DELL Inspiron 14 5415 (Inspiron 14 AMD)は2021年4月発売の14型ノートです。
- Ryzen 5000シリーズ搭載
- そこそこ軽くて、安い
という特徴をもっています。
【注】2022年モデルのInspiron 14 5425 (Inspiron 14 AMD)のレビューは下の記事を読んでみてください。
⇒ 【レビュー】DELL Inspiron 14 AMD プレミアムを買った。Zen3のRyzen 5 5625U搭載で普段使いは快適。
====== 以下は2021年モデルのInspiron 14 AMDのレビューです ======
発売当初はInspiron 14 5415という名称でしたが、2021年7月末にInspiron 14 AMDという名称に変更になりました。
すでに多くのレビュー記事を読むことができます。どのレビューを読んでもなかなか評判は良いですが、それは本当なのか? 性能や品質を厳しくチェックしてみたので参考にしてみてください。
レビュー機のスペック
・CPU:AMD Ryzen 5 5500U
・メモリ:8GB (シングルチャネル)
・SSD: 256GB
・ディスプレイ:14型 FHD(1920×1080) 、非光沢
・USB: USB-C x1、USB-A x2
・インターフェイス:HDMI、microSD、ヘッドフォン
・Wi-Fi: Wi-Fi 6対応
・重量: 1.44kg
レビュー機はCPUがRyzen 5 5500U、メモリ8GB、SSD256GBという構成のプレミアムモデルです。
DELLではいつも17%~20%の割引クーポンが出ていますが、ちょうど20%オフクーポンのときに購入しました。
価格は6.8万円(税込、送料込)でした。
注文から15日で家に届きました。
現在(5月19日)の割引率は17%オフですが、即納モデルが販売されています。
即納モデルは国内倉庫から最短当日発送が可能です。
2021年はどのメーカーもノートパソコンの納期遅れ、在庫切れが深刻ですが、その中でDELLの強みは、在庫が安定している点です。
見た目、デザイン
筐体カラーはプラチナシルバーとピーチダストの2種類。
レビュー機はプラチナシルバーです。
天板はアルミ合金を使用しており、中央にDELLのロゴが入っています。
少し光沢もあり高級感のあるデザインです。指紋も目立ちません。
数年前のInspiron 5000シリーズよりも明らかに品質が上がっているなと感じました。
キーボード面の色はグレー。キーの文字は白で、しっかりと見やすく作られています。
ディスプレイは非光沢タイプで視野角も広いです。
輝度(明るさ) 250nit
色域 sRGBカバー率 63%
と平均的なディスプレイです。
欲を言えば、輝度300nit、sRGB100%レベルの液晶が良かったのですが、この価格帯では難しいところでしょう。
写真はLenovoのIdeaPad C340 (2019)との比較。
どちらも輝度は250nitレベルなので、ほぼ同じくらいの明るさです。
コントラストはInspironの方が低めで、IdeaPadの方がくっきりしてます。
同じ14型ですが、Inspironは縦にコンパクト。ディスプレイの4辺が全て狭額縁になっています。
ディスプレイ上部にはWebカメラ。
物理シャッターが付いており、使用しないときにカメラを隠すことができます。
良い: まずまずの高級感
微妙: ディスプレイは平均レベル
ベンチマーク
CPUはRyzen 5 5500U
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、12288というスコアでした。
PassMark社が発表している平均値は、
Ryzen 5 5500U: 13764
Ryzen 5 4500U: 11258
となっています。
レビュー機は平均よりも少し下のスコアでしたが、1世代前のRyzen 5 4500Uは上回りました。
ちなみに電源から外してバッテリー駆動時のスコアもとってみると、10346でした。パフォーマンスの低下率は16%、一応許容範囲と言えます。
◆リアルなアプリの快適度
さらなるテストとしてPCMark10を実施しました。
PCMark10は一般的な利用、ビジネス利用、デジタルコンテンツ制作の3種類の作業の快適さを計測するベンチマークソフトです。
Essentials(一般的な利用) 8242 (目安4100)
Productivity(ビジネス利用)7082 (目安4500)
Digital Contents Creation(デジタルコンテンツ制作) 4286 (目安3450)
すべての項目で目安となるスコアを上回りましたが、デジタルコンテンツ制作のスコアが少し低いです。
一般的な利用 | ビジネス利用 | デジタルコンテンツ制作 | |
Inspiron 14 5415 (Ryzen 5 5500U) | 8242 | 7082 | 4286 |
Ryzen 7 4700Uの平均 | 8463 | 7202 | 4937 |
Ryzen 7 4700Uと比較すると、デジタルコンテンツ制作のスコアだけ低く出ています。
◆PhotoshopでRAW現像
実際にPhotoshopでRAW現像10枚にかかる時間を計測してみました
その結果が下の表になります。
機種 | CPU | メモリ | タイム (秒) |
Yoga Slim 750i Carbon | Core i7-1165G7 | 16GB | 8.2 |
ZenBook 14 | Ryzen 7 4700U | 16GB | 10.3 |
IdeaPad C340 | Core i5-8265U | 8GB | 19.2 |
IdeaPad Flex 550i 15 | Core i5-1035G1 | 8GB | 19.7 |
Inspiron 14 5415 | Ryzen 5 5500U | 8GB | 32.1 |
はっきり言ってInspiron 14 5415とPhotoshopの相性は良くありません。
タイムは32.1秒と大幅に遅れてしまいました。
これはインテル第10世代のCore i5や第8世代のCore i5よりも遅いです。
