今回はLenovo LOQ 16IRH8のレビューです【貸出機材提供:Lenovo】
Lenovo LOQ 16IRH8は2023年5月発売のゲーミングノートです。
- 16インチ FHD(1920×1200)、144Hz
- CPUはインテル第13世代のCore i5-13420H
- グラフィックスはRTX 3050
- 色域はあまり広くない(sRGBカバー率63%)
という特徴をもっています。
LOQ(ロック)は2023年から始まった新しいLenovoゲーミングノートのシリーズ名。ゲーミングノートの中ではエントリー機です。
性能とディスプレイの質が少し劣りますが、その分価格は抑えてあるのでFHDでゲームを楽しみたい人にはちょうどいいかもしれません。
実際、この機種でストリートファイター6を快適にプレイ可能です。
スペックと価格から見ていきましょう。
レビュー機のスペック
・Windows 11 Home 64bit
・CPU:Core i5-13420H
・メモリ:16GB (8GBx2)
・ストレージ: SSD 512GB
・グラフィックス: GeForce RTX 3050 (TGP = 95W)
・ディスプレイ:16型 (1920×1200)、非光沢、144Hz
・USB: USB-C x1、USB-A x3
・インターフェイス: HDMI、有線LAN、ヘッドフォン
・Webカメラ: FHD(1080p)
・顔認証なし、指紋認証なし
・サイズ: 359.6x277.6x25.9 mm
・重量: 2.6kg
・付属: マウス
レビュー機はCore i5-13420HにRTX 3050の構成。
価格は8月8日時点で12.5万円(税込、送料込)です。
上位モデルはCore i7、RTX 4050やRTX 4060も用意されています。
※価格の最新情報はLenovoのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはストームグレー。
無難なグレーです。材質は樹脂製(再生プラスチック)。安っぽさはないものの、かと言って高級感があるとも言えない平均的な見た目です。
天板にLOQのロゴが入っています。
重量は2.5kg、据え置き用のPCです。
背面は出っ張りがあり、熱を逃がす設計になっています。ゲーミングノートらしいデザインです。
あとACアダプターが大きいです。
手の大きさと比べてもらえるとわかりますが、通常の2倍~3倍くらいのサイズです。
ディスプレイは
・FHD 1920×1200
・アスペクト比 16:10
・非光沢
・リフレッシュレート 144Hz
・輝度(明るさ) 350nit
・色域 sRGBカバー率 63%
という仕様。
最近のゲーミングノートはディスプレイにも力を入れているタイプも見かけますが、本機は残念ながらそうではありません。
リフレッシュレートは144Hzとゲーム仕様になっていますが、色域は狭く、色の発色もイマイチです。
sRGBカバー率100%のディスプレイと比べるとコントラストが薄く感じてしまいます。
微妙: デザインは平凡
微妙: ディスプレイがクリエイター仕様ではない
Webカメラ
ディスプレイ上部に付いているWebカメラですが、プライバシーシャッターはない代わりに、ボディの側面にカメラをオフにできるスイッチが付いています。
解像度はFHD(1080p)。映りは平均的だと思います。
比較している機種は10万以下で買えるLenovoのPC。いまは安い価格帯でもWebカメラは進化しています。それと比べると、本機は少し物足りない写りです。
また本機は、顔認証や指紋認証がないのもマイナスです。
微妙: カメラの映りは平均レベル
悪い: 生体認証なし
ベンチマーク
CPUはCore i5-13420H。8コア12スレッドです。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3626
マルチスレッド: 20968
というスコアでした。
シングルは優秀ですが、マルチはそこまで高くないです。
インテル第11世代のエース格、11800Hと同じくらいにスコアです。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
Legion 570i | Core i7-12700H | 4.6 |
Legion Slim 770i | Core i7-12700H | 5.1 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 6.0 |
LOQ 16IRH8 | Core i5-13420H | 6.8 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | 7.4 |
DAIV 5P | Core i7-11800H | 8.6 |
第12世代の12700Hが速く、その後に第13世代のCore i5-1340P、本機はその次でした。
Ryzenや第11世代よりは速いタイムで、作業自体は快適です。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Legion Slim 770i | Core i7-12700H | 37 |
Legion 570i | Core i7-12700H | 40 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | 47 |
LOQ 16IRH8 | Core i5-13420H | 53 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 62 |
DAIV 5P | Core i7-11800H | 66 |
