将棋の藤井二冠のタイトル防衛戦。
挑戦者渡辺名人を見事3-0で退け棋聖位を防衛しました。
第三局も最後まで息詰まる熱戦で、難しい将棋でした。
AbemaTVで観戦していましたが、AIの評価値もかなり揺れ動いていましたね。
一瞬で1億手くらい読んで正確な形成判断を下すAbemaTVのAIが、あれほど評価値をコロコロ変えるのはとても珍しいことです。
それだけ難解な局面だったということがわかります。
最後は渡辺名人にミスが出て、藤井二冠の逆転勝ちとなりましたが、あそこまで難しい局面ではしょうがない部分もあるでしょう。
上図は終盤、後手(藤井二冠)が88飛成と指した局面。
ここで先手には74銀!という好手がありました。
以下同飛、63銀、71玉、22角成と進みます。
最後の22角成と金を取るのが正解で、74の飛車を取ってしまうと先手玉に即詰みがあり先手負けです。
22角成と66の地点に効かすのがポイント。
これは本局の最後、藤井二冠が指した71飛のタダ捨てでもこの66の地点の効きがポイントとして出てきたので、アマチュア初段クラスあればすぐに理解できるでしょう。
つまり、74の飛車を取るのではなく22角成で「詰めろ逃れの詰めろ」で勝ちというのがAIの読み。
しかし人間が短時間でこれを読み切るのは相当しんどいです。
実戦では、渡辺名人は74銀を発見できず、単に22角成と指しました。
この手でAI評価値は逆転。
まだまだ難しい局面でしたが、最後は藤井二冠が押し切りました。
最後の決め手となった71飛のタダ捨て。
71同馬と取ると66の地点の効きがなくなり先手玉が詰んでしまうという手でした。
先に挙げた変化でもこの66の地点はポイントになっていたので、読みやすかったと思います。
藤井二冠であれば、この手は数秒で思いつくはずです。取れば詰み、そういう読みは人間の得意とする分野です。
ただ71飛を取らなかった場合、何か上手い切り返しがあると再逆転を許してしまうので、その確認作業に30秒くらい、再チェックして1分以内の着手となったという感じでしょうか。
最後に派手な手で決めてくれるのは藤井二冠らしいと思いました。
参考までに71同馬以下の詰み手順を載せておきます。
71同馬、79龍、48玉、36桂、57玉、48角、同金、48龍、56玉、66金、同歩、同龍まで。