HP ENVY 15-ep0000はクリエイター向けノートPCとして2020年に発売されたモデルです
非常にハイスペックな構成が特徴で、画像編集、動画編集、3DCAD、ゲームと幅広い用途に使えるマシンとして評価も高いです。
ただ実際に使ってみると気になる点もいくつかあったので、その辺も正直にレビューしていきたいと思います。
◆レビュー機のスペック
・モデル名: ENVY 15-ep0002TX
・CPU: Core i9-10885H
・メモリ: 32GB
・SSD: 2TB (PCIe)
・ディスプレイ: 15.6型 UHD(3840×2160) 光沢、タッチ対応
・グラフィックス: NVIDIA GeForce RTX 2060 with Max-Q
・USB: USB-C x2 (Tunderbolt 3)、USB-A x2
・インターフェイス:microSDカード、HDMI、ヘッドフォン
・バッテリー: 約6.5時間
・サイズ、重さ:約 358×237×18 mm、2.15kg
CPUの選択肢はCore i7とCore i9の2つ。レビュー機は上位のCore i9-10885Hを搭載しています
メモリは32GB、グラフィックスはGeForce RTX 2060 with Max-Qとハイスペック仕様です。
またディスプレイは4K(UHD)液晶となっています。
すべての構成が最高クラス。クリエイター向けのノートパソコンとして文句のないレベルです
上記の構成で価格は32.2万円(税込、送料込)です
もっと安いCore i7 + FHDのモデルは10月下旬に販売開始予定で、こちらは20.1万となっています。
◆見た目、デザイン
筐体カラーはナチュラルシルバー
アルミニウム削り出しのボディは光沢感がありとてもきれいです。
指紋が全く目立ないのも良い点です
液晶ディスプレイは光沢タイプですが、映り込みは控えめ。ギラつきもなく見やすいディスプレイです
視野角も広く、横から見てもはっきりきれいに見えます。
輝度は400nitあります
自然な発色で、sRGBカバー率は100%と色再現性も高いです
しかしリフレッシュレートは60Hzと通常タイプのディスプレイで、ゲーム用の144Hzではありません。
ディスプレイ上部のWebカメラは使用しないときにキルスイッチでオフにできます。
キーボードのdeleteキーの2つ隣のキーがそのキルスイッチです。カメラへの回路を物理的に切るので、万が一不正なアクセスがあっても安心です
重さは2.15kgあるので、完全に据え置き用です。
本体自体のサイズは通常の15.6型ノートですが、ACアダプターがかなり大きいです。
デスクまわりをすっきり見せたい人には、このACアダプターの大きさはネックとなるでしょう。
良い⇒きれいなデザイン
良い⇒指紋が目立たない
良い⇒明るくて色再現性の高いディスプレイ
悪い⇒ACアダプターが大きすぎ
◆ベンチマーク
CPUはCore i9-10885H
PassMarkのベンチマークテストを実施したところ、15181というスコアでした。
PassMark社が発表している平均値は、
Core i9-10885H 平均値16401
Ryzen 7 4700U 平均値13887
となっています。
レビュー機は平均を少し下でしたがほぼ期待どおりの結果でした。
内蔵されているSSDのベンチマークをとると以下のようになります。
シーケンシャルリードは3000MB/s超で高速
シーケンシャルライトも2800MB/sと書き込みも速いです
4Kリード、ライトは少し遅めでした。足し引きで平均点レベルといったところでしょう。
電源をオンしてからデスクトップが表示されるまでにかかった時間は約14.5秒でした。こちらは平均(12秒)よりも遅いタイムでした
以上をまとめると、
CPUテスト: 平均
SSDテスト: 平均
起動: 平均以下
です
グラフィック性能のテストでは、重量級のゲームとして有名なFF XV(ファイナルファンタジー 15) WINDOWS EDITIONのベンチマークテストを実施しました。
標準品質、1920×1080では「快適」
標準品質、3840×2160では「やや重い」
という結果でした。
4Kで重量級ゲームはさすがに難しいですが、フルHDまで解像度を落とせば快適にプレイ可能です。
ただしディスプレイのリフレッシュレートは60Hzなので、PUBGやフォートナイトなど、バトルロイヤル系のゲームを本格的にやりこみたい人には向きません。
最後にVR MarkでVRに適応できるかをチェックしてみました
こちらのスコアは6896
スコアが5000以上あれば「VR Ready」に認定されますので、余裕をもってクリアしました
・良い⇒重量級のゲームも快適
・良い⇒VRにも対応
・微妙⇒リフレッシュレートは60Hz
・悪い⇒Windows起動は少し遅い
◆PhotoshopでRAW現像
実際にPhotoshopでRAW現像にかかる時間を計測してみました
条件は以下のとおりです
使用する画像は6000 x4000ピクセル、23.6MBのRAWデータ10枚。
これをPhotoshopのCameraRawで開き、一定の画像処理を行った後に保存する。
保存する形式はJPEGで、画質は最高の「12」
処理は10枚連続、自動で行う。
保存が完了するまでの時間をストップウォッチで計測する。
計測は3回行い、平均タイムを出す
行う画像処理は2通り
