今回はHP OMEN 16のレビューです【貸出機材提供:日本HP】
HPのOMEN 16は2023年8月発売のゲーミングノートです
- CPUはインテル第13世代のCore i7-13700HX。世代エース格。
- グラフィックスはRTX 4060 (RTX 4070や4080も搭載可能)
- ディスプレイは16.1インチ 2.5K液晶、100%sRGB
- すっきりしたデザイン
という特徴をもっています。
OMEN 16はHPのゲーミングノートで最上位シリーズです。ゲームはもちろん、画像編集や動画編集などのクリエイティブワークにも向いています。
ほぼ全ての用途に使える万能型PCで、かつ価格も安め(20万ちょい)なので、当サイトでは高く評価しました。
以下でくわしく見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU:Core i7-13700HX
・メモリ:16GB (8GBx2) DDR5-4800MHz
・ストレージ: SSD 1TB
・グラフィックス: GeForce RTX 4060 (TGP = 140W)
・ディスプレイ:16.1型 (2560×1440)、非光沢、250Hz、G-Sync対応
・USB: Thunderbolt 4 x2、USB-A x2
・インターフェイス: HDMI、有線LAN、ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)、プライバシーシャッター
・顔認証なし、指紋認証あり
・ACアダプター 280W
・サイズ: 369x259.4x23.5 mm
・重量: 2.44kg
レビュー機はCore i7-13700HXにRTX 4060の構成。
価格は12月27日時点で20.9万円(税込、送料込)です。
上位モデルはRTX 4070、4080も用意されています。
メモリはオンボードではなくスロット式。つまり自分で換装(増設)可能です。
ただ理想を言えばメモリ32GBのモデルも用意してほしかったなと思います。
※価格の最新情報はHPのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはシャドウブラック。
無難な色ですが、アルミ合金を使用しており、まずまず高級感があります。
ただ黒なので少し指紋が目立つかなという感じもします。ベタベタになることはなく薄っすら付く程度。許容範囲だと思います。
天板にはOMEN 16と刻印
角度によってキラリと光ります。
全体の見た目はゲーミングノートにありがちなゴツさはなく、すっきりシャープな印象です。
ACアダプターは大きめの280W。
手の大きさと比べてもらえるとわかりますが、通常の3倍くらいのサイズです。
ディスプレイは
・2.5K 2560×1440
・アスペクト比 16:9
・非光沢
・リフレッシュレート 250Hz、G-Sync対応
・輝度(明るさ) 300nit
・色域 sRGBカバー率 100%
という仕様。
ゲーム仕様であり、かつクリエイター仕様でもあります。
DELL Inspiron 14と比較するとご覧のとおり。
色の発色が段違いに良いです。
良い: すっきりシャープなデザイン
良い: ディスプレイがクリエイター仕様を満たす
微妙: ACアダプターが少し大きい
ベンチマーク
CPUはCore i7-13700H。16コア24スレッド。インテル第13世代のCPUです。
Cinebench R23のベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 4060
マルチスレッド: 31772
というスコアでした。
シングル、マルチともに優秀です。
Core i7-13700HXの平均値には少し足りていませんが、全体では上位に入ります。Core i7-13700HやRyzen 7 7840HSよりは上のスコアです。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
Legion 570i | Core i7-12700H | 4.6 |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | 4.9 |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | 5.1 |
Legion Pro 5i | Core i7-13700HX | 6.1 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | 6.7 |
Victus 16 (AMD) | Ryzen 7 6800H | 7.4 |
ハイスペックPCの中ではちょっと遅めですが作業自体は快適です。RAW現像はCPU性能のみが効くというわけではなさそうです。
◆AIによる画像処理 (Photoshop)
Photoshopのノイズ除去はAIを利用した新機能です。この処理にかかる時間も計測しました。
機種 | CPU | グラフィックス | タイム (秒) |
Legion Pro 5i Gen 8 | Core i7-13700HX | RTX 4070 | 14 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | RTX 4060 | 15 |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | RTX 4050 | 16 |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 21 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 24 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 101 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 224 |
こちらは上位のタイムです。
