DELLのInspiron 13 5320は2022年6月発売のノートPCです。

13.3インチで1.25kg
まずまずの軽さで、価格もそんなに高くなる買える(10.4万円~)のが特徴です。
ただ上位機種のDELL XPS 13 9315も12.0万円とそんなに価格差はありません。
少しでも安いInspironにするか、上位機種のXPSにするか、判断に迷うところだと思います。
先に結論を書くと、
メモリ8GBでOK ⇒ XPS 13 9315 を推奨
メモリ16GBほしい ⇒ Inspiron 13 5320 を推奨
となります。
くわしく見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU:Core i3-1215U
・メモリ:8GB
・ストレージ: SSD 256GB
・グラフィックス: Intel UHD
・ディスプレイ:13.3型 (1920×1200)、非光沢、100%sRGB
・USB: Thunderbolt 4 x2、USB-A x1
・Webカメラ: HD(1080p)
・顔認証なし、指紋認証あり
・サイズ: 296.68xw13.50x14.35-15.65mm
・重量: 1.25kg
レビュー機はCore i3-1215Uにメモリ8GB、FHD相当のディスプレイを搭載したスタンダードモデルです。1月19日時点の価格は10.4万円(税込、送料込)です。
メモリは最新規格のDDR5。
モードを確認するとクアッドチャネルとなっていました。

もっとスペックを上げたい人には、Core i5、メモリ16GB、QHD(2560×1600)のディスプレイを搭載したプレミアムモデルが12.6万(税込、送料込)で用意されています。
※価格の最新情報はDELLのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはプラチナシルバーの1種類。

天板にアルミ合金を使用しており、まずまず高級感があります。
中央にDELLのロゴ。Inspironシリーズお馴染みのデザインですね
指紋が目立たないのが良い点です。

エッジ部分もシャープです。
高級感があると書きましたが、10万以上するモバイルノートとしては平均的でしょうか。
上位機種のXPS 13 9315と比較すると大きな差があります。
重量は実測で1.21kg。カタログ値1.25kgよりも少し軽めでした。

片手で持つと少し重く感じます。

1.0kgを切るPCも多い中、飛びぬけて軽いとは言えない重量です。
持ち歩き用としてギリギリの重さかなと思いました。
ディスプレイは
・FHD相当 1920×1200
・アスペクト比 16:10
・非光沢
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 350nit
・色域 sRGBカバー率 100%
という仕様。

sRGBカバー率100%あるので画像編集にも使えるディスプレイです。
ただ色域は広いのですが、色味はちょっと不満です。

普段見ている液晶よりも黄色っぽいかなと思いました。
ブルーライトをカットしているせいでしょうか。青空や海といったように青が映える写真だと少し違和感があるかもしれません。

良い: 縦横比16:10、sRGBカバー率100%
微妙: ディスプレイはやや黄色っぽい
Webカメラ

Webカメラはプライバシーシャッター付き。
使わないときはカメラを隠しておけるので、意図せずに自分が映ってしまうという心配がありません。セキュリティ面でも安心です。
解像度はFHD(1080p)です。
実際の写りも良好でした。

最近は変に加工した顔を写すカメラもあるのですが、本機のカメラは自然な写りです。

良い: 1080pのカメラで写りが良い。
ベンチマーク
CPUはCore i3-1215U。TDP28WのCPUです。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3605
マルチスレッド: 13330
というスコアでした。

期待されたスコアよりも少し上のスコアが出ています。

スコア的には
Core i5-1240P > 本機 > Core i7-1165G7
という感じで第12世代のPシリーズには及ばないものの、第11世代のCore i7よりも優秀です。
◆リアルなアプリの快適度
当サイトが重視するベンチマークテスト、PCMark10の結果を見てみましょう。
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。

Essentials(一般的な利用) 8894 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)6838 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 4725 (目安3450)
Core i5-1230U搭載のXPS 13 9315とスコアを比較してみます。
Inspiron 13 5320 | XPS 13 9315 | ||
CPU | Core i3-1215U | Core i5-1230U | スコア差 |
アプリ起動 | 10346 | 10046 | 3.0% |
ビデオ会議 | 7371 | 7745 | -4.8% |
Webブラウジング | 9226 | 9364 | -1.5% |
表計算 | 6609 | 6136 | 7.7% |
文章作成 | 7076 | 6470 | 9.4% |
画像編集 | 7250 | 6816 | 6.4% |
レンダリング | 2971 | 2087 | 42.4% |
動画編集 | 4898 | 4235 | 15.7% |
アプリ起動やWebブラウジングなどの軽い作業ではほとんど同じスコアですが、表計算以降の負荷が高い作業になると差が広がります。
Core i3-1215U > Core i5-1230U
という傾向がはっきりわかります。
1230UはTDPが8W、超低消費電力タイプのCPUなので納得できる結果です。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム (秒) |
XPS 13 9315 | Core i5-1230U | 7.3 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 7.9 |
ThinkPad X1 Carbon Gen9 | Core i7-1165G7 | 9 |
Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 | 9.3 |
Insprion 13 5320 | Core i3-1215U | 10.3 |
Inspiron 16 5625 | Ryzen 7 5825U | 13.2 |
タイムは10.3秒でインテル第12世代の中では遅いタイムでした。第11世代のCore i7よりも少し遅いです。
PassMarkやPCMark10とは違う傾向になっています。理由としてメモリ8GB、内蔵グラフィックスのIntel UHDなどが考えられますが、はっきりしたことはわかりません。
作業自体はまずまず快適です。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。。
機種 | CPU | タイム(秒) |
Inspiron 16 5625 | Ryzen 7 5825U | 81 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
Insprion 13 5320 | Core i3-1215U | 104 |
XPS 13 9315 | Core i5-1230U | 122 |
Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 | 123 |
平均的なタイムです。
メモリ8GBだと厳しいかなと思いましたが、予想以上に健闘している結果です。
◆軽めのゲーム
最後はゲーム性能に関してのテストです。
定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。

