14歳の中学生プロ棋士藤井聡太四段が羽生さんに挑んだ試合は非公式戦ながらとても注目度の高い一局でした。
そして内容もとても濃い一局となりました。
先手の羽生三冠が四間飛車。後手の藤井四段が穴熊に潜ろうとするところに「藤井システム」と言われる急戦を仕掛けます。アマチュアには特に興味深い戦型ですね。
※藤井システムは20年前に藤井九段が確立させた戦法。藤井四段とは無関係です。
試合は羽生三冠が攻め、藤井四段が逆襲を狙う展開に。
互角のまま秒読みの終盤戦へ突入します。
図は後手の藤井四段が76飛と86から1つ寄った局面。
79飛成を見ています。
持ち駒に歩がない先手はこれが受けづらい。
羽生さん、どうする?と思ってみてたら、43歩成と無視して攻め合いへ。
79飛成には69飛と引いて良しという読みです。
そこで後手は86角と打ちました。
これも悩ましい場面。次こそ79飛成が厳しいので、受けないといけません。32の銀を取って、77銀と受けるぐらいしかなさそうですが、問題は「32金」と取るか、「32と」と取るか・・・
羽生さんは「32と」と取り、77銀と受けました。
この瞬間、42の金が84の角で取られてしまう位置にいるので心情的にやりづらい一手です。しかし代わりに「32金」と取ってから77銀では、相手に金を渡す上に31への効きがなくなるのでこれは後手優勢。
こういう間違えやすい局面でもミスをしないのが羽生さんの強いところでしょう。
実戦は77銀以下、同角成、同桂、同飛成、53角と進みました。
ここでは羽生さんが優勢。藤井四段はここで23銀左と指しました。
12の銀を活用しつつ、玉の逃げ場所を作った手で、パッと見は良さそうに見えます。
しかし次に羽生さんに決め手が出ます。
84角打!
龍取りに角を打つのが決め手となりました。
龍取りと、32金、同銀、31角成の攻め。この2つを見せられてはたまりません。
最後は羽生さんが即詰めに打ち取り終局となりました。
羽生さんが「天才の先輩」として意地を見せた一局でしたが、その差はアマチュアの目には紙一重に見えるくらいの微差でした。
特に終盤は両者秒読みとは思えないくらいの精度で非常に見応えがありました。
羽生さんの終盤力は周知のとおりですが、初めて見る藤井四段の終盤力にも驚かされました。
藤井四段が子供のときに遊んだ将棋盤が大人気らしい。
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