渡辺棋聖と藤井七段の第4局は藤井七段の見事な寄せが決まった試合でした。
渡辺棋聖がずっとリードしていましたが、その差が少しずつ縮まってきたところ。
いま渡辺棋聖が73角成と角が成り、飛車取りと迫った局面です
ここで藤井七段は飛車取りを放置して38銀!
この手でついに逆転しました。
渡辺棋聖は飛車を渡すと一気に負けになる不安定な王様なんです。
なので飛車を逃げるしかありません。
51飛と逃げましたが、そこで86桂!
再度の飛車取り放置です
ここで先手が82馬と飛車を取るのは、47桂が詰めろ。そしてめちゃくちゃ厳しい手なのでダメです
38銀~86桂とたった2手で、王様の身動きがとれなくなってしまいました
お手本のような挟撃で、金2枚と飛車が全然守りに効いていないのがわかります
この辺の藤井七段の指し手はソフト(AI)の推奨手とほぼ一致
対する渡辺棋聖は少しずつ精度が落ちていました。
渡辺棋聖はこの86桂が見えてなかったと局後に述べています
もっと直接的な47桂だとダメ(渡辺棋聖良し)なので、1回86桂で縛って次に47桂をねらう。説明されるとわかるのですが、この瞬間が飛車取りになってるせいでとても見えにくい手になっています
振り返って38銀は、この場面を見せられたら有段者ならけっこう指せる手だと思いますが、そこに至るまでの下準備がすばらしかったと思います
追撃の86桂も見事でした
38銀、86桂のねらいは、数手前に61桂と打ったときからの読み筋だったということなんでしょう
この61桂は53から最後45へと跳ね出し、渡辺棋聖へトドメを刺す一手となりました
61~53~45という桂馬の動きもそうですが、序盤に34にいて取られそうだった金が25、26、36、37、48と移動して、相手の王様を仕留める重要な駒となっていたのも凄かったです
勝ち将棋、鬼の如し
と言いますが、本局はまさにそれに近いものを感じました。
最後の最後まで藤井七段の持ち駒はピッタリ条件を満たしており、まるで将棋の神様が新棋聖の誕生を祝ってるかのようでした。
対局の模様は、AbemaTVで観れます