PCMark 10は実際のアプリケーションを利用したベンチマークソフト、無料で使えます。
- Essentials
1-1. アプリ起動
1-2. ビデオ会議
1-3. Webブラウジング - Productivity
2-1. スプレッドシート
2-2. 文章作成 - Digital Content Creation
3-1. 画像編集
3-2. レンダリング
3-3. 動画編集
という内容のテストを行い、各項目の快適度をスコアとして出してくれます。
なかなかよく出来たテストだと思いますが、あまり重要ではない作業の結果が全体に大きな影響を及ぼす傾向があります。
例えばEssentialsの中にビデオ会議が含まれていますが、これは他よりも重要度は低いはず。筆者はアプリ起動やWebブラウジングは毎日何時間とやりますが、ビデオ会議はよくて月1回とかそれ以下の頻度です。
スプレッドシートは重要度が高いと思いますが、簡単な家計簿のような計算と、モンテカルロシミュレーションのような専門家が使う計算を同列に扱っており、実情に合っていません。
上記の項目で一般ユーザーが最も重視すべき項目は
・アプリ起動
・Webブラウジング
・文章作成
の3つだと筆者は考えています。
そしてその3つの快適度は、有名なPassMarkやCinebechといったベンチマークソフトでは測定できません。
◆PassMarkやCinebenchのマルチコアを妄信するな
PassMarkやCinebenchのマルチコア性能は、いかにも「試験管内のテスト」って感じで、リアルな性能に直結しません。
それよりも上で挙げたPCMark 10の3つのスコアを見る方が精度は高いはずです。
でも、この3つのスコアをネットのどこで見てばいいんですか?
どうやって比べればいいんですか?
と言われたときに、十分な情報がないのがPCMark 10の弱点です。
一方、精度の低いPassMarkやCinebenchはネット上に情報が豊富にあるので、ついそちらの情報に頼ってしまう傾向があります。
なにより簡単にわかった気になれるというのが大きいです。
筆者も、大雑把な説明の際にはPassMarkやCinebenchの方が便利なのでそれを使います。
でもちゃんと理解しようと思ったら、PCMark 10を使うべきです。
◆PCMark 10の3スコアとその幾何平均
これまで実機ビューしたPCの
・PassMarkシングルコア
・PassMarkマルチコア
・PCMark 10 アプリ起動
・PCMark 10 Webブラウジング
・PCMark 10 文章作成
・上3つの幾何平均
と表にまとめてみました。
すみません、データが多すぎて文字が小さくなってしまいました。
まあここは興味がある人だけ拡大して見てください。
3つの単純平均ではなく幾何平均を使いました。PCMark自体が全体の平均スコアを出すときに幾何平均を使っているのでそれに準じています。
この幾何平均のスコアをひとまず「普段使いの快適度」と見なすことができるかと思います。
この表でわかるのは
・普段使いの快適度はそこまで差はない(ここ数年基本性能は頭打ち)
・同じCPUでも機種によってバラツキはある
・意外とCore i7-1165G7 (2021年のCore i7)は上位
・Ryzen 5 7530U (2023年)はコスパが良い
・Ryzen 5700U、5500U (2021年)は下位
といったところです。
Ryzenは2021年まではマルチコア性能だけ、PassMarkやCinebenchのスコアだけを伸ばしていて、実戦ではあまり使えないCPUでしたが、2022年から段々と実戦向きになっています。
そして2023年のRyzen 5 7530Uは見事上位にランクインしています。
あとPassMarkスコアとの関係で言うと、アプリ起動、Webブラウジング、文章作成の各スコアとPassMarkマルチのスコアとは全く相関はありません。下図参照。
これは重要なことなので繰り返し述べておきます。
◆PassMarkシングルと相関があるのは・・
PassMarkシングルの方はWebブラウジングのスコアと相関があります。
アプリ起動や文章作成もシングルコア性能が効くと思ってましたが、手元のデータではほとんど相関はありませんでした。
上2つのグラフから言えるのは、シングルコア性能で全部わかるわけではないがマルチコア性能よりはマシといったところでしょうか。
普段使いの快適度を知るならPCMark 10のスコアを見るのがベスト。でもPCMark 10のスコアがわからない場合は、CPUのシングルコア性能を見ましょう。普段使いはシングル。レンダリングなどの特殊な作業でマルチが効いてくると覚えておけばOKです。
◆まとめ
- 普段使いに最適なCPUを探すならPCMark 10が役立つ
- スコア全体ではなく、アプリ起動、Webブラウジング、文章作成の3つに絞るべき
- その中でWebブラウジングはCPUのシングルコア性能と相関がある
今回の記事はちょっとマニア向け過ぎたかもしれません。
普通の人にはあまり役に立たない情報でしたね。でも、Cinebenchのマルチコアだけで性能うんぬん言ってるレビュワーはあまり信用できないということは言えたかなと思います。
【追記】
普段使い用のPC、2023年7月時点でおすすめはInspiron 14 5435です。
記事の最初に出した表の中では上位は13万を超えるようなPCでしたが、その中に8万で買えるInspironが入っています。