今回はThinkPad E16 Gen 1のレビュー記事です【Lenovo貸出提供】
ThinkPad E16 Gen 1は2023年6月発売のノートパソコン。
- ThinkPadの中では最も安いEシリーズ
- 16インチ 16:10のディスプレイ
- 配列がきれいなキーボード
- 性能はミドルレンジ
- AMDモデルならメモリ16GBが8万円台で買える
という特徴があります。
結論から言うと、10万以下でキーボードにこだわるなら本機がベストです。
レビュー機のスペック
・OS: Windows 11 Home 64bit
・CPU: Core i5-1335U
・メモリ: 16GB (8GBx2)
・SSD: 512GB
・ディスプレイ: 16インチ 1920x1200、非光沢、IPS
・USBポート: USB-Cx2、USB-A x2
・インターフェイス: HDMI、有線LAN、ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)、プライバシーシャッター
・顔認証なし、指紋認証あり
・重量: 1.76kg
CPUはインテル第13世代のCore i5-1335Uにメモリは16GBという構成で104,830円(税込、送料込)となっています。
兄弟機でCPUがAMD Ryzen 5 7530Uを搭載した機種も販売されています。そちらのThinkPad E16 Gen 1 (AMD)だと89,870円(税込、送料込)とさらに安く買えます。
当サイトとしてはRyzen 5 7530U搭載モデルを推奨します。
性能はほぼ同じなので、今回のレビューが参考になるはずです。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
ボディはアルミ合金が使用されており、頑丈な作りです。
天板にはThinkPadのロゴが入っています。
カラーはブラック。濃いめの黒です。
昔のEシリーズはちょっとグレーっぽい色も少し入っていましたが、いまのEシリーズはキリっと締まった黒で高級感があります。
ただ色が黒なので、指紋(手の脂)が少し目立ちます。
これはThinkPadあるあるですね。
使っていくうちに気にならなくなるはずです。
重量は実測で1.80kgです(カタログ値は1.76kg)
16インチでは平均的な重さ。基本は据え置きとなるでしょう。
ディスプレイは
・FHD相当 (1920×1080)
・縦横比16:10
・非光沢
・IPSパネル
・輝度(明るさ) 300nit
・色域 sRGBカバー率 63%
という仕様。
これまでのThinkPad Eシリーズは16:9ディスプレイでしたが、2023年の本機からようやく16:10になりました。狭額縁でいい感じです。
色域は普通です。sRGBカバー率63%なので、クリエイター向けではありません。
DELL Inspiron 14 (7万円台)と比較してみました。
両者の違いはそこまでないです。あえて言うなら本機の方が少し明るいです。
sRGBカバー率100%とのディスプレイと比較すれば、差がはっきり分かるはずなのですが、ちょうどいい比較対象が手元になかったので、似た者同士での比較となってしまいました。
本機の上位モデル(Core i7やRyzen 7)やカスタマイズモデルだとsRGBカバー率100%の液晶を搭載可能なので、色にこだわりたい人はそちらを購入することをおすすめします。
良い: ThinkPadらしい黒
微妙: 色の鮮やかさ、色域は普通
Webカメラ
Webカメラはプライバシーシャッター付き。
使わないときは隠せる仕様です。意図せずに自分が映ってしまうという心配がありません。
解像度がFHD(1080p)、顔認証は付いていません。
写りは普通です。
自然な写りで、解像感もあるのですが、コントラストや色味は地味です。
HD(720p)のカメラを比べてみると、本機の方がノイズが抑えられていると感じました。
微妙: カメラの写りは平均的
ベンチマーク
CPUはCore i5-1335U
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3605
マルチスレッド: 16367
というスコアでした。
期待されたスコアよりは少し下ですが、全体としてはミドルレンジでまずまずのスコアです。
◆PCMark 10
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフト。その結果は以下のとおりです。
この中で、特に注目したのは
・アプリ起動 (App Start-up)
・Webブラウジング (Web Browsing)
・文章作成 (Writing)
の3つ。
この3つのスコアの幾何平均を普段使いの快適度と見なして他の機種と比べると以下のようになります。
機種 | CPU | 普段使いの快適度 * |
Pavilion 15-eg | Core i7-1355U | 10055 |
ThinkPad X13 Gen 4 | Core i5-1335U | 9594 |
ThinkPad E16 Gen1 | Core i5-1335U | 9287 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9250 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 9100 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 8606 |
Inspiron14 5425 | Ryzen 5 5625U | 8516 |
Inspiron 15 5615 | Ryzen 7 5700U | 8313 |
*PCMark 10テストにおけるアプリ起動、Webブラウジング、文章作成のスコアを幾何平均したもの
上位に位置するスコアで優秀です。
普段使い用(ビジネス利用も含め)のPCとしては十分な性能と言えます。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 6.0 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 7.9 |
ThinkPad X13 | Core i5-1335U | 8.2 |
Pavilion 15-eg | Core i7-1355U | 8.4 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9.0 |
ThinkPad E16 Gen 1 | Core i5-1335U | 9.8 |