条件1.何もせずそのまま現像
条件2.テクスチャ+5、明瞭度+5、かすみの除去+5
そして上記の計測タイムの結果が下のグラフになります
Ryzen 5 4500UとCore i9-10885Hを比較しています。棒グラフの青色がRyzen 5、赤色がCore i9です。棒の長さが短いほど、タイムが速いということになります
Core i9はRyzen 5よりも約18%~20%ほどタイムを縮めていることがわかります
良い ⇒ Ryzen 5よりも速い
◆キーボード、タッチパッド
キーピッチ(キーの間隔)は19mm、キーストローク(深さ)は1.3mmです。
レビュー機は英語キーボードになっていますが、販売されているのは全て日本語配列です。
キー配列はHPお馴染みの配列です。右端がEnterではなく、home、pgup pgdn、endボタンが並んでいるタイプになっています。
キーボードの打鍵感は、まずまず良いです
キーストローク(キーの深さ)は1.3mmでキーを押し切ったときの反発力も適度にあります
タッチパッドの広さは114 x 72 mm。とても滑らかでスムースに動きます。
同じHPのENVY x360 15とキーボード、タッチパッドの出来を比べると、微差ですが本機の方が良いと思いました。
・良い⇒タッチパッドが滑らか
・微妙⇒キー配列
◆インターフェイス
USBポートはUSB-Cが2つとUSB-Aが2つです。
USB-Cは2つともThunderbolt 3なので電源供給、映像出力に対応しています。
USBポートは全部で4つ。しかも電源ポートは別に確保されているので、この4つが常時使えるということなのでこれは良い点です。
悪い点は、microSDカードスロットです
はっきり言ってmicroSDカードスロットがあっても何もうれしくありません。フルサイズのSDカードスロットがあるかないか、問題はそこです
このENVY 15にはデジカメのRAWデータを簡単に転送できるSDカードスロットが付いていません。その代わりUSBポートが4つあるので、どれか1つを潰して、別売りのSDカードリーダーを挿すことになるでしょう
SDカードに関してはクリエイター向けPCとは言えない仕様になっています
もしENVY 15にSDカードスロットが付いていたら、大きな減点をまぬがれたことでしょう。
・良い⇒USBポートが4つ
・悪い⇒フルサイズSDカードスロットがない
◆バッテリー、排気音、熱など
バッテリーの駆動時間は公称値で6.5時間です。
以下の条件でテストしてみました。
・画面の明るさをMAX
・wifi環境
・youtube動画を流しっ放し
結果は約4時間。やはり4K(UHD)はバッテリーを食います。
また画像編集やゲームなどで負荷をかけるとファン音が大きいです。さらに筐体もかなり熱をもちます。キーボードの中央から上付近が熱くなります。
・悪い⇒ファン音が大きい
・悪い⇒負荷をかけるとかなり熱をもつ
◆まとめ
デザイン | ☆☆☆☆ |
キーボード・タッチパッド | ☆☆☆☆ |
ディスプレイ | ☆☆☆☆ |
性能、処理速度 | ☆☆☆☆☆ |
インターフェイス | ☆☆☆ |
バッテリー | ☆☆☆ |
コスパ | ☆☆☆ |
短所
・フルサイズSDカードスロットなし
・音、熱
・ACアダプターがデカい
長所
・Core i9-10885Hのパワー
・RTX 2060で重量級ゲームもプレイ可能
・USBポートが4つ
HP ENVY 15は評判どおりの性能を見せてくれましたが、短所も多いPCでした。今回挙げた短所がどのくらい許容できるかによって全体の評価も変わってくると思います。
個人的にはフルサイズのSDカードスロットがないのが納得できない仕様です
その代わり、USBポートが4つ付いている点は良かったです。
1つを潰してSDカードリーダー用として使用することでなんとか挽回できます
しかし、本来なら最初からSDカードスロットが付いているべきだと思います
音と熱に関しては、ある程度しょうがない部分はあると思います。これだけの性能(パワー)を薄型のノートPCに押し込めたわけですから、熱はこもりますし、冷却するためのファン音も出るでしょう。
音は不快な音ではないので慣れればそこまで気にならないと思いますが、静かな環境(図書館とか)で作業したいという場合は向きません。
基本的な性能は素晴らしいので、あとは価格との兼ね合いです
Core i9-10885H
メモリ32GB
SSD 2TB
4K液晶
RTX 2060 with Max-Q
という構成で32.2万
高そうに見えますが、同じCore i9を搭載しているDELLのXPS 15は34.3万します
相場的には納得のプライスです
⇒公式オンラインストア HP ENVY 15 (2020年モデル)
◆段違いに安いENVY x360 15
趣味レベルの画像編集(RAW現像)くらいであれば、ENVY 15よりも安いENVY x360 15という選択肢もあります
動画編集や重量級のゲームとなると、ENVY 15クラスのスペックは必要だと思いますが、それ以下のレベルであればENVY x360 15でもけっこう戦えます
ぼくが買ったENVY x360 15は
Ryzen 5 4500U
メモリ16GB
SSD 512GB
フルHD(1920×1080)
という構成で9.5万円とコスパは圧倒的に良いです
レビューを書いたのでこちらも参考にしてみてください