今回はHP Pavilion 15-egのレビューです【貸出機材提供:株式会社日本HP】
HP Pavilion 15-egは2023年4月発売のノートPCです。
- 15.6インチのオーソドックスなPC
- 光沢タイプの液晶でタッチパネル
- 普段使い、ビジネス利用までなら快適
という特徴があります。
HPのミドルクラスPCとして人気のPavilionシリーズ。10万前後で買えるPCとしてはまずまずの出来ですが、良い点ばかりではありません。
結論から言うと、
・タッチパッドの作りが甘い
・Webカメラの写りが悪い
・Core i7でも守備範囲はそんなに広くない
などの欠点もありました。
以下で詳しくレビューしていきます。
レビュー機のスペック
・シリーズ名: Pavilion 15-eg3000
・Windows 11 Home 64bit
・CPU:Core i7-1355U
・メモリ:16GB (8GBx2)
・ストレージ: SSD 512GB
・ディスプレイ: 15.6インチ 1920×1080、光沢、IPS
・USBポート: USB-C x1、USB-Ax2
・インターフェイス: HDMI、ヘッドフォン
・Webカメラ: HD(720p)、プライバシーシャッターなし
・顔認証なし、指紋認証あり
・重量: 1.71kg
レビュー機はCPUにインテル第13世代のCore i7を搭載しています。ただCore i7といってもUプロセッサー(1355U)なので、そこまで性能は高くありません。
普段使い、ビジネス利用に適したスペックです。
9月19日時点では12.9万円(税込、送料込)です。
※価格の最新情報はHPのオンラインストアで確認してください。
デザイン、ディスプレイ
カラーはセラミックホワイトとフォグブルーの2種類。レビュー機はホワイトの方です。
指紋が目立たず清潔感がある色です。
キーボード面はシルバーです。
天板とキーボード面にアルミ素材を使用しており、まずまずの高級感です。
重量は実測で1.7kg。ほぼカタログ値どおりでした。
15.6型ノートとしては平均的な重さで基本は据え置きです。
ディスプレイは
・FHD 1920×1080
・アスペクト比 16:9
・IPSパネル
・光沢、タッチタイプ
・リフレッシュレート 60Hz
・輝度(明るさ) 250nit
・色域 sRGBカバー率 63%
という仕様。
概ね値段相応と言えます。
縦横比は16:9で主流の16:10でないのが少し残念。ただし15.6インチとサイズがあるので、そこまで狭さは感じません。
色や明るさは平均レベル。
7万円台のDELL Inspiron 14と比較してみましたが、そこまで大きな差はありません。強いて言えば、Inspironの方が赤みが強いというくらいでしょうか。対して本機は光沢タイプなので映り込みが少しあります。
あとめずらしい点としては、本機はタッチパネルになっています。
オーソドックスなクラムシェル型ノートでしかも15.6型で画面がタッチ操作できるのはあまり見ない仕様です。
子供や家族と一緒にPC画面を見てわいわい楽しむときなどは、タッチ操作ができると便利そうです。
良い: まずまずの高級感
良い: タッチ操作可能
微妙: 色域は狭い。画像編集などには向かない
Webカメラ
Webカメラはプライバシーシャッターが付いていません。
解像度はHD(720p)で写りもあまり良くないです。
最近の主流はFHD(1080p)ですが、それと比較すると写りがかなり違います。
暗くてノイズも目立ちます。解像度以外にも、画像処理、映像処理の技術も少し遅れているように感じます。
リモートワークなどでカメラを使うことが多い人にはおすすめできない仕様です。
悪い: 720pのカメラで写りは良くない
悪い: プライバシーシャッター無し
ベンチマーク
CPUはCore i7-1355U。インテル第13世代です。
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、
シングルスレッド: 3920
マルチスレッド: 16856
というスコアでした。
期待どおりのスコアが出ています。
現行モデルの中では「中の上」クラス。Ryzen 5 7530Uと同じくらいです
上位には第13世代のPプロセッサーCore i5-1340Pがあり、そことは差があります。
◆PCMark 10
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフト。その結果は以下のとおりです。
この中で、特に注目したのは
・アプリ起動 (App Start-up)
・Webブラウジング (Web Browsing)
・文章作成 (Writing)
の3つ。
この3つのスコアの幾何平均を普段使いの快適度と見なして他の機種と比べると以下のようになります。
機種 | CPU | 普段使いの快適度 * |
Pavilion 15-eg | Core i7-1355U | 10055 |
ThinkPad X13 Gen 4 | Core i5-1335U | 9594 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9250 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 9100 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 8606 |
Inspiron14 5425 | Ryzen 5 5625U | 8516 |
通常のノートPCの中では過去最高のスコアです。
先ほど負けていたCore i5-1340Pよりも良いスコアが出ています。これはCPUのシングルコア性能が高いお陰だと思います。先に挙げたPassMarkのシングルスレッドのスコアも非常に優秀でした。
CPU性能はマルチスレッドだけに注目が行きがちですが、ネットや文章作成といった基本的な作業ではシングルコアの性能が重要だということがわかります。
◆PhotoshopでRAW現像
PhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
機種 | CPU | タイム(秒) |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 6.0 |
ThinkBook 13x Gen2 | Core i5-1235U | 7.7 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 7.9 |
ThinkPad X13 Gen4 | Core i5-1335U | 8.2 |
