぐらつきがあり、キーの感覚もふにゃっとしていますが、dynabook DZ83/Jのキーボードはそれらがなく打鍵感はまずまずです。
キー配列も特に変なところはありません。
ただ右側の一部のキーは少し小さくなっています。使用頻度高めの「-」キーが小さいのが気になったぐらいで、全体としては良い感じです。
キーボード分離型の中ではトップクラスと言っていいでしょう。
タッチパッドもまずまずの使いやすさです。
表面はほんの少しですが、ざらつきを感じます。ぼくは今まで滑らかタイプを使っていたので最初は少し違和感がありましたが、すぐに慣れてほとんど気にならなくなりました。
2本指スクロールもスムースでした。
◆ペンの書き心地
dynabook DZ83/Jにはペンも付いてきます
ペンの書き心地はちょっと硬めですが、とても良く出来ています。
数分練習するだけで、これぐらいは書けます
ただ本家Surfaceシリーズのペンに比べると、繊細な力加減を表現できないのでその点はマイナスです。
◆バッテリーライフ、静音性
バッテリーの駆動時間は公称値で10時間(JEITA2.0)です。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさMAX
・wifi環境
・Youtubeの動画を流しっ放し
結果は約5時間でした。
まあ平均レベルでしょうか。
条件をもっと緩めれば、バッテリーライフももっと延びるはずです。
ボディもそこまで熱くなりませんし、とても静かです
2016年に東芝が発売した2-in-1にdynabook VZシリーズがありますが、あれは起動時にけっこう大きな音がしました。
その点、今回のdynabook DZ83/Jは熱設計という意味でも格段に進化しているなと思いました。
◆総合評価、Surfaceとの比較
・デザイン ☆☆☆
・キーボード、タッチパッド ☆☆☆☆☆
・ディスプレイ ☆☆☆☆
・処理速度 ☆☆☆
・インターフェイス ☆☆☆☆
・バッテリー ☆☆☆
・コスパ ☆☆☆
短所
・キーボードドック装着時の重心バランス
・起動速度、処理速度は期待ほど速くない
・SDカードスロットなし
・電源ボタンが押しにくい
長所
・キーボード2枚という斬新なアイデア
・キーボードの質
・タブレットとしての軽さ
2019年からは東芝の名がなくなり、dynabook株式会社へと社名を変えるまさにこのタイミングで発売されたdynabook DZ83/J
いくつか弱点もありますが、新しい挑戦を行ったという意味では高く評価したい製品です。
薄型化するノートPCの市場の中で、見捨てられつつあったキーボードの質やインターフェイスを充実させたことは、とても勇気がある決断だと思います。
東芝のプライドが見えたように感じました。
そんなdynabook DZ83/Jの強力なライバルは、なんといってもSurface Pro 6でしょう。
2018年発売のMicrosoft Surface Pro 6と簡単に比較すると以下のようになります
全体的には少し見劣りしますが、キーボードとインターフェイスの項目だけはdynabook DZ83/Jが圧倒しており、ビジネス用途として使うならむしろdynabookに軍配が上がるのではないかと思いくらいです。
・がっつり長文を書きたい
・急なプレゼン発表が決まったけど、パソコンがD-sub端子対応していない
・wifiが不安定で回線が頻繁に切れてしまう
そうした状況にも対応できるのがdynabook DZ83/Jの強みです
逆にキーボードやインターフェイスでのメリットを重視するのであれば、CPUやメモリなどの基本スペックは必要最小限に抑えるという手もあります。
その方が、価格面でのメリットも付いてきます。
-構成例1
・Core i3-8130U
・メモリ4GB
・SSD 128GB
・インターフェイス重視(キーボード2枚)
で12.6万(税込、送料込)
-構成例2
・Core i5-8250U
・メモリ8GB
・SSD 256GB
・薄型・軽量(キーボード1枚)
で13.3万(税込、送料込)
などが価格を抑えた構成となります。
なお、価格は2018年12月時点の会員価格です。
例によって無料会員になるだけで、割引率が半端ないのでdynabookのオンラインストアで会員になってから購入しましょう