Adobe LightroomやPhotoshopを使ってRAW現像、フォトレタッチを快適に行うためのノートPC、おすすめの機種を挙げてみました。価格は15万~20万を想定しています。
アマチュア向け。中級者以上、プロ未満を対象とした内容となっています。
筆者の写真歴は約10年。趣味レベルですが、一応ハイアマチュアの下辺に属するかなと思ってます(海外のフォトコンで受賞歴あり)。
こんな感じの写真を撮っています。
筆者がRAW現像用のノートパソコンで本当に買いたいと思うものを厳選してみました。OSはWindowsに限定させてもらっています。
簡単な結論
・CPUはCore i7-13700H、Ryzen 7 7840HSなど末尾「H」「HS」などがベスト。次点はCore i7-1360P、Ryzen 7 7735U、Core i5-1340P。
・メモリは16GB SSD容量は512GB~1TB
・ディスプレイの色域をチェック。sRGBカバー率100%以上が望ましい
・SDカードスロット付きがいい(しかし意外と難しい)
・グラフィックスは内蔵GPUだけでも可能。しかし最近流行りの生成AIを利用したいならグラボ搭載が良い。RTX 3050~RTX 4050くらいがおすすめ。
CPU、GPU選び
Intel Core i7-13700H、AMD Ryzen 7 7840HS
CPUの末尾が「H」か「HS」のタイプだと、本格的なRAW現像に対応できます。大体はグラボが搭載されたゲーミングノート、クリエイターノートになるはずです。
生成AIを活用したい人、Photoshopで数十枚以上のレイヤーを使う人、フィルターを多用して大幅な加工を行う人におすすめです。
2023年に登場した「AIを利用したノイズ除去」はグラフィック性能に依存します。星景写真などを撮ってる人などノイズ除去を毎回行いたい場合もグラボ付きがおすすめです。
GPUはRTX 3050~RTX 4050といった下位モデルで十分です。
1つ注意すべきは、Hプロセッサーが薄型ノートに搭載されている場合。この場合は、CPU性能をフルに発揮できない可能性があります。同時に騒音や熱の問題も発生しやすくなります。その点は十分注意してください。
Intel Core i7-1360P、Core i5-1340P、AMD Ryzen 7 7735U
1つランクを落とすとインテルの「P」プロセッサー、またはRyzen 7 7735Uが有力です。
このCPUの場合、グラボは搭載されていないことがほとんどです。性能よりも軽さやデザイン性を重視する人向けです。
RAW現像を行う人の7~8割がこの性能で満足できると思いますが、これからやってくるAI時代に適応することを考えるなら最初に挙げたグラボ付きを買うのもアリかなと思います。
筆者も現在はグラボ無しのPCを使用しておりそれで十分満足していますが、次に買い替えるときはグラボ付きにしようかと考えています。
Core i7-1355U、Ryzen 7 7730U
インテルのUプロセッサーや、Ryzen 7030シリーズになるとまた1つランクは下がります。
このクラスのCPUのノートPCだと10万以下で購入できます。RAW現像は月に数回、軽くやるだけですという程度なら一応候補としてありかなと思います。
ただできればこれよりも上で挙げたCPUを推奨します。
Intel Core i7-12700H
第12世代インテルのHプロセッサーも十分現役です。
第12世代でCPU性能が飛躍的に進歩したせいか、12700Hと13700HはRAW現像ではそこまで差は出ません。12700H搭載で安めのPCがあればそれを買うのも良いでしょう。
RAW現像ではCPU性能が重要と言われてきましたが、2023年はその傾向が少し弱まったかなと思います。
その理由は、
- CPU性能が十分高くなって、どれを選んでもそんなに差が出なくなった。
- GPUの重要性。生成AIの出現でGPUを使う処理が増えた。
の2つが挙げられます。
メモリとSSD
メモリは基本16GBです。上級者なら32GBあってもいいかもしれません。ただし予算が高くなるので無理なら16GBにしましょう。
SSDは最低512GB。できれば1TBほしいですが、今回選んだPCは512GBが多いです。容量が足りなくなると思うので、クラウドサービスを利用してデータを保存することになるでしょう。無料のところだとAmazon Photoが画像なら無制限、RAWデータもOKなのでおすすめです。
ディスプレイ
ディスプレイ選びは
・解像度はフルHD以上 (1920×1080)
・輝度(明るさ)は300nit以上
・色域はsRGBカバー率 100%
の3つが最低条件です。
色域は色の再現性です。狭い色域のディスプレイだと表現できない色が出てきてしまうので、写真を趣味としてやっていくならsRGBカバー率100%のものを選んだ方がいいです。
安いゲーミングノートは大体この条件で脱落します。
sRGBカバー率63%と100%だとこんな感じで色が変わります。写真でもある程度差がわかりますが、肉眼だともっと差が大きいです。
解像度はもう1つランクを上げて2.5Kや2.8Kにしてもいいでしょう。4Kにこだわる必要はありません。
サイズは15.6インチ~16インチの広めが作業しやすいですが、細かい文字を気にしないという人なら14インチもありかなと思います。
ディスプレイに関しては、外付けモニターを使用する場合もあるので、絶対とは言えません。
有機EL(OLED)か、普通の液晶か?
