同じCPUであっても、実際に出る性能は機種、メーカーによってけっこう差が出ます。
A社のパソコンは期待ほど性能が出ていない。
B社のパソコンは予想以上に性能が出ている。
そういった傾向をざっくり知っておくと、次の機種選びに役立つはずです。
でもそういった傾向は、各メーカーの機種が出揃ってからじゃないと認識できません。
つまり新CPUが登場してから少なくとも半年以上とか1年くらいかかります。
その頃には、ユーザーの興味は次に出る新しいCPUへの興味が移っているので、古いCPUがどうだったか?とちゃんと振り返る人は少ないです。
本記事では、2023年終盤~2024年に出たインテルのCore Ultra 7 155Hを調査してみることにしました。
本来なら筆者が実際に実機を使った調べるというのがベストなのですが、サンプルが全く足りていないので、海外の有名なレビューサイトNotebookcheckのデータを引用させてもらいました。
Notebookcheckが公開している複数のレビュー記事を参照。その中でCore Ultra 7 155Hを搭載したノートPCで代表的なものをピックアップし、それぞれのCinebench R23マルチコアのスコアをまとめたのが下の表です。
Cinebench R23マルチ | 平均からのスコア差 | |
HP Spectre x360 14 | 10333 | -27.8% |
ASUS Zenbook 14 | 12794 | -10.6% |
ASUS Vivobook S16 | 13274 | -7.3% |
DELL XPS 13 9340 | 13511 | -5.6% |
DELL Inspiron 14 Plus | 14209 | -0.8% |
Lenovo ThinkPad X1 Carbon | 14583 | 1.9% |
Lenovo Yoga Pro 7i | 14648 | 2.3% |
HP Spectre x360 16 | 14777 | 3.2% |
ASUS ROG Zephyrus | 17267 | 20.6% |
Lenovo IdeaPad Pro 5 | 17780 | 24.2% |
最も高いスコアはLenovoのIdeaPad Pro 5でした。
この機種は当サイトでも実機レビューをおこない、同様に高いスコアを確認しています。
最上位と最下位の差はなんと50%以上。同じCPUでここまでの差が出るということが改めてわかりました。
◆HP Spectre x360
HPのSpectreシリーズは2024年前半まではHPの最上位機種でした。この機種は14インチのSpectre x360 14は性能がかなり抑えめ、Cinebench R23は10333で最下位でした。
一方で16インチの方はスコアが14777で期待どおりです。同じシリーズでも16インチの方が熱設計に余裕があるからでしょう。
◆ASUS
ASUSは薄型では14インチのZenbook 14、16インチのVivobook S 16に2つがエントリー。
スコアはどちらも12000~13000でちょっと低めです。
一方ゲーミングのROG Zephyrusが17000台でしっかり性能は出ています。こっちはまあ当然と言ったところです。
ASUSのモバイルノートは性能が抑えめという傾向は覚えておいて損のない情報です。
当サイトでレビューした2023年のZenbook S 13 OLED (Core i7-1355U)もやはり物足りないスコアでした。
◆DELL
DELLはちょうど平均的なスコアが多いです
XPS 13 9340、Inspiron 14 Plusともに期待どおりのスコアが出ています。
◆Lenovo
ThinkPad X1 Carbon、Yoga Pro 7iが平均レベル。IdeaPad Pro 5が平均よりも大きく上という結果でした。
IdeaPad Pro 5は当サイトでも実機レビューして、素晴らしいパフォーマンスを確認しています。
14インチ1.48kgというボディでしっかり性能が出ているのが素晴らしいです。
◆まとめ
- HPは機種によってバラツキ
- ASUSのモバイルノートは低めが多い
- DELLは普通
- Lenovoも普通
- Lenovo IdeaPad Proは特別
1つのCPUに絞った調査なので、あまり参考にならない部分もあるかと思います。ただこの3年間60台以上の実機を見てきた筆者の感覚とも近い結果だったので、こうして記事にしてみました。
筆者の感覚
・Notebookcheckの傾向と似ている
・傾向はインテルの方で強く出る
・軽くて性能高めのPCほど注意する必要
・AMD Ryzenだとバラツキが少ない
わかりやすく言うなら、HPとASUSはちょっと性能低めに見積もっておいた方がいいってことです。もちろん2025年はどうなるかわかりません。でもそういう傾向あるねって覚えておいて損はないはずです。
今後新しいパソコン(特に軽いやつ)を買うときに、上記の傾向に注意して情報を取りに行けば、期待ハズレを引くことが少なくなるでしょう。