Pavilion 15-eg | Core i7-1355U | 8.4 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 9.0 |
こちらはそこまで速くないです。第12世代のインテルよりも少し遅いくらいでした。
作業自体は快適です。
◆Davinci Resolveで動画編集
動画編集ソフトのDavinci Resolveで180秒の動画をyoutube用に書き出すのにかかった時間を計測してみました。。
機種 | CPU | タイム (秒) |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | 62 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | 79 |
ThinkBook 13x Gen2 | Core i5-1235U | 87 |
ENVY x360 13-bf | Core i7-1250U | 93 |
ThinkPad X13 Gen4 | Core i5-1335U | 94 |
Pavilion 15-eg | Core i7-1355U | 105 |
動画書き出しも少し遅めです。この作業はCPUのマルチスレッド性能が効いてくるので、本機はそれが不足しています。
◆軽めのゲーム
最後はゲーム性能に関してのテストです。
定番のベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ(2021年発売)です。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件でスコアは5391、「普通」という結果でした。平均フレームレートは38fpsでした。
機種 | CPU | グラフィックス | スコア |
Victus 16 | Ryzen 7 6800H | RTX 3050 Ti | 16379 |
Yoga 770 | Ryzen 7 6800U | Radeon 680M | 8420 |
Inspiron 13 5330 | Core i5-1340P | Intel Iris Xe | 6524 |
Pavilion 15-eg | Core i7-1355U | Intel Iris Xe | 5391 |
Inspiron 14 5435 | Ryzen 5 7530U | AMD Radeon | 5243 |
本機は外部GPUを搭載していないのでゲームは厳しいです。
以上のことをわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
△画像編集
△動画編集
×ゲーム
という快適度になります。
良い: 普段使い~ビジネス利用まではトップクラスの性能
悪い: 画像編集以上になると苦戦する
キーボード、タッチパッド
15.6型でテンキー付きのキー配列です。キーピッチは18.7mm、ストロークは1.3mmです、
打鍵感は少し柔らかめ。素直な打ち心地です。
キーボードは特に問題はないですが、タッチパッドの操作性はあまり良くないです。
タップするときにカタカタと音が鳴ります。
上の動画を再生して音を確認してみてください。
個体差はあるのかもしれませんが、音はけっこう大きいです。
悪い: タッチパッドがカタつく
インターフェイス
USBポートはUSB-Cが1つとUSB-Aが2つです。
USB-CはThunderboltではないものの、
・PD対応(電源供給)
・映像出力OK
となっており使い勝手は良いです。
あとはHDMIとヘッドフォンジャックです。
SDカードスロットや有線LANポートはありません。
良い: PD対応(タイプC充電可能)
微妙: SDカードスロットなし
バッテリー、排気音、熱など
バッテリー容量は41Whです。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約5.0時間と短めでした。。
ENVY x360 13-bf | 10.0時間 |
Inspiron 14 5435 | 8.5時間 |
Inspiron 13 5330 | 6.4時間 |
ThinkPad X13 Gen 4 | 5.1時間 |
Pavilion 15-eg | 5.0時間 |
熱や音については問題なし。
負荷をかけるとファン音がしますが、40デシベル以下で許容範囲でした。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー、熱、音 | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆ |
悪い点
・Webカメラが暗い、画質も悪い
・タッチパッドがカタつく
・Core i7だが画像編集や動画編集にはちょっと厳しい
良い点
・普段使い、ビジネス利用の性能はトップクラス
・画面をタッチ操作可能
・静か
悪い点で最も気になったのは、タッチパッドです。作りが甘いせいか、タップ時にカタカタと音がして安定しませんでした。
あとはWebカメラ周りの仕様も少し古いですね。本機のデザインは2021年から変わっていません。2023年の標準デザインから比べるとそこが至らないと感じます。
性能は悪くないです。画像編集以上になると厳しいですが、ネットとビジネス利用の性能はトップクラスでした。
また画面をタッチ操作できるのもクラムシェル型ノートとしてはめずらしい存在です。
レビュー機はCore i7モデルでしたが、Core i5、メモリ16GBの構成でも十分かなと思います。それで価格は2万くらい安くなります。
HPストアではいつもセールをやっていて、そのセール対象になるかどうかで価格が大きく変動します。
Pavilion15-egも安くなったタイミングでうまく買いたいところです。
HPの上位機種には、ENVY x360 15-fhもあります。
ENVYはタッチパッドの作りも良いですし、他にも多くの点でPavilionを上回っています。
Pavilion 15-eg | ENVY x360 15-fh | |
タイプ | クラムシェル | 変形2-in-1 |
CPU | Core i5-1335U | Ryzen 5 7530U |
カラー | ホワイト、ブルー | ブラック |
Webカメラ | 100万画素 | 500万画素 |
プライバシーシャッター | なし | あり |
ペン | 非対応 | 対応 |
SDカードスロット | なし | あり |
価格 | 10.9万~ | 9.8万~ |
ENVYはよくセール対象になっており、10万を切ることもあります。
タイミング次第ですが、現状では上位機種のENVYを買う方がコスパは良いと思います。