DELL Inspiron 16 5635は2023年3月発売のノートPC。
- 16インチ 16:10ディスプレイ
- ボディの素材はアルミ合金
- 性能はミドルレンジ
- 重量は1.84kg
という特徴があります。
Ryzen 5 + メモリ16GBが7万円台で買えるというコスパの良さが魅力のPCですが、実機を使ってみると気になる点が見つかりました。
それはファン制御の問題です。
くわしい症状は最後に書いています。
まずはスペックから見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU: AMD Ryzen 5 7530U
・メモリ: 16GB (8GBx2)
・SSD: 512GB
・ディスプレイ: 16インチ 1920x1200、非光沢、IPS
・USBポート: USB-Cx1、USB-A x2
・インターフェイス: HDMI、SDカード、ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)、プライバシーシャッター
・顔認証なし、指紋認証あり
・重量: 1.84kg
レビュー機はRyzen 5にメモリ16GBの即納モデル。
6月26日時点では7.7万円(税込、送料込)とかなり安いです。
最近の標準スペックはメモリ16GBです。メモリ8GBよりはメモリ16GBにしておいた方が安心です。
※価格の最新情報はDELLのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはプラチナシルバー
Inspironと言えばこのカラーですね。
天板はアルミ合金を使用しており、中央にDELLのロゴが入っています。
少し光沢があり高級感のあるデザインです。指紋も目立ちません。
重量は実測で1.83kgです(カタログ値は1.84kg)
持ち歩きは難しい重さ。自宅で据え置いて使うのがメインになるでしょう。
ディスプレイは
・FHD相当 (1920×1200)
・縦横比16:10
・非光沢
・広視野角(IPS相当)
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 250nit
・色域 sRGBカバー率 63%
という仕様。
16:10で作業しやすいディスプレイです。
色域は普通です。sRGBカバー率63%なので、クリエイター向けではありません。
液晶の発色具合は個体差があるようです。
写真はInspiron 14 5435との比較。
同じ2023年モデルで仕様も同じはずですが、若干差があります。
本機の方が青や黄色の発色が良いように感じました。
良い: 7万円台とは思えない高級感
良い: 16:10で表示できる情報量が多い
Webカメラ
Webカメラはプライバシーシャッター付き。使わないときは隠せる仕様です。意図せずに自分が映ってしまうという心配がありません。
解像度はFHD(1080p)。写りも良好です。
ただちょっと寒色(青)が強いのは気になりました。
良い: FHDカメラで写りは良好
微妙: ちょっと青みが強い
ベンチマーク
CPUはRyzen 5 7530U
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3149
マルチスレッド: 17315
というスコアでした。
性能はミドルレンジ。インテルの第13世代のPプロセッサよりは下ですが、悪くないスコアです。普段使い~ビジネス利用までなら全く問題ない性能です。
◆PCMark 10
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Essentials(一般的な利用) 9126 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)9363 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 5434 (目安3450)
2022年のInspiron 16 (Ryzen 7 5825U)とスコアを比較してみます。
Inspiron 16 5635 | Inspiron 16 5625 | ||
CPU | Ryzen 5 7530U | Ryzen 7 5825U | スコア差 |
アプリ起動 | 10718 | 10439 | 2.7% |
ビデオ会議 | 8176 | 7297 | 12.0% |
Webブラウジング | 8674 | 8479 | 2.3% |
表計算 | 12249 | 11705 | 4.6% |
文章作成 | 7157 | 7371 | -2.9% |
画像編集 | 7278 | 8135 | -10.5% |
レンダリング | 5652 | 4850 | 16.5% |
動画編集 | 3902 | 3579 | 9.0% |
本機はRyzen 5ですが、2022年のRyzen 7と比較しても見劣りしないスコアです。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | 5.7 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 7.1 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | 7.4 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 7.9 |
Inspiron 16 5635 | Ryzen 5 7530U | 9.5 |
Inspiron 16 5625 | Ryzen 7 5825U | 13.2 |
表に挙げたCPUの中では少し遅いですが、2022年のRyzen 7よりは速いタイムでした。RAW現像はインテルの方が速い傾向があります。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | 57 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 60 |
Inspiron 16 5635 | Ryzen 5 7530U | 77 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | 80 |