いくらメモリがシングルチャネルの8GBとは言え、ここまでタイムが遅いのは予想外でした。遅いというか、ちょっとしたバグに近いレベルです。数回タイムを測定しましたが変わりませんでした。
他のレビュー記事でもAdobeソフトとの相性は悪く出ているので、これは個体差ではないと思われます。
原因がInspironにあるのか、それともRyzen 5 5500Uにあるのかわかりませんが、Adobeソフトを使用したい場合、本機の購入は見送った方がいいでしょう。
◆軽めのゲーム
最後にファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ(2019年発売)でベンチマークをとってみました。
1920×1080 標準品質(ノートPC)という条件で「普通」という結果でした。
ファイナルファンタジーXIVは軽めのゲームですが、それでも少し苦しい結果です。
ゲームに関してはあまり期待できないと思います。
以上をわかりやすくまとめると
○ネット、動画鑑賞
○オフィス系ソフトで事務作業
○Web会議
×画像編集(RAW現像)
×動画編集
×ゲーム
という目安になります。
良い: ビジネス利用までは問題なく快適
悪い: Adobeソフトとの相性が悪い
悪い: ゲームも期待ほどできない
キーボード、タッチパッド
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.4mmです。
今回のInspion 14 5415では、キーの形状が改善しました。
従来のモデルでは、
・Enterキーが細長い
・Backspaceキーが小さい
という欠点がありました。
それが新モデルでは改善され、打ちやすい形状になっています。
ただ電源ボタンが右上にあるのでDeleteキーと間違えそうになります。
EnterキーとBackspaceキーが隣のキーとくっついてしまってますが、これはスペースの都合上しょうがない部分もあるので大目に見るとして、それ以外はなかなか良く出来ていると思います。
打鍵感も悪くないです。
音は、「カチャカチャ」ではなく「コトコト」に近いでしょうか。
タイプ音は静かです。
タッチパッドは115 x 70mmで横が広め。
操作性はスムースで良好です。
Enterキーの形状が良くなった
インターフェイス
USBポートはUSB-Aが2つとUSB-Cが1つです。
USB-CポートはPD対応(電源供給対応)なので、モバイルバッテリーで充電できます。またディスプレイ出力にも対応しています。
他はHDMIとmicroSDカードスロット、ヘッドフォンジャックが付いています。
端子の数と種類は平均的です
バッテリー、排気音、熱など
バッテリーの駆動時間は平均以下です
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約10.5時間でした。
バッテリーライフは平均以上で良いです。
負荷がかかると、サーというファン音がしますが、許容範囲です。熱に関してもちょっと暖かくなってるなというレベルでこちらも許容範囲内でした。
評価まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆☆ |
バッテリー | ☆☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆☆ |
短所
・Ryzen 5 5500Uが期待ほどじゃない
長所
・7万円台のPCとしては高級感あり
・キーボードが打ちやすくなった
・長時間バッテリー
・即納モデルあり。納期が安定。
Ryzen 5 5500Uを搭載した新モデルのInspiron 14ですが、性能面ではそこまでアップしていません。
ネット、Web会議、資料作成までの基本的な作業での快適度は幾分上がりましたが、画像編集や動画編集、ゲームに関しては期待できません。
特にAdobeソフトとの相性が悪いのでクリエイティブな作業には向きません。用途は、ビジネス利用までに留めておくのが無難です。
通常使いのノートパソコンと考えるなら、7万円台で買えて高級感もあり、キーボードも打ちやすくなっているので、十分ありな選択と思います。
一番の長所は納期が安定しているという点です。
ネット上のレビュー記事を読むと、
「Ryzen 5 5500Uで性能高い!」
と手放しで褒めている記事もありますが、それはちょっと違うかなと思います。
記事をサッと読んだだけだと、Inspiron 14 5415は画像編集もゲームもできてすごいパソコンのように勘違いしてしまう可能性がありますが、実際はそうではないです。
あくまで普段使い、ビジネス利用までの範囲で考えたときのコスパが素晴らしいということ。それ以上を望むなら、別の機種を考えた方がいいです。そこはしっかりと理解した上で買いましょう。
Lenovo IdeaPad Slim 550との比較
Ryzen 5 5500U搭載でコスパ最強と言われるのがLenovoのIdeaPad Slim 550。
Inspiron 14 5415 | IdeaPad Slim 550 (14) | |
CPU | Ryzen 5 5500U | Ryzen 5 5500U |
重量 | 1.44kg | 1.45kg |
高級感 | 〇 | △ |
SDカードスロット | microSD | フルサイズSD |
即納モデル | あり | なし |
価格 | 7.1万 (即納は7.5万) | 6.4万円 |
同じ14型で重量も1.44kgと1.45kgとほぼ一緒です。
見た目の高級感はInspironが上です。
即納モデルがあるのもInspironです。
IdeaPadはデジカメ用のSDカードスロットが付いています。
5月19日現在の価格はIdeaPadの方が安くなっています。
最終的には好みで決めたらいいかなと思います。
どちらもコスパは良いので買って損するということはないです。
あとは在庫(納期)でしょう。
2020年後半~2021年前半の傾向としては、DELLの方が納期が安定しています。
Lenovo IdeaPad Slim 550もチェックしてみてください。