RAW現像になるとパフォーマンスが悪化します。インテルの第13世代の中では最下位でした。
Photoshop自体は快適ですが、相対的に評価すると低くなります。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 62 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 79 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
ThinkPad X13 Gen4 | Core i5-1335U | 94 |
Pavilion 15-eg | Core i7-1355U | 105 |
ThinkPad E16 Gen1 | Core i5-1335U | 131 |
こちらも芳しくない結果です。動画編集は厳しいと言わざるを得ません。
◆軽めのゲーム
最後は定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは4805、「普通」という結果で平均フレームレートは33fpsでした。
機種 | CPU | グラフィックス | fps |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 137 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 54 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 46 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 37 |
ThinkPad E16 Gen1 | Core i5-1335U | Intel Iris Xe | 33 |
こちらも下位の結果です。本機ではゲームは厳しいです。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
〇オフィス系ソフトで事務作業
△画像編集
×動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
良い: 普段使いの快適度は優秀
悪い: 画像編集以上になると苦戦する
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。
配列がきれいなキーボードです。
・キーが端ギリギリまで配置されている
・テンキー付き
・Enterキー周りの形状がきれい
・一段下がった矢印キー
・PgUp、PgDnキーが独立
という特徴があります。
特に最後のPgUp、PgDnキーが独立しているのは珍しくThinkPadならではです。
このキーでページスクロールをする人にはうれしい仕様です。
ストロークは1.5mm。
ThinkPadのキーボードとしては少し物足りない感じはあります。
打鍵感も柔らかめになりました。カチャカチャ音はせずに静かにタイプできます。その分クリック感は失われているので、そこは一長一短かなと思います。
中央にはお馴染みの赤ポチ(トラックポイント)
これがあればマウスがなくても細かいカーソル操作が可能です。
タッチパッドには物理ボタンが付いており、全体が沈みこむパターンです。
これは3~4年前よりも改善されたように感じます。下の動画を再生してみてください。
中スクロールや右クリック時の指のひっかかりが良くなっています。
良い: きれいな配列
良い: PgUp、PgDnキーが独立
微妙: 打鍵感は以前よりも柔らかめ。ストローク浅め。
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが2つとUSB-Aが2つです。
UBS-CはUSB3.2 Gen2とThunderbolt 4になっており、
・PD対応(モバイルバッテリーから充電可能)
・映像出力OK
です。
加えてThunderbolt 4の方は、転送速度40Gbpsと高速です。
他はHDMIと有線LANポート、ヘッドフォンジャックが付いています。
HDMIは4K60Hzの出力に対応しています。
SDカードスロットがないのは少し残念です。
良い: USBポートが4つ
微妙: SDカードスロットなし
バッテリー、排気音など
バッテリー容量は47Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約4.8時間と短めのバッテリーライフです。
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
Inspiron 13 5330 | 6.4時間 |
ThinkPad X13 Gen 4 | 5.1時間 |
Pavilion 15-eg | 5.0時間 |
ThinkPad E16 Gen 1 | 4.8時間 |
負荷時のノイズ(ファン音)もアプリで計測してみました。
参考程度ですが音圧は35デシベルでした。一般的なノートPCよりも静かです。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
悪い点
・画像編集以上の作業は苦戦
・バッテリーライフが短い
良い点
・普段使いの快適度は良い
・キー配列、形状がきれい
・静か
ビジネス用PCとして高く評価したい一台です。
レビュー機はインテルモデルでしたが、AMDモデルの方がコスパは良いです。
インテルモデル | AMDモデル | |
CPU | Core i5-1335U | Ryzen 5 7530U |
PassMarkスコア | 16367 | 16116 |
USB-C | USB3.2、Thunderbolt | USB3.2x2 |
USB-A | USB3.2 USB2.0 | USB3.2 x2 |
価格 | 10.5万 | 9.0万 |
10月18日時点では10.5万と9.0万の差。USBポートの仕様に若干の違いがありますが、この差であればRyzen 5 7530UのAMDモデルが良さそうです。
一番の長所はやはりキーボードですね。
ThinkPadのキーボードとして見るなら、それでもまだ不満はありますが、10万以下で買えるPCの中で見るなら最高レベルです。
色にこだわるなら、ディスプレイをアップグレードしてもいいでしょう。
Ryzen 7 7730U
メモリ16GB
SSD 1TB
16インチ、1920×1200、100%sRGB
の構成が11.9万円(税込、送料込)です。10万以下におさめたいなら、Ryzen 5モデルがいいでしょう。