DELL Inspiron 14 AMD (5435)は2023年3月発売のノートPC。
- 14インチ 16:10ディスプレイ
- ボディの素材はアルミ合金
- 性能はミドルレンジ
- 重量は1.59kg
という特徴があります。
DELLと言えばこの機種。毎年一番人気となる売れ筋のPCで、先代のInspiron 14 5425も高評価でした。
2023年モデルの本機も大きな欠点がなく、コスパが非常に良いです。
Ryzen 5 + メモリ16GBという構成で7.8万円(税込、送料込)で買えます。
当サイトが10万以下のPCをチェックするのに使う9項目に照らし合わせてみたのが下の表。
Inspiron 14 5435 | |
ボディがアルミ合金 | 〇 |
画面の縦横比16:10 または3:2 | 〇 |
IPSディスプレイ | 〇 |
Webカメラ FHD (1080p) | 〇 |
プライバシーシャッターあり | 〇 |
USB-Cあり、USB2.0なし | × |
タイプC充電可能 | 〇 |
フルサイズSDカード | 〇 |
顔認証 or 指紋認証 | 〇 |
短所が少なく、バランスの良いPCと言えます。
詳しく見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU: AMD Ryzen 5 7530U
・メモリ: 16GB (8GBx2)
・SSD: 512GB
・ディスプレイ: 14インチ 1920x1200、非光沢、IPS
・USBポート: USB-Cx1、USB-A x2
・インターフェイス: HDMI、SDカード、ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)、プライバシーシャッター
・顔認証なし、指紋認証あり
・重量: 1.59kg
レビュー機はRyzen 5にメモリ16GBの即納モデル。
注文は日曜で、火曜日には届きました。
6月5日時点では7.8万円(税込、送料込)とかなり安いです。
Ryzen 7搭載の上位モデルもありますが、コスパで考えるならRyzen 5 + メモリ16GBがベストかなと思います。最近の標準スペックはメモリ16GBです。Ryzen 5 + メモリ8GBよりはメモリ16GBにしておいた方が安心です。
※価格の最新情報はDELLのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはプラチナシルバーとダークリバーブルーが一応用意されていますが、即納モデルはプラチナシルバーのみです。
Inspironと言えばこのカラーですね。
天板はアルミ合金を使用しており、中央にDELLのロゴが入っています。
少し光沢があり高級感を感じるデザインです。指紋も目立ちません。
旧モデルと全く同じなのかな?と思ってましたが、よく見ると背面のヒンジ付近のデザインが違いました。
旧モデルは傷防止のためのカバーが背面に付いていますが、新モデルでは小さなゴム足に変更されています。新モデルの方がさりげなくて良いと思いました。
重量は実測で1.56kgです(カタログ値は1.59kg)
14型としてはやや重めです。
自宅で据え置いて使うのがメインになるでしょう。
ディスプレイは
・FHD相当 (1920×1200)
・縦横比16:10
・非光沢
・広視野角(IPS相当)
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 250nit
・色域 sRGBカバー率 65%
という仕様。
映り込みは少なく見やすいディスプレイです。
アスペクト比(縦横比)は主流の16:10です。従来の16:9よりも縦に長いので表示する情報量が多くなります。
色域は普通です。sRGBカバー率63%なので、クリエイター向けではありません。実際の見た目も色の鮮やかさがあと一歩という印象です。上の写真だと空や海の青がもう少し濃くてもいいかなと思いました。
有機ELディスプレイと並べるとよくわかります(写真、右が本機です)。
もっとも、比較に挙げたPCは15万以上する機種なので、7万円台の本機と比較するのは酷かもしれません。
色にこだわりがなければInspironの液晶でも十分満足できる品質だと思います。
良い: 7万円台とは思えない高級感
良い: 16:10で表示できる情報量が多い
微妙: 色の鮮やかさ、色域は価格相応。
Webカメラ
Webカメラはプライバシーシャッター付き。
使わないときは隠せる仕様です。意図せずに自分が映ってしまうという心配がありません。
解像度はFHD(1080p)。写りも良好です。
HD(720p)のカメラと比べると明らかに本機の写りが良いです。
ただちょっと寒色(青)が強いのは気になりました。
良い: FHDカメラで写りは良好
微妙: ちょっと青みが強い
ベンチマーク
CPUはRyzen 5 7530U
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3202
マルチスレッド: 16297
というスコアでした。
性能はミドルレンジ。インテルの第13世代よりは下ですが、悪くないスコアです。
普段使い~ビジネス利用までなら全く問題ない性能です。
◆PCMark 10
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Essentials(一般的な利用) 9841 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)9283 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 5149 (目安3450)
2022年のInspiron 16 (Ryzen 7 5825U)とスコアを比較してみます。
Inspiron 14 5435 | Inspiron 16 5625 | ||
CPU | Ryzen 5 7530U | Ryzen 7 5825U | スコア差 |
アプリ起動 | 13328 | 10439 | 27.7% |
ビデオ会議 | 8422 | 7297 | 15.4% |
Webブラウジング | 8493 | 8479 | 0.2% |
表計算 | 12323 | 11705 | 5.3% |
文章作成 | 6993 | 7371 | -5.1% |
画像編集 | 7136 | 8135 | -12.3% |
レンダリング | 5081 | 4850 | 4.8% |
動画編集 | 3765 | 3579 | 5.2% |
本機はRyzen 5ですが、2022年のRyzen 7と比較しても見劣りしないスコアです。特にアプリ起動やWeb会議など一般的な利用の項目で優位に立っていました。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | 5.7 |