有機ELは、
・色が鮮やか
・コントラストが高く、黒が締まる
・光の表現が素晴らしい
というメリットがあります。
デメリットは
・光沢タイプが多いので映り込みが気になる
・普通の液晶よりも高い
・色がこってりしすぎる
です。
写真鑑賞用としては間違いなく素晴らしいです。しかし編集用のディスプレイとしてなら、あえて普通の液晶を選ぶ人も少なくないでしょう。最終的には個人の好みで決めてください。
ちなみに筆者は普通の液晶(非光沢)を使っています。
ファン音、騒音の問題
最後にファン音についても評判をチェックしておいた方がいいです。せっかく性能が良くても、ファン音がうるさくて作業に集中できないPCもあります。
一般的にゲーミングノートはかなりファン音はうるさくなります。
あとmouse(マウスコンピューター)のクリエイター向けPCもファン音が大きいものが多いので注意しましょう。筆者の体験談だけではなく、けっこうサンプル数の多い話です。
音を気にしない人なら無視してもらって構いませんが、当サイトがmouseを推奨しないのは訳があります。
おすすめのノートPC
グラボ無し、15.6インチ、OLED
ASUS ZenBook 15 OLED
CPU: Ryzen 7 7735U
メモリ: 16GB
SSD: 512GB
グラフィックス: Radeon 680M
ディスプレイ: 15.6インチ 2880x1620、OLED、133%sRGB
SDカードスロット: なし
重量: 1.4kg
価格は15.0万円(税込、送料込)
グラボなしですが、内蔵GPUのRadeon 680Mの性能が良いです。
ディスプレイは有機EL (OLED)で、色域も広いです。
15.6インチながら1.4kgを軽いのも長所です。
⇒ ASUSストア Zenbook 15 OLED (UM3504DA)
グラボ付き、15.6インチ、クリエイターPC
ドスパラ raytrek R5-RL5
CPU: Core i7-13700H
メモリ: 16GB
SSD: 1TB
グラフィックス: RTX 4050
ディスプレイ: 15.6インチ 2560x1440、99%sRGB
SDカードスロット: あり
重量: 2.2kg
条件をほぼ完璧に満たすのはraytrek R5-RL5、ドスパラのクリエイター向けPCです。
価格は18.4万円(税込、送料込)とちょっと高めですが、タイミング次第では割引セールをやってるかもしれません。
Amazonで買えます。
グラボ付き、14.5インチ
Lenovo Yoga Pro 7i Gen 8
CPU: Core i7-13700H メモリ: 16GB SSD: 512GB グラフィックス: RTX 3050 ディスプレイ: 14.5インチ 3072x1920、133%sRGB SDカードスロット: なし 重量: 1.49kg
上記の構成で18.0万円(税込、送料込)
CPUはインテルのHプロセッサー。
ディスプレイは3K液晶。sRGBカバー率は133%と色域も広いです。さらに工場出荷時にディスプレイをキャリブレーションしてあるので色の精度(色差)も良いです。
持ち運びできる性能ではこれがトップクラス。14.5インチながら熱や音の問題をうまくクリアしています。
グラボ付き、16インチ、メモリ32GB、ゲーミング
Lenovo Legion Pro 5 Gen 8
CPU: AMD Ryzen 5 7645HX
メモリ: 32GB
グラフィックス: RTX 4050
ディスプレイ: 16インチ 2560x1600、100%sRGB
SDカードスロット: なし
重量: 2.5kg
上記の構成で20.4万円(税込、送料込)
メモリ32GBの構成でコスパが良いのはこれ。
RAW現像だけならオーバースペックですが、Photoshopとイラストレーターを同時に使いたい人、動画編集もやりたい人にはこれぐらいスペックを盛ってもいいでしょう。