【レビュー】HP ENVY x360 13-ar0000、Ryzen 5モデルはCPU性能が期待以下だが・・

HP ENVY x360 13はRyzen第3世代を搭載したモデル(13-ar0000)で2019年6月の発売。

変形2-in-1タイプながら1.28kgと軽量、価格も10万を切ることから、人気となっている一台ですが、性能をチェックしてみると少し気になる点も見えてきました。

詳しくレビューしていきたいと思います

◆レビュー機のスペック

・CPU：Ryzen 5-3500U
・メモリ：8GB
・ストレージ： SSD 256GB (PCIe)
・ディスプレイ：13.3型 FHD(1920×1080) タッチ対応
・USB： USB3.1 typeC x1、USB3.1 typeA x2
・インターフェイス：microSDカード、ヘッドフォンジャック
・バッテリー：約14.5時間
・サイズ、重さ：約 306×212×14.5－16.0 mm、1.28kg

ENVY x360 13は変形タイプの2-in-1
タブレットとしても使用できますがペンは付属してません

CPUの選択肢はRyzen3、Ryzen5、Ryzen7と３種類ありますがレビュー機はRyzen 5です

メモリ8GB、SSD256GBとバランスのとれたスペックで価格は8.4万円（税込、送料込）

コスパはかなり良いと思います

ちなみにRyzen 3を選択すると、メモリ8GB、SSD256GBで7.0万とさらに安くなります

※価格は変動することがあるので最新情報はHP公式のオンラインストアで確認してください

◆見た目、デザイン

筐体カラーはナイトフォールブラック

ちょっと茶色が入った黒です

アルミニウム合金で出来た筐体はシャープで高級感があります

天板は指紋が少しだけ目立つかなという感じ。

写真用にライトをつけてるので余計に目立ちますが、通常の状態だとほとんど気になりません。

1.28kgという重さは13.3インチノートの中ではちょっと重めですが、片手で簡単に持ち上げることができる軽さです

ENVY x360 13のように7万、8万というを切る価格帯で1.28kgというのはかなり健闘しているのではないかと思います。

しかも変形2-in-1（コンバーチブル）タイプで、この軽さ、この安さは他に類を見ない存在だと思います

液晶ディスプレイは光沢タイプで映り込みがありますが、ギラつきはありません

明るさ、視野角ともに平均以上です

同じHPのPavilion 13の場合、ちょっと角度をつけると視認性が悪くなりましたが、このENVY x360 13はそのようなこともなくとても良い感じです

◆ベンチマーク

CPUはRyzen 5-3500U

PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、7309というスコアでした。

PassMark社が発表している平均値は、

Ryzen 3-3300U 平均値6888
Ryzen 5-3500U 平均値8080
Core i5-8265U 平均値8165

となっています。

レビュー機は平均よりも下でした。

負荷がかかったときにCPU性能が最大限発揮できていない可能性があります

内蔵されているSSDはライトオンのSSD、型番はLITEON CA3-8D256-HPです

ベンチマークをとると以下のようになります。

シーケンシャルリードは2800MB/sとまずまずの速さ

4Kリード、ライトも良好です。

電源をオンしてからデスクトップが表示されるまでにかかった時間は約13秒でした。

こちらは平均(12秒）よりも遅い結果でした

さらなるテストとして、画像編集の処理速度も行いました。

いくつかの画像を合成して１つの画像を構成する処理なので、
CPUやSSDなど総合的な性能が効いてくるはずです

以下条件の違う４つのPCでのテスト結果です。

１．Core i5-7200U、メモリ8GB、SSD256GB(SATA)

処理にかかった時間：約61秒

２．Core i5-8265U、メモリ8GB、SSD256GB(PCIe)

処理にかかった時間：約29秒

３．Core i7-8565U、メモリ8GB、SSD512GB(PCIe)

処理にかかった時間：約27秒

４．Ryzen 5-3500U、メモリ8GB、SSD256GB(PCIe)

