今回はLenovo Legion Slim 5i Gen 8のレビューです【貸出機材提供:Lenovo】
Legion Slim 5i Gen 8は2023年8月発売のゲーミングノートです
- CPUはインテル第13世代のCore i5-13500H、Core i7-13700H
- グラフィックスはRTX 4050 (RTX 4060や4070も搭載可能)
- ディスプレイは16インチ 2.5K液晶、100%sRGB
という特徴をもっています。
機種名にスリムと入ってるように、本機はすっきりとしたデザインのクリエイター向けPCです。(なのでゲーミングノートというよりもクリエイター用PCとして評価していきます)
画像編集、生成AI、動画編集、そしてゲーム。ほぼ全ての用途に使える万能型PCで、かつ価格も安め(20万ちょい)というのが魅力です。
以下でくわしく見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit ・CPU:Core i5-13500H ・メモリ:16GB (8GBx2) ・ストレージ: SSD 512GB ・グラフィックス: GeForce RTX 4050 (TGP = 105W) ・ディスプレイ:16型 (2560×1600)、非光沢、165Hz、G-Sync対応 ・USB: USB-C x2、USB-A x2 ・インターフェイス: SDカード、HDMI、有線LAN、ヘッドフォン ・Webカメラ: FHD(1080p)、プライバシーシャッター ・顔認証なし、指紋認証なし ・ACアダプター 170W ・サイズ: 359.7x260.3x19.9-21.9 mm ・重量: 2.4kg
レビュー機はCore i5-13500HにRTX 4050の構成。
価格は2月8日時点で20.6万円(税込、送料込)です。
上位モデルはRTX 4060、4070も用意されています。
メモリは空きスロットが2つあるので増設可能です。理想を言えばメモリ32GBのモデルも用意してほしかったなと思います。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはストームグレー。
無難な色ですが、アルミ合金を使用しており、まずまずの見た目です。
天板にはLEGIONと刻印。光を反射するので高級感があります。
ゲーミングノートにありがちなゴツさはなく、薄く作られています。
ACアダプターは少し大きめの170W。
ただ他メーカーの同等スペック機種よりは小さいです。最近のハイエンド機はこのACアダプターが非常にサイズをとるものが多いです。本機くらいのサイズなら許容範囲かなと思います。
ディスプレイは
・2.5K 2560×1600
・アスペクト比 16:10
・非光沢
・リフレッシュレート 165Hz
・輝度(明るさ) 350nit
・色域 sRGBカバー率 100%
という仕様。
ゲーム仕様であり、かつクリエイター仕様でもあります。
DELL Inspiron 14と比較するとご覧のとおり。
発色は本機の方が良いです。
Inspiron 14は7万円前後で買える機種なので比較するまでもありませんが、一応これぐらいの差が出るということは知っておいてほしいです。
良い: ゲーミングノートの中では薄型
良い: ディスプレイがクリエイター仕様を満たす
Webカメラ
WebカメラはFHD (1080p)です
写りは良好。
明るくてコントラストも効いています。
プライバシーシャッターは電子式のものが筐体側面についています。
ベンチマーク
CPUはCore i5-13500H。12コア16スレッド。インテル第13世代のCPUです。
Cinebench R23のベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3606
マルチスレッド: 26406
というスコアでした。
マルチスレッドは期待以上のスコアです。
Core i7-12700H (2022年のエース格)とほぼ同じスコアですし、新世代のCore Ultra 7 155Hよりも良いスコアです。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | 4.9 |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | 5.1 |
Legion Slim 5i Gen8 | Core i5-13500H | 5.6 |
Legion Pro 5i Gen8 | Core i7-13700HX | 6.1 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | 6.7 |
Victus 16 (AMD) | Ryzen 7 6800H | 7.4 |
まずまず優秀なタイムです。
ただこのクラスの性能だとRAW現像は軽めの作業であまり差がつかないのも事実です。
◆AIによる画像処理 (Photoshop)
Photoshopのノイズ除去はAIを利用した新機能です。この処理にかかる時間も計測しました。
機種 | CPU | グラフィックス | タイム (秒) |
Legion Pro 5i Gen 8 | Core i7-13700HX | RTX 4070 | 14 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | RTX 4060 | 15 |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | RTX 4050 | 16 |
Legion Slim 5i Gen8 | Core i5-13500H | RTX 4050 | 17 |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 21 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 24 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 101 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 224 |
この作業はGPU性能も効いてくるので、グラボ非搭載のPCよりも圧倒的な速さです。一方、グラボ搭載のPCだけで比較するとそんなに差は出ません。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | 31 |