この作業はGPU性能も効いてくるので、グラボ非搭載のPCよりも圧倒的な速さです。一方、グラボ搭載のPCだけで比較するとそんなに差は出ません。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | 31 |
Legion Pro 5i | Core i7-13700HX | 34 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | 37 |
Legion 570i | Core i7-12700H | 40 |
Yoga Pro 7i Gen8 | Core i7-13700H | 42 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | 47 |
こちらも優秀なタイムです。
本機はグラボ搭載なので、書き出し以外の作業も快適です。
◆ゲーム
最後にゲーム性能に関していくつかテストしてみます。
まずは定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは21908で「非常に快適」。平均フレームレートは159psでした。
機種 | CPU | グラフィックス | fps |
Legion Pro 5i Gen8 | Core i7-13700HX | RTX 4070 | 200 |
DELL G15 5530 | Core i7-13650HX | RTX 4050 | 167 |
OMEN 16 | Core i7-13700HX | RTX 4060 | 159 |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 137 |
Pavilion Aero 13-be | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 60 |
優秀な結果ですが、ゲーミング特化型のPCと比較するとちょっと見劣りするかなという感じもします。
次はストリートファイター6
ちょっと重めのゲームですが、こちらも問題なく快適にプレイできます。
対戦モードでは60fps、他のモードでは108~119fpsという結果です。
最後は3DMark Time Spy。
これまでレビューしたPCではトップ。RTX 4070を搭載したLegion Pro 5iよりも上のスコアが出ています。
このスコアなら、FHDでほとんどのゲームを100fps以上でプレイ可能です。重量級のゲームをレイトレーシングONでプレイしたいなら最上位のRTX 4080モデルがおすすめです。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画視聴
○オフィス系ソフトで事務作業
〇画像編集
〇動画編集
〇ゲーム
となります。
良い: AI画像処理や動画編集も快適
良い: FHD(1080p)ならほとんどゲームは快適
微妙: とびぬけて得意な分野があるというわけではない
キーボード、タッチパッド
キーピッチ(キーの間隔)は18.7mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。
ストローク、打鍵感ともに平均的です。
テンキーがない代わりに、右サイドにHomeやPgUpなどのキーと矢印キーが配置されています。
微妙: キーの配列、打鍵感は平均レベル
インターフェイス
USBポートは全部で4つ。
USB-Cが2つあり、どちらもThunderbolt 4です。
・転送速度 40Gbps
・PD対応 (電力供給対応)
・映像出力対応
となっています。
残り2つは通常のUSB-Aポートです。
あとはHDMIと有線LAN、ヘッドフォンジャックです。
デジカメ用のSDカードスロットがないのは残念です。クリエイターPCとしてはぜひ欲しかったポートです。USBポートが豊富なのでその1つに変換アダプターを付けて運用する感じになると思います。
良い: Thunderbolt 4が2つ
良い: 有線LANポート
悪い: SDカードスロットなし
排気音(ファンノイズ)
ゲーミングノートで気になるのは熱と音。
負荷をかけたときはザーというファン音がけっこうします。
モードはバランスモードです。
遠くの夕立(雨)のような音でそれなりに大きいです。
参考程度ですがアプリで測定した音量は45デシベルでした。
計測した値よりも体感的には気になる音だと感じました。
ゲームによってはヘッドフォンが必要になるかもしれません。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆☆ |
短所
・負荷時のファン音はそれなりに大きい
・SDカードスロットなし
長所
・すっきりしたデザイン
・RTX 4060搭載。FHDでゲームを楽しむのに最適
・ディスプレイの色域が広くクリエイターもOK
・コスパ良し
ゲーム、AIでの画像処理、動画編集など守備範囲が広いので多くの人におすすめできるPCです。
デザインもすっきりで見た目も良いです。
クリエイター目線で残念なのは、SDカードスロットが無い点。以前のOMEN 16には付いていただけに残念な変更です。
コスパは良いです。
OMEN 16 | Legion Slim 7i Gen8 | Victus 16 | |
CPU | Core i7-13700HX | Core i7-13700H | Ryzen 7 7840HS |
PassMarkマルチ | 31772 | 27866 | 28898 |
グラボ | RTX 4060 | RTX 4060 | RTX 4060 |
ディスプレイ解像度 | 2.5K | 2.5K | FHD |
sRGBカバー率 | 100% | 100% | 63% |
価格 | 20.9万 | 24.0万 | 15.3万 |
ライバルのLenovo Legion Slim 7iと比較すると、3万以上安いです。
同じHPのVictus 16は15万と安いものの、ディスプレイのランクが1つ下ですし、ボディ全体の高級感もだいぶ下がります。
ゲームするだけなら15万のVictus 16もアリかもしれませんが、トータルの評価で考えるならやはりOMEN 16を推奨したいです。