Inspiron 16 5625 | Ryzen 7 5825U | 81 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
こちらはまずまずの速さ。軽めの編集なら大丈夫でしょう。4K動画にがっつり編集したいというようなケースではグラボを搭載したクリエイター向けPCが推奨です。
◆軽めのゲーム
最後は定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは5572、「普通」という結果で平均フレームレートは39fpsでした。
機種 | CPU | グラフィックス | スコア |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 16379 |
Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 7565 |
IdeaPad Slim 5i Gen 8 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 7387 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | Intel Iris Xe | 6260 |
Inspiron 16 5635 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 5572 |
やはり本機ではゲームは厳しいと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
〇画像編集
△動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
良い: ミドルレンジとして期待どおりの性能
良い: 2022年のRyzen 7と同等、もしくはちょっと上。
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.4mmです。
テンキーはありません。ホームポジションが中央に来るような配列になっています。
EnterキーとBackspaceキーが隣のキーとくっついてしまってますが、それ以外はなかなか良く出来ていると思います。
キーの形状にこだわる人は、日本メーカーか海外メーカーの上位機種推奨となりますが、それだと12万前後はかかります。7万という価格ならここは妥協すべきでしょう。
打鍵感も悪くないです。音は「コトコト」に近く、タイプ音は静かです。バックライト付きなので暗い場所で使うときもタイプしやすいです。
良い: キー形状、打鍵感ともに平均以上
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが1つとUSB-Aが2つです。
USB-CポートはPD対応(電源供給対応)なので、モバイルバッテリーで充電できます。またディスプレイ出力にも対応しています。
他はHDMIとSDカードスロット、ヘッドフォンジャックが付いています。
フルサイズのSDカードスロットがあるのでデジカメのデータを直接取り込むことが可能です。HDMIはFHD出力まで。4K出力には対応していません。
良い: フルサイズのSDカードスロット
微妙: HDMIは4K出力非対応
バッテリー、ファン音、熱など
バッテリー容量は54Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
Zenbook 15 OLED | 4.5時間 |
IdeaPad Slim 5i | 6.5時間 |
Inspiron 16 5635 | 7.5時間 |
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
ENVY x360 13-bf | 10.0時間 |
結果は約7.5時間。平均的なバッテリーライフです。Inspiron 14が8.5時間ですからそれより少し短めです。これは後述するファン制御の問題のせいかもしれません。
ここまで大きな欠点なくきましたが、最後にちょっと問題点。
本機はファン制御に問題を抱えているようで、
・アイドル時でも36dbとちょっと気になるファン音
・負荷時では52dbと大きめのファン音
という2つの症状が出ました。
負荷時よりも、何もしてないときにファンが回り続ける方が気になりました。
ドライバーインストール、BIOS更新、ハードウェア診断などを試しましたが改善せずでした。
ネットで調べると、同様の現象の報告がいくつかあったので、個体差では済まない可能性があります。もちろん問題なく使えている人も多いはずですが。
本機よりもコンパクトなInspiron 14では問題ないのに、なぜ大きいサイズのInspiron 16でこのような問題が起こるのか不思議です。
致命的な欠点ではないものの、大きなマイナスであることは否めません。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆☆ |
悪い点
・ファン制御に問題あり
良い点
・普段使い、ビジネス利用までなら快適
・16:10ディスプレイ
・アルミのボディで高級感がある
・コスパ最強
Inspiron 14と同様にInspiron 16も高評価・・になると思ってましたが、ファン制御がうまくいっていないのが予想外でした。残念です。
フォローするわけではありませんが、
・問題がある個体は少ないはず
・今後BIOSアップデートなどで改善される可能性もある
ということは言っておきます。
普通ファンまわりの問題は、超薄型ノートや高性能ゲーミングノートに発生しやすく、本機のようなオーソドックスなPCではめずらしいです。
Inspiron 14の方は、筆者も購入して1か月ほど使ってますが問題ありませんし、他でも聞いたことがありません。
もし14か16で迷ってる人がいるなら、Inspiron 14をおすすめします。
Inspiron 14 5435のレビューはこちら
⇒ 7.8万円で大満足。Inspiron 14 AMD (5435)を買ってみたのでレビューします。
Inspiron 16については今後のアップデートに期待します。