Legion Pro 5i Gen8 | Core i7-13700HX | 34 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | 37 |
Legion Slim 5i Gen8 | Core i5-13500H | 39 |
Legion 570i | Core i7-12700H | 40 |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | 42 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 60 |
良いタイムです。
上位のCPUである13700HXを搭載したPCとさほど変わらない速さです。本機はグラボ搭載なので、書き出し以外の作業も快適です。
◆ゲーム
最後にゲーム性能に関していくつかテストしてみます。
まずは定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは20253で「非常に快適」。平均フレームレートは146psでした。
機種 | CPU | グラフィックス | fps |
Legion Pro 5i Gen8 | Core i7-13700HX | RTX 4070 | 200 |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | RTX 4050 | 167 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | RTX 4060 | 159 |
Legion Slim 5i Gen8 | Core i5-13500H | RTX 4050 | 146 |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 137 |
Pavilion Aero 13-be | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 60 |
優秀な結果ですが、ゲーミング特化型のPCと比較するとちょっと見劣りするかなという感じもします。
2024年に出たばかりの鉄拳8はデモを軽くプレイしただけですが60fpsが出ており問題なくプレイできそうです。
最後は3DMark Time Spy。
RTX 4050としては上位のスコアです。
このスコアなら、FHDでほとんどのゲームを100fps以上でプレイ可能です。ただ重量級のゲームをやり込むにはもう1ランク上の性能が欲しいかなと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画視聴
○オフィス系ソフトで事務作業
〇画像編集
〇動画編集
〇ゲーム
となります。
良い: AI画像処理や動画編集も快適
良い: FHD(1080p)ならほとんどゲームは快適
微妙: 重量級のゲーム用としてはやや不満
キーボード、タッチパッド
キーピッチ(キーの間隔)は18.7mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。
いわゆる「Lenovoの配列」でEnterキーやBackspaceキーが横のキーをくっついているのがマイナスです。
ストロークは深めですが、柔らかいです。打鍵感は悪くないですが、素晴らしく良いというほどではないです。
キーボードとは別ですが、本機には指紋センサーがありません。顔認証もないので、その点がマイナスです。
微妙: キーの配列、打鍵感はもう一歩
悪い: 指紋センサーなし
インターフェイス
USBポートは全部で4つ。
USB-Cが2つありますが、Thunderboltではありません。
・転送速度 20Gbps (Thunderbolt 4なら40Gbps)
・PD対応 (電力供給対応)
・映像出力対応
となっています。
残り2つは通常のUSB-Aポートです。
あとはSDカードスロット、HDMI、有線LAN、ヘッドフォンジャックです。
デジカメ用のSDカードスロットがあるのはポイントが高いです。クリエイター向けにおすすめする理由の1つです。
良い: SDカードスロット、有線LANポート
排気音(ファンノイズ)
ゲーミングノートで気になるのは熱と音。
負荷をかけたときはサーというファン音がけっこうします。
モードはバランスモードです。
参考程度ですがアプリで測定した音量は47デシベルでした。
普通のノートPCが40デシベル前後。
ゲーミングノートは45~50デシベルが平均です。
作業が終わるとすぐにファンが止まり、静かになるのは良い点です。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・指紋認証なし、顔認証なし
・ばりばりゲームをやる人には向かない
長所
・ゲーミングノートの中では薄い
・ディスプレイの色域が広くクリエイターもOK
・RTX 4050が平均以上の性能。FHDでゲームを楽しむのに最適
・SDカードスロット付き
大きな欠点もなく、とても良くまとまっています。
CPUとグラフィックスの性能をフルに発揮できているため、Core i5-13500H + RTX 4050という組み合わせでも優秀なパフォーマンスを出せていました。
AIを利用した画像編集や動画編集も苦にしません。
これで20万ちょいなら悪くないと思います。
2024年はCore Ultraシリーズを搭載したPCが話題ですが、 Core Ultra 7 155H + 内蔵GPUよりも本機の方が圧倒的に高い性能です。
ライバルはHPのOMEN 16 (2023)でしょう。
この機種も本機と同様にすっきりデザインのクリエイター向けPCで、しかも安いです。
OMEN 16 | Legion Slim 5i Gen8 | |
CPU | Core i7-13700HX | Core i5-13500H |
PassMarkマルチ | 31772 | 26406 |
グラボ | RTX 4060 | RTX 4050 |
TimeSpy | 9735 | 8235 |
ディスプレイ解像度 | 2.5K | 2.5K |
sRGBカバー率 | 100% | 100% |
SDカードスロット | なし | あり |
価格 | 20.0万 | 20.6万 |
OMEN 16は上位のCPU、グラボを搭載しており20.0万とコスパは良いです。
Legion Slim 5i Gen 8は、OMEN 16よりもさらに薄く、そしてACアダプターも小さめ。
またSDカードスロット付きという特徴があります。
今後さらに価格が下がったときはLegionを推したい気もします。