IdeaPad Slim 370i | Core i5-1235U | 7.7 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9.0 |
ThinkBook 15 Gen 5 | Ryzen 5 7530U | 11.7 |
Inspiron 16 5625 | Ryzen 7 5825U | 13.2 |
インテルよりも遅いですが、Ryzenの中では優秀です。作業自体も快適です。
AIを利用した新機能は別として、従来の編集機能であれば、問題なく使えます。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 60 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 79 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | 80 |
Inspiron 16 5625 | Ryzen 7 5825U | 81 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
書き出しはインテルよりも速いです。
Ryzen 7 5825U (2022年のRyzen 7)と同等のタイムです。
軽めの編集なら大丈夫でしょう。4K動画にがっつり編集したいというようなケースではグラボを搭載したクリエイター向けPCが推奨されます。
◆軽めのゲーム
最後は定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは5243、「普通」という結果で平均フレームレートは37fpsでした。
機種 | CPU | グラフィックス | ベンチマークスコア | 平均 fps |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | Radeon 680M | 8420 | 70 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 7387 | 53 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | Intel Iris Xe | 6260 | 45 |
Yoga 6 Gen 8 | Ryzen 7 7730U | AMD Radeon | 5418 | 38 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 5243 | 37 |
やはり本機ではゲームは厳しいと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
〇画像編集
△動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
良い: ミドルレンジとして期待どおりの性能
良い: 2022年のRyzen 7と同等クラス
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.4mmです。
Inspiron 14は2021年からEnterキーが大きくなり打ちやすくなりました。
EnterキーとBackspaceキーが隣のキーとくっついてしまってますが、それ以外はなかなか良く出来ていると思います。
打鍵感も悪くないです。
音は「コトコト」に近く、タイプ音は静かです。
そしてバックライト付きなので暗い場所で使うときもタイプしやすいです。
良い: キー形状、打鍵感ともに平均以上
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが1つとUSB-Aが2つです。
USB-CポートはPD対応(電源供給対応)なので、モバイルバッテリーで充電できます。またディスプレイ出力にも対応しています。
USB-Aの1つは低速のUSB2.0です。
USB2.0: 速度 480Mbps
USB3.2 Gen 1: 速度 5Gbps
と10倍以上の速度差があります。
マウスなどに使うならどちらでも問題ないですが、データ転送なら必ずUSB3.2の方に挿したいです。2022年モデルでは2つともUSB3.2だったので、新モデルの方が悪くなっており残念な点です。
他はHDMIとSDカードスロット、ヘッドフォンジャックが付いています。
フルサイズのSDカードスロットがあるのでデジカメのデータを直接取り込むことが可能です。HDMIはFHD出力まで。4K出力には対応していません。
良い: フルサイズのSDカードスロット
悪い: 低速のUSB2.0がある
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は54Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約8.5時間。平均よりも長め、優秀な結果でした。
テストした条件は厳しめなので、普通にネットするだけとかであれば10時間くらいはもちそうです。
ThinkBook 15 Gen5 | 5.5時間 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | 6.5時間 |
Yoga 770 | 8.0時間 |
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
ENVY x360 13-bf | 10.0時間 |
熱や音についても問題なし。
ネットをしているだけならほぼ無音なので作業に集中できます。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆☆ |
悪い点
・ディスプレイの色やコントラストが平凡
・低速なUSB2.0が1つある
良い点
・普段使い、ビジネス利用までなら快適
・16:10ディスプレイ
・アルミのボディで高級感がある
・長時間バッテリー
・コスパ最強
冒頭で述べたように、弱点が少なくバランスの良いPCです。
Ryzen 5 + メモリ16GBで7.8万円(税込、送料込)という安さが最大の長所です。
ボディがプラスチック製ならもっと安いものもありますが、ボディがしっかりアルミ合金でこの価格なのが良いですね。高級感がありますし、実際に使ってみてもキーボードの打ちやすさなどが優れています。
筆者がもし友人に「10万以下でいいパソコンが欲しい」と言われたらまずInspiron 14をすすめるでしょう。
それでもっとディスプレイのランクを上げたいとか、軽い方がいいとか、具体的な要望があればそれに応じて10万前後くらいのPCを提案すると思います。いずれにせよ、Inspiron 14がまずは基本です。
Insprion 14の価格は時期によって変動しますが、ここ数年のDELLは大体安定した価格と納期を保っているので大丈夫でしょう。
もう1つ候補としてLenovoのIdeaPad Slim 5があります。
こちらもRyzen 5、メモリ16GBで8.0万円(税込、送料込)と安いです。