処理にかかった時間：約31秒

最後4番目の結果が本機の結果です。

IntelのCore i5、i7搭載機よりもタイムが遅く、期待外れの結果です

以上をまとめると、

CPUテスト：　悪い
SSDテスト：　平均
起動：　　　平均以下
画像編集：　平均以下

という感じ。

全体的なパフォーマンスは良くありません

パワーのあるRyzen 5と薄型デザインの相性が良くないのでしょうか。

Ryzen 5というよりもワンランク下のRyzen 3くらいを想定しておいた方がいいかもしれません。

◆キーボード、タッチパッド

キーピッチ（キーの間隔）は19mm、キーストローク（深さ）は1.3mmです。

HPのキーボードと言えばこれ。

右端がEnterではなく、home、pgup pgdn、endボタンが並んでいます

慣れないうちは、backspaceの代わりにhomeを押すなど押し間違いがよく発生してしまいますが、少しずつ浸透してきたのでもうすでに慣れている人もいるかもしれません。

半角／全角キーは小さめ。Ctrlキー、Fnキーも小さめです

13インチノートではキーの大きさか配列、どこかにしわ寄せがいくのですが、半角／全角キーなど使用頻度が高いキーがその犠牲になっているのはマイナス点です

キーボードの打鍵感は、悪くないです
欲を言えばもう少しクリック感がほしかったです

タッチパッドの広さは110 x 55 mmで少し縦が短いです

操作性はまずまずですが、何回か、タップ（＝クリック）に反応しないときがありました

◆インターフェイス

USBポートはUSB-Cが１つとUSB-Aが２つです。

USB-CはPower Delivery対応ですので、専用ACアダプタを使わずともUSB Type-Cケーブルでの充電が可能です

USB-Aは２つ。USB-Aで周辺機器と接続することが多い人には助かる仕様です

あとはHDMIとヘッドホンジャック、そしてmicroSDカードスロットです

１つ見慣れないスイッチがありますが、これはプライバシーカメラキルスイッチ。

このスイッチでWebカメラをオン、オフすることが可能です
カメラへの回路を物理的に切るので、万が一不正なアクセスがあってもカメラから覗き見される心配はありません。

◆バッテリー、排気音、熱など

バッテリーの駆動時間は公称値で14.5時間です。

以下の条件でテストしてみました。

・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し

結果は約８時間。まずまずの結果でした

Ryzenモデルはバッテリーライフが短いという認識がありましたが、
本機のスペックだとそれは心配しなくても良さそうです

ただRyzen 7だとさらに消費電力が高くなるので、バッテリーのもちも少し悪くなる可能性があります

その他、静音性や筐体の熱は特に問題はありませんでした。

◆まとめ


デザイン	☆☆☆☆
キーボード・タッチパッド	☆☆☆
ディスプレイ	☆☆☆☆
起動・処理速度	☆☆☆
インターフェイス	☆☆☆☆
バッテリー	☆☆☆☆
コスパ	☆☆☆☆

短所
・CPUのパフォーマンスが期待以下
・ペンが付いていない

長所
・1.28kg、変形2-in-1としては軽い
・コスパ

大きな短所はCPUのパフォーマンスが期待を下回ったことです
通常のネット、動画鑑賞などは全く問題ないのですが、画像編集など負荷をかけた作業だとパフォーマンスが低下します

ぼくが実施したテストの数値で言うと、期待したレベルより約10%ほど数値が下でした。

こうした現象は、他のレビューサイトでも報告されているので、個体差ではないと考えるのが普通でしょう。

パフォーマンス低下といっても、

・通常作業にはほとんど影響がない
・MAXの値が少し落ちるという程度
・ENVY x360 13がそこまで性能を要求されるPCではない

という点が救いです

変形2-in-1で1.28kgという軽さは魅力なのですが、その軽さ、薄さが仇となっている可能性はありますね

そのせいかどうかはわかりませんが、価格はだいぶ安くなっています

Ryzen 5モデルが8,4万（税込、送料込）
Ryzen 3モデルが7.0万です

と7～8万で買えるのはうれしい点です

ただRyzen 7モデルはおすすめしません。前述と同様にRyzen 7でもパフォーマンスの低下がありますし、Ryzen 7となるとさらに発熱やバッテリーライフにも影響が出てくる可能性があるからです

選ぶなら、Ryzen 3かRyzen 5にしましょう

同じHPの13型ノートPavilion 13と比較してみました


	ENVY x360 13	Pavilion 13
CPU	Rynze 5-3500U	Core i5-8265U
ベンチマークスコア	7309	7314
SDカード	microSD	フルサイズSD
ディスプレイ	○	△
バッテリー	約8時間	約5.5時間
重さ	1.28kg	1.26kg
価格	8.4万	7.2万