今回はThinkPad X1 Nano Gen 3のレビュー記事です【Lenovo貸出提供】
LenovoのThinkPad X1 Nano Gen 3は2023年4月発売のノートPC
- ThinkPadの中で最も軽い機種
- 重量は966g
- 性能は少し抑えめ
- 13.0インチ 16:10ディスプレイ
という特徴があります。
X1 CarbonやX13が1.1kgなのに対し、本機は966g。150gも軽いのが特徴です。
実際に使ってみて、1kg前後での150g差は大きいと思いました。
コンパクトさ、軽さを重視するならX1 Nano。
キーボードやクリックボタンも2年前のX1 Nano Gen 1よりも使いやすくなっています。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU: Core i5-1340P
・メモリ: 16GB
・SSD: 512GB
・ディスプレイ: 13.0インチ 2160x1350、非光沢、sRGBカバー率100%
・USBポート: Thunderbolt 4 x2
・インターフェイス: ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)、プライバシーシャッター
・顔認証あり、指紋認証あり
・重量: 966g
レビュー機はCore i5、メモリ16GBに2K液晶という構成。11月9日時点では24.5万円(税込、送料込)です。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはブラック。ThinkPad伝統のカラーです。
天板のロゴはThinkPad X1と入っています。
全体的に高級感があっていいのですが、色が黒なので、指紋(指の跡)が少し目立つかなという印象です。
重量は実測で953gです(カタログ値は966g)
とても軽いです。この軽さなら毎日持ち歩きできます。ソファで横になりながら使っても重さを感じることはないでしょう。
あと筐体の剛性が素晴らしく片手で持っても歪みやたわみは全くありません。アメリカ国防総省が制定するMIL規格(MIL-STD-810H)をクリアしています。
ディスプレイは
・13.0インチ
・2K相当 (2150×1350)
・縦横比16:10
・非光沢
・広視野角(IPS相当)
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 400nit
・色域 sRGBカバー率 100%
という仕様。
13.3ではなく13.0です。通常のモバイルノートよりも一回りコンパクトになっています。
色域が広く、色は鮮やかです。
写真はInspiron 14 5435との比較。右が本機です。
本機の方が明るくて、色の発色も良いです。
良い: 953gと軽くて、作りもしっかり
良い: 明るいディスプレイ、色域も広く発色が良い
微妙: 指紋(手の跡)が目立つ
Webカメラ
Webカメラは顔認証とプライバシーシャッター付き。
解像度はFHD(1080p)です。
写りはまずまず。
同じThinkPadのE16と比べてみると、そんなに大きな差はありません。
ただ本機はカメラを自動フレーミングしたり、背景をボケさせたりすることが可能です。
良い: FHDカメラで写りは良好
ベンチマーク
CPUはCore i5-1340P。インテル第13世代です。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3642
マルチスレッド: 16956
というスコアでした。
Core i5-1340Pの平均値よりも低いスコアで、期待ほどの性能は出ていません。
性能はミドルレンジ。Core i5-1335UやRyzen 5 7530Uと同等のスコアです。
◆PCMark 10
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフト。その結果は以下のとおりです。
この中で、特に注目したのは
・アプリ起動 (App Start-up)
・Webブラウジング (Web Browsing)
・文章作成 (Writing)
の3つ。
この3つのスコアの幾何平均を普段使いの快適度と見なして他の機種と比べると以下のようになります。
機種 | CPU | 普段使いの快適度 * |
ThinkPad X13 Gen 4 | Core i5-1335U | 9594 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9250 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 9100 |
ThinkPad X1 Nano Gen3 | Core i5-1340P | 9086 |
ThinkPad X1 Nano Gen3 (バッテリー駆動) | Core i5-1340P | 8612 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 8606 |
Yoga 6 Gen 8 | Ryzen 7 7730U | 8564 |
Inspiron14 5425 | Ryzen 5 5625U | 8516 |
ThinkBook 13x Gen 2 | Core i5-1235U | 8282 |
X13 Gen 4は1335U搭載にも関わらず、上位にランクイン。対するX1 Nanoは中団です。
X1 Nanoはバッテリー駆動時でもスコアの減少が少ないのが良い点です。電源接続時の第12世代CPUよりも良い結果でした。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
ThinkPad X1 Carbon Gen 10 | Core i7-1260P | 5.5 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 6.0 |
XPS 13 Plus | Core i5-1240P | 6.4 |
ThinkPad X1 Nano Gen 3 | Core i5-1340P | 7.3 |
ThinkPad X13 Gen 4 | Core i5-1335U | 8.2 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9.0 |