1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは5898、「普通」という結果で平均フレームレートは40fpsでした。
機種 | CPU | グラフィックス | スコア |
IdeaPad Gaming 370i | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 17429 |
Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 | Intel Iris Xe | 7077 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | Intel Iris Xe | 6260 |
Inspiron 13 5320 | Core i3-1215U | Intel UHD | 5898 |
XPS 13 9315 | Core i5-1230U | Intel Iris Xe | 5023 |
本機は外部GPUを搭載していないので、ゲームは厳しいと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
△画像編集(RAW現像)
△動画編集
×ゲーム
という快適度になります。

良い: Core i3でも高い性能
良い: 普段使い~ビジネス利用までは文句なし
良い: 軽い画像編集、動画編集もこなせる
微妙: クリエイター向けとは言えない
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。

キーが端ギリギリまで配置されているので、特定のキーが小さくなってしまうようなことはありません。

EnterキーとBackspaceキーが横をくっついてしまったのは残念ですが、それ以外は良く出来ています。
電源ボタンは右上。間違えて押しても、強く押し込まないかぎり反応しないので安心です。
あとバックライト付きなので暗い場所で使うときもタイプしやすいです。


良い: 端ギリギリまでキーが配置されているのでキーが大きい
インターフェイス
USBポートはUSB-C(Thunderbolt 4)が2つとUSB-Aが1つ。


万能ポートであるThunderbolt 4が2つあるのが良い点です。
あとはHDMIとヘッドフォンジャック。
13.3インチとしては充実している方でしょう。
上位のXPS 13だとThunderboltが2つだけで後は何もナシです。

良い: Thunderbolt2つ
良い: USB-Aも1つ残っている
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は54Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約8.5時間と優秀なタイムでした。
XPS 13 Plus | 5.3時間 |
Surface Pro 8 | 6.5時間 |
XPS 13 9315 | 8.0時間 |
Inspiron 13 5320 | 8.5時間 |
EENVY x360 13-bf | 10.0時間 |
熱や音についても問題なし。Core i3モデルのメリットは音が静かな点です。Core i5モデルになるとそれなりに音がするという報告があります。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
悪い点
・抜き出た特長がない
良い点
・Core i3でも性能は合格ライン
・静音性
・16:10ディスプレイ、sRGBカバー率100%
・長時間バッテリー

弱点が少なく、非常によくまとまった機種です。
ただ他機種と比較したときに、これといった強味がないとも言えます。
そこそこ軽くてそこそこの性能。
デザインも10万以上する機種では普通です。
そうなってくると、冒頭で指摘したように上位機種のXPS 13 9315との比較が気になるところ。
メモリ8GBで比較すると、価格差は小さいです。
Inspiron 13 5320 | XPS 13 9315 | |
CPU | Core i3-1215U | Core i5-1230U |
PassMarkスコア | 13330 | 13713 |
メモリ | 8GB | 8GB |
ディスプレイ | 1920x1200 | 1920x1200 |
Webカメラ | 1080p | 720p |
USB-A | あり | なし |
高級感 | 80点 | 95点 |
重量 | 1.25kg | 1.17kg |
価格 | 10.4万 | 12.0万 |
高級感はXPSが圧倒的に上なので、この構成で満足できるならXPS 13を選んでもいいかなと思います。
【参考】XPS 13 9315のレビューはこちら
⇒ 予想以上にかっこいい! DELL XPS 13 9315のレビュー
メモリ16GBでの比較は下の表になります。
Inspiron 13 5320 | XPS 13 9315 | |
CPU | Core i5-1240P | Core i5-1230U |
PassMarkスコア | 17407 | 13713 |
メモリ | 16GB | 16GB |
ディスプレイ | 2560x1600 | 1920x1200 |
価格 | 12.6万 | 17.1万 |
これだと価格差が大きいので、Inspironのコスパをとりたいです。
Core i5、メモリ16GBまでスペックを上げても12万円台で収まるのが本機の良さです。
繰り返しになりますが、弱点が少ないので多くの人が満足できるPCです。