Microsoft Surface Laptop Goは2020年10月発売の12.4型ノート。
「Laptop Go」という名前のとおり、Surface LaptopとSurface Goの中間のポジションに位置する機種です。厳密に言うと、ややLaptop寄りです。
- Surfaceとしては価格抑えめ
- 明るいディスプレイ
- 高級感のあるデザイン
という特徴をもっています。
実際に1週間使ってみた感想を正直に書いてみたいと思います。
レビュー機のスペック
・OS: Windows 10 Home (S モード)
・CPU: Core i5-1035G1
・メモリ: 8GB
・ストレージ: SSD 256GB
・ディスプレイ: 12.4型 1536×1024 タッチ対応
・USB: USB-C x1、USB-A x1
・インターフェイス: Surface Connectポート、ヘッドフォン
・Wi-Fi: Wi-Fi 6対応
・サイズ: 278.18×205.67×15.69 mm
・重さ: 1.11kg
・オフィス: Microsoft Office Home & Business 2019
OSはWindows 10 Home Sモードです。使えるアプリがMicrosoft Storeにあるアプリに限定される代わりに、セキュリティと速度という恩恵を受けるOSです。
Microsoft Store以外からアプリをインストールしたい場合は、「Sモード」を解除することも可能です。解除するときはMicrosoftアカウントが必要になります。
全モデルにOffice Home and Business 2019が付いてきます。
CPUはCore i5-1035G1で全モデル共通。メモリとストレージに選択肢があり、構成ごとの価格は以下の表のようになっています。
CPU | Core i5 | Core i5 | Core i5 |
メモリ | 4GB | 8GB | 8GB |
ストレージ | eMMC 64GB | SSD 128GB | SSD 256GB |
価格 | 8.4万 | 10.2万 | 12.6万 |
一番安いモデルは8.4万(税込、送料込)と安いですが、メモリ4GBとストレージ容量の少なさが気になります。
できるならメモリは8GBにしたいところ。
SSD容量は128GBだとちょっと少なめですが、クラウドや外付けHDD、外付けSSDを利用して補完することは可能です。
レビュー機はSSD256GB、12.6万の構成になります。
1.1kgの軽量ノートがオフィス付きでこの価格。コスパはなかなか良いと思います。
※価格は変動することがあるので最新情報はMicrosoftのオンラインストアで確認してください。
見た目、デザイン
カラーはプラチナ、アイスブルー、サンドストーンの3種類用意されています。
レビュー機はアイスブルーです。
まず最初に驚いたのがその高級感です。
メタリックなボディは光沢があり、とても上品な印象を受けます。
指紋も目立たず、きれいな外観です。
この高級感は、HPやDELL、Lenovoの最高級モデルに匹敵するレベルだと思いました。
ボディの剛性も高く、とても頑丈です。
重量は1.11kgと軽量。
片手で軽々扱えるコンパクトさも魅力です。
液晶ディスプレイはタッチ対応の光沢タイプ。映り込みはかなりあります。
輝度は400nitと明るい液晶です。視野角も広いです。
色味も自然で、色域も広め(sRGBカバー率は95%)です。
12.4型で1536×1024 ピクセル。解像度は148ppiとなります。
よくある15.6インチディスプレイに1920×1080で解像度は141ppiですから、148ppiの画質が悪いと感じることはありませんでした。
良い:高級感が素晴らしい
良い:コンパクトで頑丈なボディ
良い:明るいディスプレイ
微妙:映り込みはかなりあります
アスペクト比は3:2
画面のアスペクト比は3:2
通常は16:9が多いのですが、それよりも縦長(正方形に近い)になっています。
画面に表示できる縦の範囲が広がり、スクロール回数を減らすことができます。
下の画像は、アスペクト比3:2、12.4インチ(1536×1024)、表示スケール100%で見た当サイト。
そして次がアスペクト比16:9、14インチ(1920×1080)、表示スケール125%で見た当サイトです。
2つの画面を比べてみると、画面内の情報量は最初(アスペクト比3:2、12.4インチ)の方が多いことがわかります。
良い: 3:2画面で情報量が多い
ベンチマーク
CPUはCore i5-1035G1です。
Cinebench R23のベンチマークテストを実施したところ、3342というスコアでした。
Core i5-1035G1の平均スコアは4225なので、レビュー機は平均値よりも低いスコアです。
グラフを見ると、第8世代のCore i5より少し上のレベル。Core i5-1035G1の性能をフルに発揮できていません。
参考までにM1 MacBook Air(1.29kg)のスコアと比較すると半分以下という結果。性能面ではかなり離されています。
作業ごとの快適度は
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
△画像編集(RAW現像)
×動画編集
×ゲーム
という目安になります。
普段使い、ビジネス利用までなら問題ないと思いますが、それ以上に負荷のかかる作業には向かないでしょう。
悪い:Core i5-1035G1のMAX性能より20%下
キーボード、タッチパッド
キーピッチ(キーの間隔)は18.5mm、キーストローク(深さ)は1.4mmです。
キーの打鍵感は独特で、表現が適切かどうかわかりませんがゴム感があります。柔らかめの打鍵感です。カチャカチャという音はせず、とても静かですが、ゴムを押してるような感触が通常のノートPCよりも強いです。
感触としてはそこまで不快ではないので慣れれば全く問題ないかと思います。
キー配列とキーの形状では良い点と悪い点が混在しています。
良い点は、スペースキーの両サイドに「A」と「あ」というキーが新しく設置されたこと。これは「英数」と「かな」の切り替えに使用します。
通常は「無変換」「変換」キーがある場所です。使用頻度が低い「「無変換」「変換」キーに代わり、「A」と「あ」キー。「A」を押すと英数入力になり、「あ」を押すとかな入力になります。
MacBookと同じ方式ですね。
