ASUS Zenbook 15 OLED (UM3504)は2023年5月発売のノートPC
- 15.6インチの16:9ディスプレイ
- OLED(有機EL)で色が鮮やか。
- CPUはRyzen 7 7735U。高性能。
という特徴があります。
15.6インチのZenbookは初めてレビューします。
Zenbookの有機ELがきれいなのはすでに知っていましたが、今回の大画面ノートPCでそれを再認識しました。
ディスプレイの良さと性能の良さが最大の長所です。
まずはスペックから見ていきましょう。
レビュー機のスペック
CPU: AMD Ryzen 7 7735U
メモリ: 16GB
SSD: 512GB
ディスプレイ: 15.6インチ 2880x1620、OLED、光沢
グラフィクス: Radeon 680M (内蔵GPU)
USBポート: USB4 x1、USB3.2 Type-C x1、USB-A x1
インターフェイス: HDMI、ヘッドフォン
Webカメラ: FHD(1080p)、カメラオフキー
顔認証あり、指紋認証なし
重量: 1.55kg
レビュー機はRyzen 7に2.8Kの有機ELディスプレイを搭載したモデルです。内蔵グラフィックスはRadeon 680Mで、他のRyzenの内蔵グラフィックスよりも高い性能を有しています。
6月9日時点では17.0万円(税込、送料込)です。
6月中旬に、FHDの液晶モデルも発売予定。そちらだとさらに安くなるはずです。
※価格の最新情報はASUSストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはポンダーブルー。シックな紺色でまずまずの質感です。
天板の目立たない位置にZenbookのロゴが入っています。
暗めのカラーのせいか、指紋は少しだけ気になります。
あとパームレスト側にシールが多すぎですね。
こういうシールは安っぽさ、野暮ったさにつながるのでできればない方がいいです。
自分で使うとなったら右サイドのシールは全部剥がして使うと思います。これは貸出機なので剥がしていませんが、きれいに剥がせるのかどうかも心配です。
重量は実測で1.40kgです(カタログ値は1.55kg)
カタログ値よりもかなり軽いです。
15.6型PCの中でも軽い方で、室内の移動も楽です。
ディスプレイは
・2880×1620
・縦横比16:9
・OLED、光沢
・リフレッシュレート 120Hz
・輝度(明るさ) 550nit
・色域 sRGBカバー率 133%
という仕様。
アスペクト比(縦横比)が16:9なのが少し残念ですが、15.6インチのサイズがあれば画面は十分広いのでそこまで気にならないと思いました。
とても明るく、そして色彩豊かなディスプレイです。
普通の液晶(sRGBカバー率63%)と比較するとよくわかります。
違いが大きいのは青でしょうか。
空の青、海の青がしっかり出ていてきれいです。
有機ELは黒が締まる、コントラストが高いのと同時に、シャドーの微妙なグラデーション描写も優れています。
液晶だと黒が潰れ気味になるようなダークトーンの写真でも、有機ELだとしっかり描写できています。
本格的な写真編集を行いたい人には、本機のような有機ELディスプレイはおすすめです。
ただ光沢タイプなので、映り込みがあります。
本機は光沢タイプの中では、映り込みが抑えられている方だと思います。
良い: 明るさ、色の鮮やかさは文句なし
良い: ダークトーンの描写も素晴らしい
良い: 実測で1.4kg。カタログ値よりも軽い
悪い: シールが多く野暮ったい
Webカメラ
WebカメラはF10キーでオフにでき、使わないときはすぐに隠せる仕様です。意図せずに自分が映ってしまうという心配がありません。
解像度はFHD(1080p)。写りはとても良いです。
最近はFHD以上のカメラが増えてきましたが、
・顔の肌を不自然に加工するもの
・解像感は高いが、ノイズが気になるもの
・色味が不自然なもの
など、ちょっとしたマイナス点があるPCが大半です。
本機のカメラはマイナス点がなくトップクラスに写りが良いと思います。
良い: FHDカメラ。自然な写りで解像感もある
ベンチマーク
CPUはRyzen 7 7735U。8コア16スレッドです。
いつものPassMarkのベンチマークを取ろうとしたところ、なぜかエラーが出てしまい実施できませんでした。
代わりにCinebench R23を実施したのでそのスコアです。
シングルコア: 1551
マルチスコア: 10222
シングル、マルチともに優秀です。
2023年時点では「中の上」~「上の下」の性能で、画像編集や動画編集も快適にこなせます。
◆PCMark10の結果
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Essentials(一般的な利用) 9390 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)8988 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 7932 (目安3450)
Ryzen 7730U搭載のYoga 6 Gen8と比較してみます。
Yoga 6 Gen 8 | Zenbook 15 OLED | ||
CPU | Ryzen 7 7730U | Ryzen 7 7735U | スコア差 |
アプリ起動 | 9994 | 10806 | 7.5% |
ビデオ会議 | 8359 | 8697 | 3.9% |
Webブラウジング | 8250 | 8810 | 6.4% |
表計算 | 12507 | 11658 | -7.3% |
文章作成 | 7618 | 6930 | -9.9% |
画像編集 | 9227 | 13918 | 33.7% |
レンダリング | 6155 | 7772 | 20.8% |
動画編集 | 3890 | 4614 | 15.7% |
7730Uと7735U、CPUの型番は似てますが、本機の方が画像編集~動画編集のスコアで15%~33%ほど上回っていることがわかります。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | 5.7 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 7.1 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | 7.4 |
Victus 16 (AMD) | Ryzen 7 6800H | 7.4 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 7.9 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9 |
インテルの第13世代よりは遅いですが、例えばゲーミングPCのHP Victus (Ryzen 7 6800H搭載)よりも速いタイムが出ておりRyzenの中では優秀です。作業自体も快適です。
AIを利用した新機能、「ノイズ除去」を試してみました。
機種 | CPU | グラフィックス | タイム (秒) |