ここでも上位は第12世代の12700Hです。本機も悪くないタイムですが、2022~2023年のハイエンド機の中では下位です。
◆ゲーム
最後にゲーム性能に関していくつかテストしてみます。
まずは定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは18709で「非常に快適」。平均フレームレートは135fpsでした。
CPU | グラフィックス | スコア | |
Legion Slim 770i | Core i7-12700H | RTX 3060 | 25254 |
Legion 570i | Core i7-12700H | RTX 3050 Ti | 20956 |
DAIV 5P | Core i7-11800H | RTX 3050 | 18971 |
LOQ 16IRH8 | Core i5-13420H | RTX 3050 | 18709 |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 16379 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 6524 |
中軽量級のゲームは問題ありません。ちなみに最高品質に設定しても「とても快適」という結果でした。
次はストリートファイター6
ちょっと重めのゲームですが、こちらも問題なく快適にプレイできます。
対戦モードでは60fpsに張り付き、他のモードでは88~100fpsという結果です。
ストリートファイター6はデスクトップ版のRTX 2070が推奨されているので、Laptop版だとRTX 3060やRTX 4050、あるいはそれ以上を推奨する場合が多いです。
本機はそれよりも下位のRTX 3050ですが、最大グラフィックスパワー(TGP)が95Wと高く設定されているおかげで、ちょっと重めのゲームも苦にしません。
最後は3DMark Time Spy。
スコアは下位ですが、RTX 3050としては健闘しています。RTX 3050 Ti搭載のHP Victus 16よりは上のスコアです。このスコアならAPEX Legendsの中設定で144fpsに張り付いてくれるはずです。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画視聴
○オフィス系ソフトで事務作業
△画像編集
〇動画編集
〇ゲーム
となります。
画像編集はRAW現像速度がそこまで速くないのと、ディスプレイの色域が狭いという理由から△にしましたが、それ以外は問題ありません。
良い: 動画編集からゲームまでOK
良い: RTX 3050だがTGPが高くけっこう使える
微妙: 第12世代のCore i7-12700HよりもCPU性能は下
キーボードの配列と打鍵感
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.5mmです。
ストローク、打鍵感ともに平均的です。
EnterキーやBackspaceキーが横とくっついているので見た目はマイナスですが、実用上問題はありません。
タッチパッドの操作性も良好でした。
微妙: キーボード、タッチパッドは普通です
インターフェイス
USBポートは全部で4つ。
USB-Cが1つあり
・転送速度 10Gbps
・PD対応 (電力供給対応)
・映像出力対応
となっています。
残り3つは通常のUSB-Aポートです。
あとはHDMIと有線LAN、ヘッドフォンジャック。ゲーム用ということで有線LAN(RJ-45)があります。
デジカメ用のSDカードスロットがないのは残念ですが、全体としてクリエイター仕様になっていないので許容できる点かなと思います。
良い: 有線LANポート
微妙: SDカードスロットなし
排気音、熱など
ゲーミングノートで気になるのは熱と音。
負荷をかけたときはブオーというファン音がけっこうします。
参考程度ですがアプリで測定した音量は53デシベルでした。一般的なゲーミングノートは大体このくらい出ます。
設定は「バランスモード」で計測しています。
音が気になる場合は「静音モード」に切り替えてみることをおすすめします。
このときの音量は39デシベル。普通のノートパソコンの負荷時くらい静かになります。
本機は静音モードにしてもパフォーマンスがほとんど落ちません。その代わり熱が発生するので、長時間の使用は控えた方がいいでしょう。
静音モードは短時間、音をどうしても抑えたいときに使うといいです。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・ディスプレイはクリエイター向けではない
・CPU性能はそこまで高くない
・生体認証なし
長所
・RTX 3050のパワーは高く設定されていてけっこう使える
・中量級ゲームをFHDでプレイするのに適している
・静音モードでもパフォーマンス低下がない
エントリー機ということで、細かい点でマイナスはありますが、ゲーミングノートとしての性能は合格点をつけることができます。
RTX 3050のTGPは95Wに設定されているので、RTX 3050 Tiの75Wと同等のグラフィック性能が出ています。
重量級のゲームは厳しいですが、それ以下の幅広いゲームを楽しむには十分かなと思います。有名なところだと、2023年発売のストリートファイター6も快適にプレイ可能です。
もしこれでもスペックが不満なら、上位機種のLenovo Legionシリーズがおすすめ。価格は20万前後となります。
LOQ 16IRH8はCore i5、RTX 3050で12.5万円(税込、送料込)
ゲーム初心者なら、まずはこれぐらいを買っておくといいでしょう。
あと、CPUがAMD Ryzenのモデルもあります。性能はほぼ同じ。Ryzen 5 7640HS搭載で12.0万円(税込、送料込)とさらに安くなります。