RAW現像はインテルのPプロセッサーが速いです。作業も快適です。ただ本機はそのPプロセッサーの中で下位です。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 62 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 79 |
ThinkPad X1 Carbon Gen10 | Core i7-1260P | 88 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
ThinkPad X13 Gen4 | Core i5-1335U | 94 |
ThinkPad X1 Nano Gen 3 | Core i5-1340P | 133 |
書き出しのように負荷が一定時間続くような作業は苦手のようです。インテル第12~13世代の中で下位に甘んじています。
◆軽めのゲーム
最後は定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは5270、「普通」という結果でした。
機種 | CPU | グラフィックス | fps |
Yoga Pro 7i Gen 8 | Core i7-13700H | RTX 4050 | 137 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 54 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 46 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 37 |
ThinkPad X1 Nano Gen3 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 37 |
やはり本機ではゲームは厳しいと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
〇画像編集
×動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
微妙: CPU性能をフルに発揮できていない
良い: バッテリー駆動時でも性能が落ちない
悪い: 動画編集やゲームは苦手
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は18mm、キーストローク(深さ)は1.4mmです。
右サイドのキーが少し小さくなっていますが、全体的なキー配列は良好です。
一段下がった矢印キー。PgUpとPgDnが独立しているのが特徴です。
打鍵感は平均よりも少し上。
キーストロークは以前よりも浅くなっていますが、ここ数年のモデルで慣れている人なら違和感はないでしょう。
タッチパッドには物理ボタンが付いており、全体が沈みこむパターンです。
これは2年前よりも改善されたように感じます。下の動画を再生してみてください。
中央にお馴染みのトラックポイント(赤ポチ)
これがあればマウスがなくても細かいカーソル操作が可能です。
赤ポチに不慣れな人なら、普通にタッチパッドで操作できます。面積は小さめですが、非常に滑らかで操作性が良かったです。
良い: キー形状、打鍵感ともに平均以上
良い: PgUpとPgDnが独立
良い: タッチパッドが滑らか
微妙: ストロークは浅め
インターフェイス
USBポートはUSB-Cのみ。
2つともThunderbolt 4なので、
・高速転送 40Gbps
・PD対応
・映像出力
と万能ポートです。
USB-Aポートがないのは少し残念です。
あとHDMIやSDカードスロットがないので、変換アダプターが必要となります。
インターフェイスは平均以下。1.0kgを切るPCだとこれが普通となります。
良い: Thunderboltが2つ
悪い: USB-Aなし
バッテリー、ファン音、熱など
バッテリー容量は49.5Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
Inspiron 13 5330 | 6.4時間 |
XPS 13 Plus | 5.3時間 |
ThinkPad X13 Gen 4 | 5.1時間 |
ThinkPad X1 Nano Gen 3 | 5.0時間 |
結果は約5.0時間と短めでした。
ただ今回は自宅のWi-fiの電波が少し調子が悪く、その影響もあるかもしれません。本機のバッテリーライフの結果はあまり信用しないでください。
音や熱に関しては問題ありません。
負荷時には「サー」というファン音がしますが、大きさは32デシベル。
モバイルノートだと40デシベルくらいが一般的です。それと比べて本機は圧倒的に静かです。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆ |
悪い点
・動画編集など負荷が続くような作業は苦手
良い点
・953gと軽く、コンパクト。作りも頑丈
・キーボードもまずまず
・静か
性能面はちょっと不満。本機はCore i5-1340P搭載ですが、1つランクが下のCore i5-1335Uでも良かったのでは?と思っています。
長所は軽さとキーボード。
そして静音性も素晴らしく作業に集中できるPCです。
筆者は2年前のX1 Nano Gen 1を実機レビューしましたが、そのときよりもキーボード、クリックボタンは改善されていると感じました。
あと、953gという軽さは強いです。
1.1kgのX1 CarbonやX13とは、また別の世界にあるPCだなと思いました。
⇒ Lenovoストア ThinkPad X1 Nano Gen 3
逆に言うと、軽さにそこまでこだわらないのであれば、1.1kgのX13を買うという手もあります。
下の表のようにX13だと、液晶を2.8Kの有機ELにしても18万。
X1 Nano | X13 | |
CPU | Core i5-1340P | Core i5-1335U |
ディスプレイ | 13インチ | 13.3インチ |
解像度 | 2150x1350 | 2880x1800 |
液晶 or OLED | 液晶 | OLED |
重量 | 953g | 1.12kg |
価格 | 24.5万 | 18.1万 |
X1 Nanoよりも6万以上安く買えます。
X13を買う場合は、販売ページから【アップグレードキャンペーン対象】のモデルを選択してください。
そのモデルで
・SSDを512GBへ
・ディスプレイを2.8Kの有機ELへ
とアップグレードします。
そのまま「カートに入れる」まで進むと、自動的に3万円の割引が適用されます。上記の構成なら18万、タイミング次第では17万で購入できるはずです。