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王位戦、藤井‐豊島の41銀をもう一度考えてみる

藤井五冠と豊島九段の王位戦第4局。藤井五冠が終盤に指した41銀が「AI超え」と話題になったのは1週間前です。

いまさらですが、この手の意味と本当にすごさを解説してみたいと思います。

一応筆者はアマ三段クラス。全国大会にも出場した経験があります。

まずアマチュア高段者クラスなら、

41銀、同玉、43銀

の3手必至はけっこう思いつく手だということを言っておく必要があります。

そう。部分的にはこれは普通の手なんです。

ただ今回のケースでは、左辺が広いので41銀に61玉と逃げられたときに効果がないように見えるので41銀の難易度が少し上がってることは確かです。(実際は61玉は73桂以下詰み)

でもそれを置いておくと、41銀~43銀は基本の手筋です。

これを言っておかないと、「41銀のタダ捨てがすごい!」とか間違った解釈をする人が出てきます。

正しくは

41銀、同玉、43銀の場面で自玉が詰まない

ことを読み切ったことがすごいのです。

ここは何度も強調しておきたいポイントです。

以前何かのインタビューで羽生さんが「藤井さんは詰みがないことを読む力が突出している」といった趣旨の発言をされていたのを思い出します。

詰みを読み切るのはそこまで難しいことじゃない。でも詰みがないことを読み切るのは相当難しいこと。

詰みは1つ発見すればそれでOKですが、不詰は全ての手を完全に読み切らないといけないからです。存在しないことの証明、悪魔の証明と似たようなものです。

本局は藤井さんのその突出した力が見られた将棋でした。

実際には、詰みがなくても43に打った銀を抜かれる筋なども考えないといけないのでさらに深い読みが必要になってくる場面。だからこそAIの読みを超えた一手となったわけです。

さらにもう1つ追加するなら、41銀はその場で思いついた手ではなく、少なくとも22銀と打ち込んだときからの読み筋だという点です。

つまり22銀から33の金を取って、41銀~43銀の必至が見えたと。その場面で自玉が詰まない、さらに打った43銀を抜く筋もないことを確認するといった感じで読みを進めたのはないかと推察します。

そういう意味では22銀も非常に印象深い手です。
「次の一手」問題で出されて正解する自信がないのは22銀の方ですね。

AIが22銀はすぐに見えて、41銀は逆に見えづらいというのもおもしろいなと思いました。

それはさておき、豊島九段は41銀は読みに入っていたのでしょうか?

実戦では41銀以下数手で投了となるのですが、そこまで時間をかけず淡々と指されていたような印象があります。流石に41銀は読み筋に入っていて、それで藤井玉が詰まないこともわかっていたように見えました。

そう思うと、41銀は対局者にとっては実は一流のプロ棋士には常識的な一手だったなのかもしれません。

まとめ

41銀は見事な決め手でした。

藤井五冠は終盤にこのような派手な手で決めることが多く、それがファンを楽しませてくれています。

と同時に、こうした手をきちんと冷静に解説することも大切だと感じます。

具体的には

・AIの視点
・アマ有段者以上の視点
・すぐに神の一手とか言わない冷静な視点

の3つが必要なのではないかと考えています。

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