HP Pavilion 15-egは2020年12月発売のノートPC
- 15.6インチ1.71kgの据え置き用ノート
- CPUはインテル第11世代Core i7
- タッチパネル
という特徴をもっています。
発売当初はCore i3やCore i5搭載のモデルも販売されていましたが、現在(2021年9月)ではCore i7のみの販売となっています。
1週間ほど使ってみて感じた良い点と悪い点を書いてみました。
レビュー機のスペック
・Windows 10 Home 64bit
・CPU:Core i7-1165G7
・メモリ:16GB (8GB x2)
・SSD: 512GB
・ディスプレイ:15.6型 (1920×1200) 、光沢、タッチパネル
・USB: USB-C x1、USB-A x2
・インターフェイス:HDMI、microSDカード、ヘッドフォン
・Wi-Fi: Wi-Fi 6対応
・バッテリー駆動時間: 8時間
・重量: 1.71kg
Pavilion 15-egはWindows 11へ無料でアップグレード対象製品となっています。
レビュー機はインテル第11世代のCore i7-1165G7を搭載、メモリは16GB、SSD容量は512GBとハイスペック寄りの構成です。
価格は11.7万円(税込、送料込)。コスパはまずまず平均的です。
同じHPの兄弟機でPavilion 15-ehという機種もあります。こちらはCPUがAMD Ryzenになります。Ryzenかインテルかで迷う人もいるかもしれませんが、価格の安さと納期の早さではRyzenモデルの方が良さそうです(9月20日時点)。
価格と納期は時期により大きく変動しますのでHPのオンラインストアで必ず確認しましょう。
デザイン、ディスプレイ
筐体カラーはセラミックホワイトとフォグブルーの2種類。
レビュー機はセラミックホワイト、清潔感のある白です。
天板はアルミニウム合金を使用しており、HPのロゴが入っています。
角度によってこのロゴがキラリと光るのが良い高級感を出しています。
側面のデザイン。光沢のあるシルバーでなかなかいい感じです。
重量は1.71kg
15.6型ノートとしては平均的な重さで基本は据え置きです。
ディスプレイは
- 光沢
- タッチパネル
という仕様。
映り込みが少しありますが、激しい映り込みではないので気になりません。視野角もまずまず広いです。
- 輝度(明るさ) 220nit
- 色域 sRGBカバー率 63%
色域は普通、明るさは平均以下でした。
他のレビュー記事を読むと、輝度は概ね250nit前後という報告が多いです。本機はちょっと暗めの個体、いわゆるハズレを引いてしまったということでしょう。
蛍光灯下での作業だと許容範囲ですが、太陽光が差し込むような明るい部屋で作業すると、ディスプレイが相対的に暗くなるので視認性が少し低下します。
あともう1つ残念なのはディスプレイ上部のWebカメラ。
使用しないときにカメラを隠したり、ワンタッチでスイッチをオフにできる機構が多くのメーカーで採用されていますが、このPavilion15-egにはそれがないようです。
良い: まずまずの高級感
悪い: ディスプレイがちょっと暗い
悪い: Webカメラをワンタッチでオフにできない
ベンチマーク
CPUはCore i7-1165G7
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、11401というスコアでした。
PassMark社が発表している平均値は、
Core i7-1165G7: 10663
となっています。
レビュー機はほぼ平均値。期待どおりのパフォーマンスでした。
ちなみに電源から外してバッテリー駆動時のスコアもとってみると、9597と少し低下しました。低下率は16%とインテルとしてちょっと大きめでした。
◆リアルなアプリの快適度
さらなるテストとしてPCMark10を実施しました。
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
Essentials(一般的な利用) 9152 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)6537 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 4583 (目安3450)
すべての項目で目安となるスコアを上回りました。
Core i7としては平均的な結果です。
機種 | Pavilion 14-dv | ZenBook 13 | Pavilion 15-eg |
CPU | Core i5-1135G7 | Core i7-1165G7 | Core i7-1165G7 |
アプリ起動 | 10920 | 11870 | 11720 |
ビデオ会議 | 7925 | 7679 | 7860 |
Webブラウジング | 8185 | 9017 | 8653 |
表計算 | 5541 | 6044 | 5978 |
文章作成 | 7093 | 7720 | 7149 |
画像編集 | 6765 | 7228 | 7539 |
レンダリング | 2702 | 2830 | 2598 |
動画編集 | 4669 | 4749 | 4915 |
HP Pavilion 14-dvの結果も参考として載せています。Pavilion 14-dvはCPUがワンランク下のCore i5-1135G7です。PCMark 10のスコアで比較するとWebブラウジング、表計算、画像編集のスコアで少し差がありました。
◆PhotoshopでRAW現像
実際にPhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
その結果が下の表になります。
CPU | メモリ | タイム(秒) | 検証台数 |
Pavilion 15-eg (Core i7-1165G7) | 8GBx2 | 9.8 | 1 |
Core i7-1165G7 | 8GBx2 | 8.7 | 7 |
Core i5-1135G7 | 4GBx2 | 10.6 | 1 |
Ryzen 7 4700U | 8GBx2 | 10.7 | 2 |
