HPのx360 11 ab-000シリーズは4万円台という安さが魅力の2-in-1ノートです。
HPにはSpectre x360という似た名前のノートがありますが、あちらは余裕で10万を超えてくる高級PC。間違えないでくださいね。
◆レビュー機のスペック
・モデル名:HP x360 11-ab051TU
・CPU:Celeron N3060
・メモリ:4GB
・ストレージ: SSD 128GB
・ディスプレイ:11.6型 HD(1366×768)、タッチ対応
・USB: USB3.1 typec x1、USB3.0 typeA x2、
・インターフェイス:HDMI、SDカード、ヘッドフォンジャック
・バッテリー: 約9時間
・サイズ、重さ:約 300×205×18.5-20.0mm、1.4kg
CPUはCeleronのN3060。セレロンの中でも下位のCPUです。
簡単な作業向け用として考えておきましょう。
ディスプレイもフルHDではなくHD(1366×768)、コストを抑えた構成になっています。
これで価格は4.4万円(税込、送料込)です。
価格は時期によって多少変動しますので、HPの公式ページで確認してみてください。
◆見た目、ディスプレイ
筐体カラーはスノーホワイトの1種類のみです。
安っぽさは全く感じない色合いで、とても爽やかな見た目です。
表面のテカリもなく指紋も目立ちません。
天板のデザインも良いと思います。
11.6型でとてもコンパクト、片手で持ち運び可能な軽さです。
変形タイプの2-in-1なのでパタンと折りたたんでタブレットとしても使用できます。
液晶ディスプレイは高級なノートPCと比べると欠点が目立ちます。
特に視野角が狭く、ちょっと角度をつけると視認性が悪くなります。
パソコン使用時に横から他人にのぞかれないという利点でもあるのですが、基本的にはマイナス評価となります。
ベッドやソファで横になりながら映画を観るというときが一番困ります。自分の目線とディスプレイ面が垂直になるように調整するのがとても面倒です。
その他、コントラストや明るさも少し物足りません。光沢があるタイプなので写り込みも激しいです。
価格的にしょうがないのかもしれませんが、きれいなディスプレイで映画とかを観たい人はもうワンランク上のパソコンを考えた方がいいかもしれません。
◆インターフェイス(拡張性)
USBポートは、USB3.1 typeAが1つとUSB2.0が2つ。typeCはありません。
ちょっと古さを感じる仕様ですが、逆に最近あまり見ないHDMIとSDカードスロットが付いてるのはうれしい点です。
HDMIポートで別のディスプレイにつなげて動画鑑賞すれば、前述のディスプレイのマイナス評価を低減することになるでしょう。
またSDカードスロットはデジカメのRAWデータを高速でパソコンに取り込むのに適しています。
◆SSD
内蔵されているSSDはSandiskのSD9SN8W-128Gでした。
ベンチマークをとると以下のようになります。
シーケンシャルリードは280MB/sしか出ていません。
通常のSSDの半分くらいのスピードです。
4Kランダムアクセスはリードが26MB/s、ライトが45MB/s これも平均以下の数値です。
電源をオンしてからデスクトップが表示されるまでにかかった時間は約34秒でした。
SSD搭載PCとしては遅いです。
SATAのSSDだと平均的には15秒前後で起動するはずですが、このレビュー機は約34秒とかなり時間を要しました。
HPの公式動画を見ると、起動にかかる時間は約25秒程度です。
レビュー機で何度かテストしましたが32~37秒くらいで平均をとると34秒でした。
公式動画との差が9秒もあるのはなぜかわかりませんが、仮に25秒で起動するとしても一般的なSSDとして遅い部類だということは変わりありません。
◆処理速度
youtubeでアーティストのPVを視聴すると、パソコンのCPU使用率は60%を超えてきます。
メモリも使用率も60%超え。
ただyoutubeを観るだけなら問題ありませんが、これに加えて、ネットで調べもの、文章作成などでマルチタスクをやろうとするとかなり重たくなります。
CPU=Celeronの限界でしょう。
別のテストとして、いくつかの画像を合成して1つの画像を構成する処理を専用のソフトで行ってみました。
以下条件の違う3つのPCでのテスト結果です。
1.Core i5-7200U、メモリ8GB、SSD256GB(SATA)
処理にかかった時間:約61秒
2.Core i5-7260U、メモリ8GB、SSD512GB(PCIe)
処理にかかった時間:約49秒
3. Celeron N3060、メモリ128GB、SSD128GB(SATA)
処理にかかった時間:約261秒
最後3番目の結果が本機の結果です。
Core i5 + SSDよりも4倍~5倍も時間を要しています。
とても負荷のかかる作業なので、本機のようなエントリー機には厳しい結果です。
やはりこのCPUとSSDの性能では、簡単で軽い作業しかできないと見るべきでしょう。
◆キーボード、タッチパッド
SSDの性能は期待以下でしたが、キーボードの出来はまずまずでした。
キーストローク(深さ)は1.5mmで、このサイズのノートPCとしては平均以上。タイプ時のたわみも少ないですし、打鍵感も良いです。
タッチパッドも使いやすいです。
二本指スクロールもスムースですし、クリック時の音も静かです。
◆バッテリー、熱
バッテリー性能は良好です。
バッテリーの駆動時間は公称値で約9時間。
wifi環境下でyoutube動画を流してみたところ約8時間もちました。
また負荷をかけても筐体はほとんど熱をもちませんので、膝の上に置いた状態でも安心して使えます。
◆まとめ
・デザイン ☆☆☆☆
・キーボード、タッチパッド ☆☆☆☆
・ディスプレイ ☆☆
・SSD ☆☆
・インターフェイス ☆☆☆
・バッテリー ☆☆☆☆
・コスパ ☆☆☆
短所
・ディスプレイは平均以下
・CPU、SSDが低速でOSやアプリの起動に手間取る
長所
・コンパクトでそこそこ軽い
・この価格帯としてはキーボードが良い
・安さ
4万円台という安さが魅力な一方、CPUやSSDはコストを抑えた構成になっているのでそこは注意したい点です。
普段Core i5のパソコンを使ってるぼくからすると「明らかに遅い」と感じるレベルです。
ただし、Core i5でこの軽さを求めるなら10万近くしますから、予算的に厳しいという人は、このクラスで割り切るしかないでしょう。
基本的には、ライトユーザー向け、サブPC用という位置付けです。
・スマホよりも大きい画面で動画を楽しむ
・オフィスソフトを入れて表計算やプレゼン用資料を作る
・キーボードで長文作成
などが代表的な使い方になると思います。
オフィス互換ソフトのWPS Office(マイクロソフトじゃない)なら、オプションで+2,000円で付けられます。
いずれにせよ、良い点と悪い点、両方をよく吟味して購入することをおすすめします。