スペースキーのすぐ横にあることで、「英数」と「かな」の切り替えがとてもスムースです。(もちろん慣れは必要ですが)
悪い点はEnterキーの形状。
下半分が細くなっています。日本語のキー配列に合わせた苦心が出ています。
小指でEnterキーを押すときに、この細いEnterキーに届かないことがあり、ちょっとストレスでした。これは筆者のクセもあるのかもしれません。慣れるまで時間がかかりそうです。
Enterキー問題は海外メーカーのノートPCでのついてまわる問題です。
例えばLenovoのIdeapadやYogaシリーズだと、Enterキーが隣のキーをくっついています。これはこれで見た目がよろしくありません。
隣のキーと離れるようにすると、今回のSurfaceのようにEnterキーが細くなってキーが打ちづらくなる。なかなか難しい問題です。
あとバックライトがないのは残念な点です。
タッチパッドはとても滑らか。ちょっと滑りすぎかなと思うくらいですが、感触はとても良いです。他メーカーだと最高級モデルに使用されるタイプのものです。
良い:「英数」と「かな」の切り替えがスムース
良い:滑らかなタッチパッド
微妙:打鍵感
悪い:Enterキーが打ちにくい
悪い:バックライトなし
インターフェイス(端子類)
USBポートはUSB-Cが1つとUSB-Aが1つです。
USB-Cは電源供給、映像出力に対応しています。
電源ポートはSurface Connectポートです。
他にはヘッドフォンのみ。microSDやHDMIはありません。
ビジネス利用として考えたときはやや不安な仕様です。
MicrosoftはSurface Connect推し。
これを介してSurfaceドックと接続すれば、有線LANポートやUSBポート、Mini Display Portと端子が増えて使い勝手も良くなるのですが、このドックが2.7万とけっこうなお値段します。
つまりSurface Connectは一般ユーザーからするととても不満。素直にこれをUSB-Cポートに代えて欲しかったなというのが本音です。
インターフェイスの数、種類は最小限です。
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は39.7Wh。駆動時間は短めです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約5時間。
モバイルノートとしてはかなり短いです。
画面の明るさを下げると若干延びますが、それでもモバイルノートとしては物足りない水準です。
また負荷をかけたときのファン音も少し大きめで気になりました。
ペンは非対応
最後に1つ注意点。
Surface Laptop Goはタッチパネルですが、ペンは使えません。ペンでお絵かきしたいという人は、Surfaceの他のシリーズがおすすめです。
まとめ
デザイン | ☆☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
バッテリー | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・CPU性能がMAXまで発揮できていない
・ディスプレイの映り込み
・Enterキーが打ちにくい
・バッテリー駆動時間が短い
長所
・高級感のあるデザイン
・明るいディスプレイ
・アスペクト比3:2で作業効率アップ
・「英数」と「かな」の切り替えがスムース
・価格抑えめ
長所と短所がはっきり分かれました。
良い点も多いですが、悪い点も多いです。
その人の使い方やこだわりポイントによって、評価はだいぶ変わりそうです。
短所の中で個人的に最も気になったのはバッテリー駆動時間。1.11kgの軽量ノートですが、長時間の持ち歩き使用に耐えられないのは見逃せない欠点です。
CPU性能が期待ほど高くなかったのも気になりますが、仮にCPU性能がMAXまで発揮できたとしても出来ることにそう大した違いは出ないのでこの短所は軽微だと判断しました。
良い点で個人的に気に入ったのは、やはり高級感のあるデザインです。個人的にはWindows機の中でトップ3に入るカッコ良さだと思います。
またスペースキーの横にある「A」と「あ」キーで「英数」と「かな」の切り替えがスムースに可能になっているのも良いと思いました。
Core i5、メモリ8GB、SSD256GB、オフィス付きという構成で12.6万円。後述する60日間返品無料サービスも考慮すれば、納得プライスだと言えます。
人気モデルはCore i5、メモリ8GB、SSD128GBの10.2万円のモデルです。
容量はいざとなったら、外付けのSSDやHDDで対応するという感じでしょうか。
カラーは本記事で紹介したアイスブルーがおすすめです。
DELL XPS 13 7390との比較
Windows機でライバルだと思うのがDELLのXPS 13 7390です。
このXPS 13もデザインがとてもかっこ良く、そして美しいディスプレイを搭載しています。
Surface Laptop Goとスペック的にはほぼ同等です。
Surface Laptop Go | DELL XPS 13 7390 | |
CPU | Core i5-1035G1 | Core i5-10210U |
メモリ | 8GB | 8GB |
SSD | 256GB | 256GB |
ディスプレイ | 12.4インチ 148ppi | 13.3インチ 166ppi |
アスペクト比 | 3:2 | 16:9 |
USBポート | USB-Cx1、USB-Ax1 | USB-C x3 |
重さ | 1.11kg | 1.23kg |
Office | Home and Business 2019 | Home and Business 2019 |
価格 | 12.6万 | 9.9万円 |
XPS 13 7390は2019年発売のモデルで、現在はオフィス付きのモデルが9.9万まで値下がりしています。
型落ちとは言え、XPS 13はDELLの最上位モデルですからこれはお買い得です。
Surfaceの購入を考えてる人に、選択肢を増やして迷わせるようなことを言って申し訳ないですが、DELLもちょっと考えてみてください。
XPS 13ならオフィスなしのモデルも用意されており、それならさらに安く購入できます。
Surface Laptop Goは、XPS 13よりもさらにコンパクトながら3:2の画面で作業効率良しという点がメリットです。重量も1.11kgとXPS 13よりもさらに軽いです。