Ryzen 5 4500U | 8GBx2 | 11 | 1 |
これまでのCore i7の平均よりは遅いものの、Ryzenよりは速くまずまずの結果です。
もっと良いディスプレイを外付けで用意すれば、クリエイティブワークにも対応できると思います。
◆軽めのゲーム
最後にファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)でベンチマークをとってみました。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは4195、「普通」という結果でした。
機種 | CPU | メモリ | グラフィックス | スコア |
Pavilion 14-dv | Core i5-1135G7 | 8GB (4GBx2) | Intel Iris Xe | 3448 |
Pavilion 15-eg | Core i7-1165G7 | 16GB (8GBx2) | Intel Iris Xe | 4195 |
IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H | 16GB (8GBx2) | AMD Radeon | 5176 |
Elit Dragonfly G2 | Core i7-1165G7 | 16GB (8GBx2) | Intel Iris Xe | 5938 |
ThinkPad X13 Gen 2 | Core i7-1165G7 | 16GB (4GBx4) | Intel Iris Xe | 6688 |
Core i7の平均スコアと比較すると低めです。ゲーム用としてはちょっと厳しいかなと思います。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
△画像編集(RAW現像)
△動画編集
×ゲーム
という目安になります。
良い: 第11世代のCore i7で守備範囲が広い
良い: Adobeソフトの相性が良い
キーボードの配列と打鍵感
Pavilion 15-egのキーボードはテンキー付きです。
全体のキー形状は良好で、歪な形をしたキーはありません。
ただ左下のCtrlキーとFnキーが少し小さいです。
Ctrlキーは使用頻度がとても高いので、メーカーによってはちょっと大きめに作ってあるところもありますが、本機は逆に小さめ。やや窮屈感があります。
キーストローク(深さ)は1.3mmと浅めで打鍵感は柔らかいです。
もう少し押し切った後の反発があってもいいかなと思いました。
右下には指紋センサーが付いています。
キーボードはバックライト付きなので暗い所でもキーが光ります。
良い: キーの形状はきれい
微妙: 左下のCtrlキー小さい
微妙: 打鍵感は柔らかめ
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが1つとUSB-Aが2つです。
USB-Cの1つはThunderbolt 4ではなく転送速度は10Gbpsと通常のUSB-Cの速さです。PD対応なのでモバイルバッテリーから充電できますし、映像出力にも対応しています。
他はHDMIとmicroSD、そしてヘッドフォンジャックです。
悪くはないですが、デジカメ用のフルサイズSDではなくmicroSDというのが残念な点です。microSDは主にスマホのデータ転送で使用しますが、USBケーブルで代用可能な場合がほとんどです。一方、デジカメ用のデータはサイズが大きかったり、USB-Cに対応していないケースもあることから、SDカードに頼る場合が多いです。
実際15.6型ノートでは、フルサイズのSDカードスロットを付けているPCが一般的です。例えばDELLのInspiron 15は2020年モデルはmicroSDでしたが、2021年にフルサイズSDへと戻しました。
13.3型や14型の場合は薄型設計で物理的にフルサイズSDスロットを付けられないということは理解できますが、15.6型であれば十分スペースはあると思います。
微妙: フルサイズSDじゃなくmicroSD
バッテリー、排気音、熱など
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約4時間でした。
バッテリーライフは短めですが、据え置き用PCなのでそこまで問題にはならないでしょう。
熱や騒音の問題はありませんでした。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆ |
短所
・ディスプレイがちょっと暗い
・Webカメラの物理シャッターなし
・在庫が不安定
長所
・高級感のあるボディ
・Core i7、メモリ16GBで守備範囲広い
・15.6型ノートとしては珍しいタッチパネル
全体的にはまずまずのレベルにまとまったPCだと思います。
インテル第11世代のCore i7搭載でメモリも16GBあるので性能面での不安は少ないです。普段使いならCore i5でも十分ですが、RAW現像(画像編集)をしたい人や軽めの動画編集を行いたい人にはCore i7をおすすめします。
あと15.6型としては珍しいタッチパネルです。スマホ感覚で画面を直接タッチして操作できるので家族で同じ画面を見ながらわいわい楽しむのに向いています。
短所はディスプレイがちょっと暗め(個体差あり)だったことと、Webカメラのシャッターがないこと、そして在庫が不安定ということです。
特に在庫に関しては、DELLやLenovoよりも不安定な期間が長いです。半導体不足で部材確保が難しい時期なのはわかりますが、世界的なメーカーのHPとして、もっと頑張ってほしいなというのが正直な感想です。
価格はCore i7、メモリ16GBで11.7万円(税込、送料込)
タッチパネル式のノートPCとしては安い方です。
Pavilion 15には兄弟機としてPavilion 15-ehという機種もあります。こちらはCPUがAMD Ryzen 5000シリーズです。
9月20日時点では納期も早めなので、今買うならPavilion 15-ehがおすすめです。
タッチパネルにこだわらないのであれば、DELLのInspiron 15 AMDもおすすめです。
こちらはRyzen 5搭載で6.8万円(税込、送料込)とコスパの良さが魅力です。