今回はIdeaPad Slim 170 14型のレビューです【貸出機材提供:Lenovo】
Lenovo IdeaPad Slim 170 14型 AMDは2023年5月発売。
- 14インチ 16:9のディスプレイ
- 2023年モデルはIPS液晶に
- CPUはRyzen 5 7520Uで低め
- 重量は1.38kg
- 価格は49,830円と安い
という特徴があります。
本機は2023年からIPS液晶のモデルが発売されて、致命的な欠点がなくなりました。
5万以下という価格も考慮すれば、ギリギリ合格ラインにある製品かなと思います。
ただし用途は限られるので注意が必要です。
レビュー機のスペック
・型番: 82VF007CJP
・OS: Windows 11 Home 64bit
・CPU: AMD Ryzen 5 7520U
・メモリ: 8GB (4GBx2) オンボード
・SSD: 512GB
・ディスプレイ: 14インチ 1920x1200、非光沢、IPS
・USBポート: USB-Cx1、USB-A x2
・インターフェイス: HDMI、SDカード、ヘッドフォン
・Webカメラ: HD(1080p)、プライバシーシャッター
・顔認証なし、指紋認証なし
・重量: 1.38kg
レビュー機はRyzen 5 7520U、メモリ8GB、SSD512GBの構成。9月11日時点では5.0万円(税込、送料込)とかなり安いです。
ネットや動画視聴など軽めの作業に使うPCと言えます。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはクラウドグレー
無難なグレーです。
ちょっと金属っぽい質感ですが、材質は樹脂(再生プラスチック)です。
ただ近くでみても樹脂とわからないくらい上手く出来ています。
高級感はありませんが、かと言って安っぽさもないので悪くないと思います。
上のショート動画はキーボード面を指で押したときの様子。
少したわみがありますが、このレベルであれば実用上問題ないかなと思います。
天板にはLenovoのロゴが入っており、見る角度によって虹色に変化します。
重量は実測で1.39kgです(カタログ値は1.38kg)
14型としてはやや軽めです。持ち歩きもできますが、メインは自宅で据え置いて使うことになると思います。
ディスプレイは
・FHD相当 (1920×1080)
・縦横比16:9
・非光沢
・IPSパネル
・輝度(明るさ) 250nit
・色域 sRGBカバー率 63%
という仕様。
映り込みは少なく見やすいディスプレイですが、縦横比は16:9なのが少し残念な点です。最近の主流は16:10。縦に長くしてWebページなどを表示する際の情報量を増やすのがトレンドです。
色域は普通です。sRGBカバー率63%なので、クリエイター向けではありません。
DELL Inspiron 14 (7万円台)と比較してみました
本機はちょっと黄色が強いかなという感じ。対するInspiron 14は赤っぽい感じです。
色の鮮やかさは同じくらいです。この辺は価格相応。10万以上するPCとは差があります。
良い: 樹脂製ながら安っぽく見えないように仕上げている
悪い: 縦横比は16:9
微妙: 色の鮮やかさ、色域は価格相応。
Webカメラ
Webカメラはプライバシーシャッター付き。使わないときは隠せる仕様です。意図せずに自分が映ってしまうという心配がありません。
しかし解像度がHD(720p)なので、写りは良くないです。
FHD(1080p)のカメラと比べると明らかに本機が劣ります。暗く、色味も悪いです。
Webカメラの質はかなり悪いと言わざるを得ません。
悪い: 暗くて色味の悪い写り
ベンチマーク
CPUはRyzen 5 7520U。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 2511
マルチスレッド: 9510
というスコアでした。
グラフの一番上はRyzen 5 7530U。7530U搭載のノートPCは7万円台で購入できます。本機は下位の7520Uなので間違えないように。
同じ7000番台でもRyzen 5 7530Uは優秀で、それと比べると7520Uはだいぶ低いスコアです。
マルチスレッドのスコアは2021年のCore i5-1135G7と同じレベルです。
ミニPCで有名になったIntel N100はさらに下のスコア。ここが最低限のランクと考えると、Ryzen 5 7520Uはそれよりもだいぶ上なので、普段使い用としては悪くない性能だと言えます。
◆リアルなアプリの快適度
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフト。その結果は以下のとおりです。
この中で、特に注目したのは
・アプリ起動 (App Start-up)
・Webブラウジング (Web Browsing)
・文章作成 (Writing)
の3つ。
この3つのスコアの幾何平均を普段使いの快適度と見なして他の機種と比べると以下のようになります。
機種 | CPU | 普段使いの快適度 * |
Inspiron 14 5435 (2023) | Ryzen 5 7530U | 9250 |
Inspiron14 5425 (2022) | Ryzen 5 5625U | 8516 |
IdeaPad Slim 550 (2021) | Ryzen 5 5500U | 7846 |
IdeaPad Flex 550i (2020) | Core i5-1035G1 | 7792 |
Pavilion 14-dv (2021) | Core i5-1135G7 | 7307 |
IdeaPad Slim 170 (2023) | Ryzen 5 7520U | 7067 |
Chuwi Larkbook X (2021) | Celeron N5100 | 4802 |
Ryzen 5 7520Uは下位。
2021年のCore i5よりも下ですし、2020年のCore i5よりも下でした。
2023年のCPUとしては物足りない性能ですが、普段使いでストレスを感じることはほとんどなかったです。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | 5.7 |
