今回はThinkPad X13 Gen 4のレビューです【貸出機材提供:Lenovo】
LenovoのThinkPad X13 Gen 4は2023年5月発売のノートPC
- 13.3インチ 16:10ディスプレイ
- 性能はミドルレンジ
- 打ちやすいキーボード
- 一番安いモデルは10万以下
- 重量は1.12kg
という特徴があります。
実際に10日ほど使ってみて「やっぱりThinkPadはいいな」というのが率直な感想です。
ThinkPad X13 Gen 4は、パフォーマンス、軽さ、堅牢性の3つの要素が見事に融合されており、ビジネスユーザーにとって理想的なノートPCの1つと言えます。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU: Core i5-1335U
・メモリ: 16GB
・SSD: 512GB
・ディスプレイ: 13.3インチ 1920x1200、非光沢、sRGBカバー率100%
・USBポート: Thunderbolt 4 x2、USB-A x2
・インターフェイス: HDMI、ヘッドフォン
・Webカメラ: 2.5K(1440p)、プライバシーシャッター
・顔認証あり、指紋認証あり
・重量: 1.12kg
レビュー機はCore i5、メモリ16GBにFHD液晶という構成。7月6日時点では18.0万円(税込、送料込)です。ディスプレイを2.8Kの有機ELにしても19.0万円(税込、送料込)と20万以内に収まります。
最小構成だと、Core i3、メモリ8GB、FHD液晶で10.0万円(税込、送料込)です。
ThinkPadらしくカスタマイズ自由度は高いです。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはブラック。
ThinkPad伝統のカラーです。
同じブラックでも2023年モデルはさらに深い黒になっていて高級感があります。
筆者は2年前の2021年モデルをレビューしたことがありますが、それと比べると今回の2023年モデルの方が明らかに質感が良いです。
ただ色が黒なので、指紋(指の跡)が少し目立つかなという印象です。
重量は実測で1.16kgです(カタログ値は1.12kg)
まずまずの軽さ。
最近は1.0kgを切るモバイルノートもありますが、本機くらいの軽さであれば持ち歩きも苦にならないでしょう。
あと筐体の剛性が素晴らしく片手で持っても歪みやたわみは全くありません。アメリカ国防総省が制定するMIL規格(MIL-STD-810H)をクリアしています。
ディスプレイは
・FHD相当 (1920×1200)
・縦横比16:10
・非光沢、IPS(広視野角)
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 400nit
・色域 sRGBカバー率 100%
という仕様。
平均以上の品質ですが、額縁(フレーム)はちょっと太めです。上部についているWebカメラの部分が気になります。
色域が広く、色は鮮やかです。
写真はInspiron 14 5435との比較。
本機の方が青や黄色の発色が良いように感じました。
アスペクト比は16:10、14インチのInspironと比べてもWebページの情報量に差はありません。
またInsprionよりも圧倒的に明るいことがわかります。
良い: 1.16kgと軽くて、作りもしっかり
良い: 明るいディスプレイ、色域も広く発色が良い
微妙: 額縁は少し太め。上部のWebカメラが目立つ
Webカメラ
Webカメラは顔認証とプライバシーシャッター付き。
解像度は2.5K(1440p)でFHDよりも高解像度です。カタログ値では500万画素となってますが、実際には370万画素でした。
写りは非常に良いです。
FHDのカメラだとのっぺりとした写りになりますが、本機の2.5Kだと解像感があり、しかもノイズも目立ちません。
おそらくセンサーサイズが一般的なものよりも大きいのだと思います。例えばHPのSpectreは500万画素のカメラをつけていますが、センサーサイズが小さいので写りはここまで良くないです。
ディスプレイのフレームが太くなったのは、このカメラのせいだと思えば納得です。
Webカメラのスペックをそこまで気にする人はいないと思いますが、ビデオ会議が多い人には大きな魅力です。
良い: 2.5Kのカメラで写りは非常に良い
ベンチマーク
CPUはCore i5-1335U。インテル第13世代です。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3705
マルチスレッド: 18787
というスコアでした。
性能はミドルレンジ。インテルの第13世代のPプロセッサよりは下ですが、悪くないスコアです。普段使い~ビジネス利用までなら全く問題ない性能です。
第12世代のCore i5-1235Uよりも各段に性能が上がっています。
◆PCMark 10
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Essentials(一般的な利用) 9677 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)6973 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 4954 (目安3450)
画像編集以上になるとやや物足りないですが、普段使いに関しては文句のない性能です。
アプリ起動、Webブラウジング、文章作成の3つの項目を「普段使いの快適度」と見なすと、本機のスコアはモバイルノートの中ではトップクラスです。
機種 | CPU | 普段使いの快適度 * |
ThinkPad X13 Gen 4 | Core i5-1335U | 9594 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 9477 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 9100 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 8606 |
ThinkBook 13x Gen 2 | Core i5-1235U | 8282 |
XPS 13 9320 | Core i5-1240P | 7966 |
*PCMark 10テストにおけるアプリ起動、Webブラウジング、文章作成のスコアを幾何平均したもの
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 6.0 |
XPS 13 Plus | Core i5-1240P | 6.4 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | 7.4 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 7.9 |
ThinkPad X13 | Core i5-1335U | 8.2 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9 |
