LenovoのIdeaPad Slim 370i 14型は2022年7月発売のノートPC
- 14インチ IPS液晶
- CPUは第12世代インテルCore i3、Core i5でミドルスペック
- 価格は7万以下
という特徴をもっています。
結論から言うと、
良い
実測で1.35kgと軽い(カタログ値は1.43kg)
視野角の広いIPS液晶、輝度300nit
メモリ増設可能(空きスロットが1つ)
悪い
樹脂製(再生プラスチック)なので剛性はイマイチ
メモリ8GBはシングルチャネルなので性能が限定される
指紋認証なし、顔認証なし
となります。
IdeaPadの300番台なので、コストを抑えている部分がいくつかあります。買う、買わないは価格次第だと思います。
10月4日時点ではCore i5モデルが7.0万円と安いですが、タイミングによっては上位機種のIdeaPad Slim 570が安いときもあります。またDELLのInspiron 14 5425もかなりコスパは良いのでそれらとの比較で決めたいところです。
レビュー機のスペック
・OS: Windows 11 Home ・CPU:Core i5-1235U ・メモリ:8GB (8GBx1) ・ストレージ: SSD 256GB ・グラフィックス: Intel UHD Graphics ・ディスプレイ:14型 (1920×1080)、非光沢、IPS ・USB: USB3.2 Type-C x1、USB3.2 Type-A x1、USB2.0 x1 ・インターフェイス: HDMI、SDカード、ヘッドフォン ・Webカメラ: HD(720p)、プライバシーシャッター ・顔認証なし、指紋認証なし ・サイズ: 324.2×215.7×19.9mm ・重量: 1.43kg
CPUはインテル第12世代のCore i5-1235U。
メモリは8GBのシングルチャネルです。そのため、グラフィック性能が1ランク下のIntel UHDになっています。空きスロットが1つあるので自分でメモリ増設することもできます。
上記の構成で価格は7.0万円(税込、送料込)
MS Officeを付けても9.0万で10万未満でおさまります。
※価格は変動することがあります。最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはアークティックグレー。
ごく一般的なグレーで無難な色です。
室内で暗く見えますが、自然光に当たると標準的なグレーに見えます。
天板にLenovoのロゴが小さく入っています。
素材は金属ではなく、樹脂(再生プラスチック)です。表面に軽く光沢を入れて、金属っぽさを出しています。
遠目にはまずまずいい感じに写りますが、やはり本物の金属(アルミ)と比べると高級感では劣ります。
重さはカタログ値で1.43kg、実測では1.35kgとかなり軽かったです。
ボディに金属を使用していないので軽く仕上がっています。
ディスプレイは
・FHD 1920×1080、IPS
・アスペクト比 16:9
・非光沢、タッチ非対応
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 300nit
・色域 sRGBカバー率 63%
という仕様。
IPS液晶なので、視野角は広いです。
画面は180度近くまで開くことができます。
発色もまずまずです。
明るさと色域は平均レベル。画像編集などクリエイティブな作業にはやや不足かなと思います。
あとアスペクト比も16:9のまま。最近の主流は16:10の広い画面で情報量を多く表示するタイプなのでそこは残念な点です。
ディスプレイ上部のWebカメラには、プライバシーシャッターが付いています。
カメラの解像度はHD(720p)。
写りは平均的です。FHDのカメラに比べると解像感が落ちます。
Web会議などに使いたい場合は、外付けのカメラを買うことをおすすめします。
また本機は、顔認証なし、指紋認証なし、と生体認証に非対応なのもマイナスです。
良い: 1.35kgと軽い
微妙: 16:10ではない
微妙: ボディは樹脂製。高級感は物足りない
悪い: 生体認証なし
ベンチマーク
CPUはインテル第12世代のCore i5-1235U。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3653
マルチスレッド: 12845
というスコアでした。
Core i5-1235Uの平均よりも少し下のスコアですが、ほぼ期待どおりの結果です。
第11世代のCore i7よりも高いスコアが出ています。
◆リアルなアプリの快適度
当サイトが重視するベンチマークテスト、PCMark10の結果を見てみましょう。
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
結果はすべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Essentials(一般的な利用) 8606 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)6318 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 5143 (目安3450)
Lenovoの上位機種IdeaPad Slim 570 (Ryzen 5 5625U搭載)と比較してみます。
IdeaPad Slim 370i | IdeaPad Slim 570 | ||
CPU | Core i5-1235U | Ryzen 5 5625U | スコア差 |
アプリ起動 | 11066 | 9984 | 10.8% |
ビデオ会議 | 6879 | 8449 | -18.6% |
Webブラウジング | 8254 | 8808 | -6.3% |
表計算 | 6386 | 11424 | -44.1% |
文章作成 | 6252 | 7621 | -18.0% |
画像編集 | 8646 | 8458 | 2.2% |
レンダリング | 3018 | 5226 | -42.3% |
動画編集 | 5215 | 3799 | 37.3% |
アプリ起動と動画編集では本機の方が上ですが、それ以外ではIdeaPad 570に負けている項目が多いです。
本機はメモリ8GBがシングルチャネルになっています。メモリを増設して8GBx2のデュアルチャネルにすればさらにスコアは伸びると思います。
メモリが足を引っ張ってる割には悪くないスコアだと言えます。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム (秒) |
Legion 570i | Core i7-12700H | 4.6 |
dynabook GZ/HV | Core i7-1260P | 5.6 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | 7.1 |
