王将戦二次予選で三浦九段が羽生三冠を破りました。
カンニング疑惑で一時出場停止処分を受けていた三浦九段。
その後、「ソフト指しの事実は確認できない」として、処分がとけたものの、復帰後は4連敗と調子が出ないままでした。
しかし2017年度になり、少しずつ復調。
そして今回羽生三冠に競り勝った将棋は素晴らしい内容でした。
戦型は角換わり。
いま後手の羽生さんが33角打と受けた局面です。
22、42の地点を受けつつ、66金にも紐をつけたです。ソフトの評価値はやや後手よし。
しかし三浦九段はここから見事な攻めをみせます。
22銀、同金、42銀、同角、55角!
2枚銀を捨てて、金と角どちらも取らずに55角!
22角成りを狙っています。
もし33角と受けると今度は66角とこちらの金がタダ。後手は66同角と取り返せません。
取ると42金の一手詰です。
33銀と打っても22桂成から66角と金を2枚取られ後手苦しい。
そこで羽生さんは76金と強気な対応をしました。
以下22角成、41玉、44歩と進みます。
44歩も手筋。42の角はすぐに取らず、43の地点を狙うのが筋ですね。
ここで羽生さんは52玉と早逃げをしました。63まで逃げ込めば、戦火から遠ざかりまだ勝負になるという読みでした。
以下数手進んだ局面。
羽生さんが86歩と指したところ。
ここで三浦さんは55馬
これが53と以下の詰めろになっているので64銀と受けましたが、そこで24飛!という見事な決め手が出ました。
55銀と馬を取られても、飛車の横利きをいかして74金と上を抑えれば勝ちという読みです。
確かに74金を抑えれば勝ちというのは、言われたらアマチュアでもわかりますが、55の馬を見捨てて24飛というのは発見しにくい好手でした。
以下、羽生さんも粘りましたが、最後は三浦九段が即詰めに打ちとり勝利しました。
振り返ってみても、24飛の切れ味が光ります。
この手や中盤の22銀~42銀~55角は三浦九段の実力を証明した一手となりましたね。
将棋連盟やマスコミはあの一連の騒動で三浦九段へ引け目を感じているなら、この結果と内容をもっとニュースとして取り上げていくべきだと思いました。