RAW現像はインテルのPプロセッサーが速いです。ただ本機も作業自体は快適です。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | 57 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 62 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 79 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
ThinkPad X13 | Core i5-1335U | 94 |
XPS 13 Plus | Core i5-1240P | 122 |
書き出しはRyzenが速く、本機はやや苦しいです。
◆軽めのゲーム
最後は定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは6712、「やや快適」という結果でした。
機種 | CPU | グラフィックス | スコア |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 16379 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 7565 |
ThinkPad X13 | Core i5-1335U | Intel Iris Xe | 6712 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 6524 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | Intel Iris Xe | 6260 |
モバイルノートとしては健闘している方だと思いますが、やはり本機ではゲームは厳しいと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
〇画像編集
×動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
良い: ミドルレンジとして期待どおりの性能
良い: 普段使いの快適度はトップクラス
微妙: 画像編集、動画編集になるとインテルPプロセッサやRyzen 7 7735Uに負ける
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は18.5mm、キーストローク(深さ)は1.4mmです。
右サイドのキーが少し小さくなっていますが、全体的なキー配列は良好です。
一段下がった矢印キー。PgUpとPgDnが独立しているのが特徴です。
打鍵感も良いです。ThinkPadということで厳しめに見ると、ストロークは以前よりも浅くなっていて不満もありますが、ここ数年のモデルで慣れてきた人なら違和感はないでしょう。
トラックポイント(赤ポチ)はかなり低いです。筆者は昔ながらのトラックポイントを使ってる人間なので、本機のようなトラックポイントだと指のフィット感が物足りませんでした。
赤ポチに不慣れな人なら、普通にタッチパッドで操作できます。
面積は小さめですが、非常に滑らかで操作性が良かったです。
良い: キー形状、打鍵感ともに平均以上
良い: PgUpとPgDnが独立
良い: タッチパッドが滑らか
微妙: 久しぶりの買い替えだと違和感があるかも
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが2つとUSB-Aが2つです。
USB-Cポートは2つともThunderbolt 4なので、
・高速転送 40Gbps
・PD対応
・映像出力
と万能ポートです。
13.3インチノートでUSBポートが4つもあるのはすごいことです。
他はHDMIとヘッドフォンジャックが付いています。
良い: USBポートが4つ
良い: Thunderboltが2つ
バッテリー、ファン音、熱など
バッテリー容量は41Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
Zenbook 15 OLED | 4.5時間 |
ThinkPad X13 Gen 4 | 5.1時間 |
XPS 13 Plus | 5.3時間 |
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
ENVY x360 13-bf | 10.0時間 |
結果は約5.1時間と短めでした。
バッテリーはカスタマイズで54.7Whに変更することが可能です。重量が増えますが、長めのバッテリーを希望する人はカスタマイズしておきましょう。
音や熱に関しては問題ありません。
負荷時には「サー」というファン音がしますが、大きさは36デシベル。
モバイルノートだと40デシベルくらいが一般的です。本機は許容範囲内でした。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
悪い点
・バッテリーライフが短い
良い点
・普段使いの快適度はトップクラス
・1.16kgと軽く、作りも頑丈
・キーボードの配列と打ちやすさ
・Webカメラの写りがとても良い
・USBポートが4つ
唯一残念だったのはバッテリーライフ。
デフォルト構成では容量が41Whなので少ないです。バッテリー重視なら54Whに変更しておきましょう。でも全体の重量もアップするので考えものです。
その他は良い点が多かったです。
やはりThinkPadはキーボードがいいということ。そして4つあるUSBポートや写りのいいWebカメラなど、ビジネス向きによく作られていることを改めて認識しました。
静音性も素晴らしく作業に集中できるPCです。
ThinkPadはカスタマイズ自由度が高いので、どんな構成にするかは悩みます。
本機はインテルUプロセッサなので、動画編集やゲームには向きません。
それならば性能をもっと抑えて、Core i3まで落とすという手もあります。
CPU | Core i3-1315U | Core i5-1335U | Core i5-1335U | Core i7-1355U |
メモリ | 8GB | 16GB | 16GB | 16GB |
SSD | 256GB | 512GB | 512GB | 512GB |
ディスプレイ | FHD液晶 | FHD液晶 | 2.8K OLED | 2.8K OLED |
Webカメラ | 720p | 1440p | 1440p | 1440p |
価格 | 10.0万 | 18.0万 | 19.0万 | 20.6万 |
表にあるように10万(正確には99,990円)で買えます。
X13にCore i3なんて邪道だと思うかもしれませんが、性能はそこそこで、軽さとキーボードだけ欲しいという人には刺さる価格だと思います。
あるいは逆にCore i5やCore i7でディスプレイを有機EL (OLED)にするのも良さそうです。Core i7に有機ELでも20.6万で買えます。