IdeaPad Slim 570 | Ryzen 5 5625U | 12.4 |
IdeaPad Slim 370i | Core i5-1235U | 16.2 |
Inspiron 14 5425 | Ryzen 5 5625U | 22.3 |
タイムは16.2秒。メモリがシングルチャネルなので時間がかかっています。
他のインテル第12世代は10秒を切るタイムなのでそれと比較すると遅いです。
Ryzen 5との比較では、4GBx2のIdeaPad Slim 570には負けます。しかし8GBx1のDELL Inspironよりは速いタイムです。
◆軽めのゲーム
最後にファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)でベンチマークをとってみました。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは1996、「設定変更が必要」という結果でした。
機種 | CPU | グラフィックス | スコア |
Legion 570i | Core i7-12700H | RTX 3050 Ti | 20956 |
Yoga 770i | Core i7-1260P | Intel Iris Xe | 6532 |
IdeaPad Slim 570 | Ryzen 5 5625U | AMD Radeon | 4670 |
Inspiron 14 5425 | Ryzen 5 5625U | AMD Radeon | 2267 |
IdeaPad Slim 370i | Core i5-1235U | Intel UHD | 1996 |
本機は外部グラフィックスを搭載していませ。さらにメモリがシングルチャネルのせいでグラフィックス性能も通常よりも低下しています。 ゲームは厳しいと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
×画像編集(RAW現像)
×動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
良い: 普段使いは快適
悪い: 画像編集、動画編集、ゲームは苦しい
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.3mmです。
キー配列はLenovoお馴染みの配列と形状です。
EnterやBackspaceが横とくっついており、見た目は良くありません。
ただ慣れるとそこまで違和感はないです。打鍵感も適度な反発力があり良好です。
タッチパッドの操作そのものに支障はありませんが、タップの度に振動が伝わるのが気になります。ちょっと作りの甘さが出ているなと感じました。
あとバックライトも付いていません。
良い: 打鍵感は良い
悪い: タッチパッドがガタつく
微妙: バックライトなし
インターフェイス
USBポートは全部で3つ。
USB-CポートはPD対応なのでモバイルバッテリーから充電できます。
USB-AはUSB3.2とUSB2.0です。速度の遅いUSB2.0が1つ残っているのはマイナスです。
あとはHDMIとSDカード、ヘッドフォンジャックです。
フルサイズのSDカードを直接挿すことができるので、デジカメのデータを取り込むときに便利です。
ちなみに一番小さい穴はNOVOボタンというリセットボタン。PCの電源が切れなくなったときの強制終了に使います。電源長押しが効かないときに、この穴にクリップの先のような細い針を差し込むと強制的に電源を切ってくれます。ほとんど使うことはないと思いますが、一応覚えておきましょう。
良い: TypeC充電対応
良い: SDカードスロットあり
悪い: USB2.0が1つ残っている
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は35Whと平均より小さい容量です。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約5.0時間でした。
IdeaPad Slim 370i | 5.0時間 |
Pavilion Aero 13 | 5.5時間 |
Surface Pro 8 | 6.5時間 |
IdeaPad Slim 570 | 6.5時間 |
Yoga 770 | 9.0時間 |
バッテリーライフは平均以下です。
熱や音に関しては問題なしです。
ただ負荷をかけるとファン音はそこそこします。Core i5-1235Uは消費電力が低いのでもっと静かなのかなと思ってましたが、平均的なノートPCと同じくらいのファン音がしました。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・樹脂製(再生プラスチック)なので剛性はイマイチ
・メモリ8GB、シングルチャネルが足を引っ張っている
・指紋認証なし、顔認証なし
長所
・実測で1.35kgと軽い
・視野角の広いIPS液晶、輝度300nit
・Core i5-1235U搭載機で最安値
IdeaPad 300番台はコストを抑えたモデルなので、欠点も多いです。ただ基本的な性能は十分高いので、普段使いやビジネス利用までなら快適にこなせます。
IPS液晶で見やすいディスプレイなのも良い点です。
Core i5-1235Uのモデルが7.0万円(税込、送料込)とコスパはまずまず。
Core i5-1235U搭載機の中では最安値(価格.com調べ)となります。
IdeaPad Slim 570との比較
本機を買うかどうかで最も重要なポイントは、
・上位機種のIdeaPad Slim 570
の存在です。
IdeaPad Slim 570 | IdeaPad Slim 370i | |
CPU | Ryzen 5 5625U | Core i5-1235U |
メモリ | 8GB (4GBx2) | 8GB (8GBx1) |
ディスプレイ | 14インチ 16:9 | 14インチ 16:9 |
ボディ素材 | アルミ合金 | 樹脂 |
生体認証 | 指紋認証 | なし |
USBポート | 4つ | 3つ |
重量 | 1.39kg | 1.35kg |
価格 | 8.0万 | 7.0万 |
570は、ボディがアルミ合金で頑丈です。
メモリも4GBx2のデュアルチャネルになっているので、370iよりも守備範囲が広いです。
さらに指紋認証やUSBポートの数などで優位に立っており、370iの弱点をほぼカバーしています。
10月4日時点の価格は570が8.0万、370iが7.0万です。
この価格差なら、上位の570を買った方が良いと思います。
⇒ Lenovoストア IdeaPad Slim 570 14型 AMD
370iを買うなら
・メモリを16GBに増設して使いたい
・予算をできるだけ抑えたい
といった思惑のある人でしょうか。
最近Lenovoは価格変動が激しいので、最新情報を必ずチェックしてどちらがいいか決めてください。
参考: IdeaPad Slim 570のレビュー記事はこちら。