Legion Pro 5i Gen 8 | Core i7-13700HX | RTX 4070 | 14 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 24 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 101 |
IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H | Radeon Graphics | 156 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 207 |
この処理はグラフィックスの性能が効いてくるので、ゲーミングPCには差を付けられてしまいます。しかし、薄型ノートの中では最も速いタイムでした。
AIの新機能もある程度は使えると思います。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Victus 16 (AMD) | Ryzen 7 6800H | 47 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | 57 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 60 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | 80 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
書き出し速度はかなり優秀で、薄型ノートの中では過去最速でした。。
FHD動画の基本的な編集なら問題なくこなせそうです。
◆軽めのゲーム
定番のベンチマーク、ファイナルファンタジー14 暁月のフィナーレ(2021年発売)
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは7565、「やや快適」という結果で平均フレームレートは54fpsでした。
機種 | CPU | グラフィックス | FF 14 ベンチ |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 16379 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | Radeon 680M | 8420 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 7565 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 7387 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 5243 |
内蔵グラフィックスとしては健闘しています。軽めのゲームを低設定で楽しむくらいならなんとかなりそうです。
最後は最近出たばかりのストリートファイター6。
設定はLow、解像度FHDという条件だと「快適にプレイできます」と出ました。ただ平均フレームレートが58fpsなのでそこまで威張れる結果ではありません。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
〇画像編集
△動画編集
△ゲーム
という快適度になります。
良い: 薄型ノートの中ではトップクラスの性能
良い: 画像編集や動画編集にも対応可能
良い: 低設定なら遊べるゲームもある
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.3mmです。
テンキー付きのキーボードです。
Enterキー、Backspaceキーが横とくっついてしまってる点はマイナスですね。海外メーカーにありがちな配列、キー形状です。
打鍵感はまずまず。スッと沈む素直な打ち心地です。
そしてバックライト付きなので暗い場所で使うときもタイプしやすいです。
微妙: 一部のキーが小さい、横をくっついている
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが2つとUSB-Aが1つです。
USB-Cポートの1つはUSB4です。
・高速転送 40Gbps
・PD対応(モバイルバッテリーから充電OK)
・映像出力対応
の万能ポートです。
もう1つのUSB-CもPD対応かつ映像出力対応です。
USB-Aが1つ残っているのも良いです。
他はHDMIとヘッドフォンジャックが付いています。
さらにUSB-Aから有線LANポートへの変換アダプターも付いています。
Wi-Fiが不安定な環境でも有線で安定した回線が得られます。
欲を言えば、デジカメ用にSDカードスロットがあると良かったです。そうすればクリエイター向けにさらに良い訴求ポイントになったはずです。
良い: 有線LANのアダプター付き
悪い: SDカードスロットなし
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は67Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約4.5時間。電池持ちは悪いです。
Zenbook 15 OLED | 4.5時間 |
XPS 13 Plus | 5.3時間 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | 6.5時間 |
Yoga 770 | 8.0時間 |
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
熱や音については問題なし。
負荷をかけると「サー」というファン音がしますが、音量は40db程度で許容範囲でした。
悪い: バッテリーライフが短い
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆ |
悪い点
・パームレストに貼ってあるシールが野暮ったい
・バッテリーライフが短い
良い点
・有機ELで色が鮮やか
・画像編集や動画編集もこなせる性能
・15.6型ながら1.4kgと軽い
CPUと内蔵グラフィックスの性能が良く、薄型ノートながらとても性能が良いです。
また定評のある有機ELディスプレイも15.6インチの画面で見るとその素晴らしさが一層際立ちます。色の鮮やかさはもちろんですが、潰れそうで潰れないダークトーンの階調も見事です。
画像編集などのクリエイティブワークに向いているPCだと言えます。
あと、低設定なら軽めのゲームを楽しむことも可能です。
弱点というか惜しいのがパームレストにシール貼りすぎている点と、バッテリーライフです。特にバッテリーについては1.4kgとそこそこ軽いだけに残念です。
最後に価格について。6月10日時点では、17.0万円(税込、送料込)と少し高めの価格帯ですが、性能とディスプレイの質を考えれば納得プライスかと思います。
⇒ ASUSストア Zenbook 15 OLED (UM3504DA)
予算を抑えたい人はFHDの液晶タイプも販売予定です。