プロ棋士同士の対局なら、アマチュアだって後からこれが良い手だった、これが悪い手だったと言えるんです。
アマチュア有段者レベルぐらいあれば、自分では指せないけど、後から棋譜を見てああだこうだは言えるのは結構普通のことです。ところが先日行われたコンピュータ将棋の決勝戦の棋譜を見たら、ぼくの理解を超えた指し手の連続でした。
佐藤名人を破ったPonanzaと新鋭elmoの対局。
戦型は角換わりで、この局面まではなんとか付いていってたのですが、ここからの数手は、もはやアマチュアレベルでは理解不能でした。
直前にelmoが指した19角もすごい手ですが、ここから76歩、同歩、52金、18飛、12香という進行。
76歩から戦いが始まるのかと思いきや・・です。
12香なんかは完全なる「手渡し」なんですが、駒がそこそこぶつかっている場面でのこういった一手パスはほとんど見た記憶がありません。その前の18飛も一手パスに近い手で、この局面で両者がパスをしたいと思っているわけです。
オセロじゃないんだから・・って思いますよ。
駒がぶつかった後の中盤で両者がパスに近い手を指す局面が出現するってことに驚きました。
ちなみになぜコンピュータがそう考えたのかはぼくレベルでは説明できません。
さて、難解な一手パス合戦が続いた後に今度は派手な一手が飛び出します。
それが75銀、同角、45桂!という手順でした。
銀をタダで捨てての45桂は凄まじい一手です。
75歩と角を取る手は77歩、同桂、75飛、64角、74飛・・・これも悪くない進行だと思うんですが・・・
放置して「45桂で角はいつでも取れるぜ、逆に75角が邪魔になって7筋攻められないだろ?」
と言ってるわけですよね。
これは人間では指せないですよ。
この後、Ponanzaは邪魔な75角を切り、7筋から殺到していくのですが、それをまた紙一重で受けるelmoの手順がすばらしかったです。
ぼくなら100%受け間違えてやられてます。
でも最後受け切ったと思われる場面で1つだけ疑問が残りました。
134手目、実戦は41桂と受けたため、完全にPonanzaに勝ち目はなくなりましたがここでは75香!という手があります。
同龍は、79銀成、88玉、96桂、98玉、89銀、99玉、78銀成で必至。
あれ?
これは逆転してるじゃん!
Ponanzaが絶好のチャンスを見逃して41桂?というクソみたいな手を指したと思いましたが、
よくよく検討してみると75香には33香!という手があってやはり先手の勝ちは揺るぎません。
以下76香に、32香成、同玉、33香、同桂、同歩成、同玉、34歩、32玉、33金以下手順は長いですが、比較的簡単な即詰みです。
つまりPonanzaの41桂はその33香を受けた一手だったのです。
なんということでしょう・・・
最後にまた背筋が寒くなる手を見た気がしました。