ThinkBook 13x Gen2 | Core i5-1235U | 7.7 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9.0 |
Pavilion 14-dv | Core i5-1135G7 | 10.6 |
IdeaPad Slim 570 | Ryzen 5 5625U | 12.4 |
IdeaPad Slim 170 | Ryzen 5 7520U | 20.3 |
RAW現像になると一気にパフォーマンスが悪化します。
本機の守備範囲は狭いということに注意しないといけません。
◆軽めのゲーム
最後は定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは3394、「設定変更を推奨」という結果で平均フレームレートは23fpsでした。
機種 | CPU | グラフィックス | スコア |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 16379 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 5243 |
ideaPad Slim 570 | Ryzen 5 5625U | AMD Radeon | 4670 |
Pavilion 14-dv | Core i5-1135G7 | Intel Iris Xe | 3448 |
IdeaPad Slim 170 | Ryzen 5 7520U | Radeon 610M | 3394 |
普通のノートPCよりも悪いパフォーマンスです。
やはり本機ではゲームは厳しいです。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
〇オフィス系ソフトで事務作業
×画像編集
×動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
微妙: 性能は2021年のCore i5レベル
良い: 一般的な利用、ビジネス利用に関しては一応基準をクリア
悪い: 画像編集以上になるとガクッと快適度が低下
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.2mmです。
配列、形状はLenovoでお馴染みのこれ。
EnterとBackspaceが横のキーとくっついるのが残念です。
ただ慣れると不便さは感じません。打鍵感も悪くなかったです。
一方タッチパッドの方は、タップ時に少しカタつくことがあります。樹脂製ということで剛性が足らないのだと思います。
気にならない人も多いとは思いますが、しっかりした作りのタッチパッドはもっと快適なのでそれと比べると、本機の至らなさがわかります。
微妙: Enter、Backspaceが横のキーとくっついている
悪い: タッチパッドが少しカタつく
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが1つとUSB-Aが2つです。
UBS-CはUSB3.1 Gen 1で転送速度は5Gbps。PD(電源供給)は非対応です。モバイルバッテリーから充電できないので注意してください。
他はHDMIとSDカードスロット、ヘッドフォンジャックが付いています。
フルサイズのSDカードスロットがあるのでデジカメのデータを直接取り込むことが可能です。HDMIはFHD出力まで。4K出力には対応していません。
良い: フルサイズのSDカードスロット
悪い: タイプC充電は不可
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は42Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約6.5時間。平均的なバッテリーライフです。
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
HP 245 G10 | 8.0時間 |
IdeaPad Slim 170 | 6.5時間 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | 6.5時間 |
ThinkPad X13 Gen 4 | 5.1時間 |
熱や音についても問題なし。参考程度ですがアプリで計測した音圧は36デシベルでした。
このクラスのPCは40デシベル前後は平均です。本機はそれよりも静かです。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
悪い点
・16:9ディスプレイ
・Webカメラの写りが悪い
・普段使い、ワードエクセルまでが限度
・タッチパッドが少しカタつく
・USB-Cポートから充電できない
良い点
・ディスプレイは悪くない
・静か
・安い
どうしても5万円以下でWindows機を買いたい人には悪くない選択だと思います。
しかしいろいろ欠点は多いので、単に安さだけ求めて買うのはおすすめしません。
IdeaPad Slim 170は、もし3年前(2020年)にこんなPCがあれば、めちゃくちゃ推奨してたと思います。でも現在ではやはり「うーん」と思ってしまう点が多いです。
理想は7.5万出して、ミドルクラスのDELL Inspiron 14を買うこと。
IdeaPad Slim 170 | Inspiron 14 5435 | |
CPU | Ryzen 5 7520U | Ryzen 5 7530U |
PassMarkマルチ | 9510 | 16297 |
メモリ | 8GB | 16GB |
材質 | 樹脂 | アルミ合金 |
縦横比 | 16:9 | 16:10 |
Webカメラ | HD | FHD |
タイプC充電 | 不可 | 可能 |
重量 | 1.39kg | 1.59kg |
価格 | 5.0万 | 7.5万 |
表で比較するとわかるように、CPU、メモリ、カメラ、ディスプレイ、丈夫さ・・と多くの面でInspironが上回ってます。
長く使うことも考えたら、7.5万のInspironの方が結果的に安く上がるかもしれません。
IdeaPad Slim 170は5万前後で選びたい人向けのPC。マイナス面も覚悟して購入しましょう。